東京都は、令和8年7月に「東京都男女平等参画推進総合計画」を改定し、「誰もが自らの生き方を性別にとらわれず選択できる社会の実現」に向けた取組を強化しています。その一環として、都庁職員が広報物を制作する際、目的や文脈に応じてより適切な表現を検討するための考え方やチェックポイントを示した「男女平等参画の視点に基づく公的広報物ガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)を策定しました。

これを受け、本ガイドラインをテーマとした都職員向け研修「『伝わる』広報研修 実践編」を令和8年8月19日(水)に開催しました。当日は本ガイドラインの内容を学んだ後、対面参加の職員で課題となるイラストの修正案を考えるグループワークや東京都の広報・デザインの質の向上に向けてオリジナルで描き起こした「TOKYOオリジナルイラスト集」を活用した個人ワークを実施し、オンラインと対面合わせて270名の都職員が受講しました。

東京都が実施した調査では、メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等)から、「男らしい」「女らしい」という情報発信を感じたことがある人が、回答者の約5割となっています。

また、高校生を対象とした調査でも、インターネット・SNS から「男らしい」「女らしい」という情報発信を感じたことがあると、約4割の人が回答しています。こうした性別のイメージを固定化するような表現が、進路選択や職業選択をはじめとする将来の意思決定に対し、一定の影響を与える可能性があるとされています。

冒頭の挨拶に登壇した松本明子女性活躍推進監は、「都が日々発信する広報物は、施策をわかりやすく届ける手段であると同時に、人々の意識や価値観に大きな影響を与え得るものでもある。」と語りました。続けて、「広報は、情報を届けるだけでなく、都政への信頼を築く大切な仕事。本日の気づきを、ぜひ日々の広報実務に生かしていただきたい」とメッセージを送りました。

公的広報物制作における男女平等参画の視点とは

次に、本ガイドライン策定にあたり有識者の一人として協力した、一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所の守屋智敬代表理事より、本ガイドラインの策定の背景や確認ポイントについて解説が行われました。

本ガイドラインは、個々の表現の可否を一律に示すものではなく、広報物全体を通して性別による固定的な印象や役割分担を助長していないかを確認し、目的や文脈に応じて表現を検討するための指針です。研修では、イラストや写真等の視覚表現、文章・用語等の言語表現、制作過程全体の観点から、人物の描写や人数・配置、役割分担、文章と視覚表現のずれなどを確認する必要性が示されました。

守屋氏は、「一般的な傾向や統計としていずれかの性別が多い分野であっても、公的な広報物では、次世代の人々の可能性を狭めるような固定的なイメージを伝えてしまわないよう配慮することが重要」と述べました。あわせて、「『自分は大丈夫』と思い込まず、ガイドラインのチェックポイントを活用し、複数人で多様な視点から確認することが、より適切で伝わりやすい広報表現につながる」と説明しました。

※「男女平等参画の視点に基づく公的広報物ガイドライン」より一部抜粋同左

図版ガイドラインとイラスト集を活用した実践ワークショップ

続いて行われた都職員によるワークショップでは、参加者は事前課題として配布されたイラストを題材にグループワークを行いました。本ガイドラインを参照しながら、「性別に関する固定的なイメージを助長していないか」という視点から、イラストにおける課題点や改善の方向性について活発に意見を交わしました。参加者はAIを活用してイラストの修正案を作成し、発表では作成した修正イラストを用いながら、改善内容やその意図について共有しました。各班の発表では、「登場人物の女性と男性のバランスを均等にする」や「髪型や体格などが多様になるよう描く」のように、人物の性別や配置、役割分担の見せ方を見直すことで、特定の性別に偏らず、より適切な表現にできるのではないかといった意見が示されました。発表後には他の受講者から「修正イラストで、ベビーカーを押している人と赤ちゃんを抱えている人がどちらも女性。片方を男性にするとより男女平等に感じられる」など改善のための助言や新たな視点が寄せられ、より良い表現について議論が深められました。ワークショップには都職員に加え、メディア関係者3名も参加しました。多様な立場から意見が活発に交わされ、固定的な性別のイメージにとらわれない表現等の理解を深めることで、広報物の制作・確認において多様な視点を取り入れることの重要性を実感する機会となりました。

最後に、個人ワークでは「TOKYOオリジナルイラスト集」を活用し、参加者一人ひとりが広報バナーの作成について検討しました。講義にあたっては、AIの画像生成では導きだすことが難しい、デザイン領域ならではの解決方法を示せるよう、出題内容・回答例など工夫しました。講師からは、単に人物の性別を入れ替えるだけでなく、人数を見直すことで表現を工夫する方法に加え、あえて人物を用いず、風景や象徴的なアイテムでメッセージを伝える方法も示されました。

講師からのメッセージ

主要指標 — KEY FIGURES

270
オンラインと対面合わせて270名の都職員が受講しました
5
メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等)から、「男らしい」「女らしい」という情報発信を感じたことがある人が、回答者の約5割となっています
4
高校生を対象とした調査でも、インターネット・SNS から「男らしい」「女らしい」という情報発信を感じたことがあると、約4割の人が回答しています

最後に守屋氏から、「この表現でいいのか、あるいは、その表現が次世代の進路や職業選択をはじめとする未来にどのような影響を与え得るのかなど、色々と問いを立てながらこれからも検討を重ねてほしい」とメッセージが送られました。また、AIは広報物の制作を支援する有効なツールの一つである一方、生成された内容をそのまま用いるのではなく、多様な視点から改めて確認し、目的や文脈に照らして検討することの重要性が示されました。

参加した都職員の声

●広報物を制作する際に、事業の目的に照らして表現を確認するという視点が、これまでの広報表現を見直すきっかけとなった。目的を意識することで、伝えたい内容をより明確に表現できると感じた。

●体格や服装などに関して、自身の中にも無意識の思い込みがあることに気づいた。また、自分では気づいていない思い込みがまだ多く存在することを認識し、学びの多い機会となった。

●広報物が受け手にどのように受け取られるかを意識し、多様な選択肢や視点を踏まえて制作することの重要性を実感した。今後はこうした視点を広報物の制作や確認の場面で生かしていきたい。

実施概要

日時:令和8年8月19日(水)13時15分から15時15分まで

場所:東京都庁 第一本庁舎 5階

登壇者:東京都女性活躍推進監 松本 明子、一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所代表理事 守屋 智敬 氏

参加者:東京都職員 オンライン延べ246名 対面24名(合計270名

【男女平等参画の視点に基づく公的広報物ガイドラインについて】

都庁職員及び都から委託を受けた事業者が公的広報物を制作する際に、性別に関する固定的なイメージを助長しないよう、広報物の目的や文脈に応じた表現を考える際の指針とするガイドライン

https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/danjo/danjobyodo/guideline

【東京都男女平等参画推進総合計画について】

本取組は、東京都男女平等参画推進総合計画のビジョン3「男女平等を阻む意識の改革や環境整備~ささえる、ひろめる~」の政策の柱5「男女平等参画社会の実現に向けた広報・啓発活動」に位置付けられている

https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/danjo/danjobyodo/0000000183/plan

図版【TOKYOオリジナルイラスト集について】

東京都が発信する広報物に使用しやすいシチュエーションを選定、汎用性の高いイラストタッチを採用し、オリジナルで描き起こした「東京都職員のため」のイラスト集

【一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所について】

アンコンシャスバイアスという概念が広く社会に認知されることで、一人ひとりの可能性が広がる社会を目指し、講演・研修・ワークショップ・小学生向けイベント(ハットニャール博士の研究所)等の開催、学校での授業、講師養成等を実施

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:社会
  • 関連組織:一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所