九州大学 大学院総合理工学研究院 濱口達史 教授と、株式会社みらい創造インベストメンツ(本社所在地:東京都港区、代表取締役社長:岡田祐之)が共同代表者として申請したテーマ「パラメータ制御機構を内在するレーザー素子の実現と時空計測用途に向けた社会実装」が、このたび科学技術振興機構(JST)「ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」に採択されました。

みらい創造インベストメンツでは、近年、大学等の研究シーズを起点としたディープテック・スタートアップの創出支援に注力しています。D-Globalにおいては、第4回公募の採択8件のうち2件、第5回公募の採択3件のうち1件で事業化推進機関を務めており、本件を含め累計3件の採択実績となりました。

主要指標 — KEY FIGURES

8件
第4回公募の採択8件のうち2件
3件
第5回公募の採択3件のうち1件
3件
本件を含め累計3件の採択実績
4社
4社が株式上場

本テーマは、みらい創造インベストメンツが事業化推進機関として伴走し、波長・位相ロック機構を内在したVCSELを核に、原子時計向け高安定光源を起点として、位相同期アレイ化によりLiDAR等の空間センシング、さらには加工・エネルギー分野へと展開し、小型・低コスト・高信頼な光源プラットフォームを世界市場に提供するスタートアップの創出を目指します。

採択テーマについて

【研究代表者】

九州大学 大学院総合理工学研究院 教授 濱口達史

【事業化推進機関】

株式会社みらい創造インベストメンツ

【共同研究者】

東京都立大学 大学院システムデザイン研究科 教授 五箇繁善

【採択課題名】

パラメータ制御機構を内在するレーザー素子の実現と時空計測用途に向けた社会実装

【研究テーマの概要】

本テーマでは、波長・位相などの光パラメータを制御可能な新しい垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)アーキテクチャを開発し、チップスケール原子時計(CSAC)をはじめとする量子センシングを支える、高安定・低雑音光源の実現を目指します。従来のVCSELにおける波長制御の課題に対し、共振器を長くすることで製造ばらつきや温度変動の影響を受けにくくするとともに、狙った波長のシード光を素子内部に導入することで、モードホップを抑制します。さらに将来は、本技術を位相同期アレイ(OPA)へと発展させ、空間センシングや高出力レーザーなどへの応用を拓くことで、さまざまなレーザー光源をSolid-State(半導体)へ置き換える新たな光源プラットフォームの構築とグローバル展開を目指します。

初期の事業化ターゲットとしてチップスケール原子時計をはじめとする原子時計分野を想定し、国内外の研究機関や企業とのネットワークを活用しながら、研究開発と市場開拓を並行して進めます。また、中長期的にはLiDARなどの大規模市場への展開も見据え、用途ごとに求められる出力、指向性、位相制御性などの要求仕様を検証しながら、本技術の適用領域を段階的に拡大していきます。

あわせて、製造・パッケージングを含むバリューチェーンにおけるパートナーとの連携を進め、量産・製品化に向けた事業基盤を構築します。D-Globalの支援期間を通じて、初期顧客や事業化パートナーとの連携を具体化し、本技術を核としたスタートアップの創出とグローバルな事業展開につなげていきます。

採択にあたってのコメント

九州大学 大学院総合理工学研究院 教授 濱口達史 氏 VCSELは、小型・低消費電力という特徴を持ちながら、まだ十分に引き出されていない大きな可能性を持つレーザーです。私はこれまで、その可能性を広げる研究に長年取り組んできました。本プロジェクトでは、波長と位相を自在にロックするという新たな機能を加え、VCSELを「光を出すデバイス」から「光を自在に操るプラットフォーム」へ進化させることに挑戦します。 D-Globalという大規模な支援をいただき、この挑戦を本格的に進められることを大変嬉しく思うと同時に、大きな責任を感じています。目指すのは論文や研究室の中で完結する成果ではありません。原子時計、センシング、通信、モビリティ、エネルギーなどへ展開し、実際に社会で使われる技術として世界に届けることです。研究と事業化の両輪で、日本から新しい光産業を生み出すことを目指してまいります。

東京都立大学 大学院システムデザイン研究科 教授 五箇繁善 氏

超小型原子時計(CSAC)では、原子と光の相互作用を利用して高精度な時刻を生成するため、光源であるVCSELの性能が時計の性能を大きく左右します。本プロジェクトでは、新たに開発されるVCSELをCSACの光源として評価し、その可能性を実証する役割を担います。特に、波長や位相などの光を自在に操る新しいVCSELは、これまでのCSACの常識を変える可能性を秘めています。この新しい光源からどのような原子時計が生まれるのか、研究者として大きな魅力と期待を感じています。

株式会社みらい創造インベストメンツ 代表取締役社長 岡田祐之

このたびのD-Global採択、大変嬉しく思います。濱口先生が長年にわたり培ってこられた面発光レーザー技術は、原子時計の小型化・高性能化を実現し、通信、モビリティ、宇宙・航空、フィジカルAIなど、幅広い産業の基盤を大きく変革し得る、極めて重要な技術です。大学発の優れた研究成果を研究室の中にとどめることなく、社会で広く活用される技術へと育てていくことは、我が国の科学技術と産業の発展にとって大きな意義を持ちます。今回の採択を大きな契機として、世界市場を見据えた事業化と産業実装が力強く進展することを心より期待するとともに、私たちもその実現に向けて全力で支援してまいります。

株式会社みらい創造インベストメンツ プリンシパル 相澤浩明

本プロジェクトが挑むのは、レーザーの波長と位相を自在にロックする光源プラットフォームです。原子時計から、可動部を持たないビーム走査、さらには加工やエネルギー伝送まで、幅広い産業に貢献できる半導体光源であり、これを軸に日本発のグローバルスタートアップを立ち上げられる可能性があると思い、支援を続けてまいりました。このたび多くの方にご評価いただき、D-Globalの採択に至ったことを大変嬉しく思います。創業から世界への供給まで、引き続き伴走してまいります。

【関連URL】

ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)採択一覧

https://www.jst.go.jp/pr/info/info1867/index.html

「ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」とは

「ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」は、大学等発の技術シーズを核にして、社会・経済に大きなインパクトを生み、国際展開を含め大きく事業成長するポテンシャルを有するディープテック・スタートアップの創出を目的とします。当該目的を達成するため、技術シーズの事業開発に責任を有する事業化推進機関および研究開発に責任を有する研究代表者が共同代表者となり、事業化推進機関のプロジェクトマネジメントのもとに事業化マイルストンおよび研究開発マイルストンを設定し、事業化推進機関と研究代表者が一体的に課題を推進します。

※詳細については、下記のJSTホームページをご確認ください

JST大学発新産業創出基金事業

https://www.jst.go.jp/program/startupkikin/deeptech/index.html

みらい創造インベストメンツについて

みらい創造インベストメンツは、研究開発型スタートアップの創業前から起業後の事業拡大まで、技術の社会実装に伴走する独立系ベンチャーキャピタルです。東京工業大学(現・東京科学大学)との組織的連携協定のもと、東京科学大学関連ベンチャーをはじめとする研究開発型スタートアップへの投資・育成に取り組んでいます。これまで、みらい創造1号・2号ファンドを通じた投資先から4社が株式上場、5社がM&Aを実現しています(2026年9月時点)。また、2025年12月にはみらい創造3号ファンドを設立し、研究開発型スタートアップへの支援をさらに強化しています。

こうした投資活動に加え、研究シーズの事業化検証、知財戦略、経営チームの組成、資金調達までを一貫して支援する「ベンチャークリエーション」を推進しています。そして、全国のスタートアップ・エコシステム共創プログラムへの参画、九州工業大学をはじめとする全国の大学・地域機関等と連携協定を締結し、研究開発型スタートアップの創出・成長を支えるエコシステム形成を進めてまいります。

WEBサイト https://miraisozo.co.jp

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
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  • 関連組織:株式会社みらい創造インベストメンツ / JST