令和8年7月21日
これまでの都市交通施策の展開を踏まえつつ、コンパクトで持続可能な都市構造の実現や、外出の動機となるウォーカブルな都市空間の創出を進めるため、都市交通施策を再整理し、必要となる施策の検討を目的として、「都市交通施策の再整理に関する検討会」を2月17日(火)に設置し、「都市交通軸ワーキンググループ」、「拠点エリアワーキンググループ」を含めて、これまでに9回開催し、議論を深めてきました。
この度、都市交通施策の再整理に関する検討会の中間とりまとめを公表します。
とりまとめのポイント
主要指標 — KEY FIGURES
○ 近年、外出率が減少傾向にあり、総体として人々の「活動量」が減っている、「『マチ』が『イエ』に負ける」とも呼べる状況を踏まえ、本検討会では、これからの都市交通施策の方向性をとりまとめました。
〇 人々の外出の動機となる「拠点エリア」では、ウォーカブル施策を今一度見直し、プレイス性・回遊性・アクセス性を高めるとともに、そこへのアクセスを支える「都市交通軸」では、公共交通を中心に、従来の「需要対応型」から「需要創出型」への転換を図ることが重要です。
〇 さらに、「拠点エリア」と「都市交通軸」の密接な連動を生み出すため、まちづくりと交通をより一層一体的に検討する包括的な計画体系への転換を図ることが重要です。こうした取組を通じて、「気軽にアチコチお出かけしたくなる・できる街」の実現に向けた取組を推進します。
中間とりまとめの公表
・ 概要版 (別紙2のとおり)
https://www.mlit.go.jp/toshi/content/002012444.pdf
・ 本編
https://www.mlit.go.jp/toshi/content/002012445.pdf
・ これまでの検討経緯
https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_gairo_tk_000106.html
【問い合わせ先】
都市局 街路交通施設課 髙濱、倉田
TEL :03-5253-8111(内線32842、32835)、03-5253-8417(直通)
添付資料
報道発表資料 (PDF形式)
お問い合わせ先
国土交通省都市局街路交通施設課 髙濱、倉田
TEL:03-5253-8111 (内線32842、32835) 直通 03-5253-8417
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添付資料1 これからの都市交通施策の方向性 ~「拠点」と「軸」でアチコチお出かけを促進 ~ 都市交通施策の再整理に関する検討会|中間とりまとめ(概要) 令和 8 年 7 月 外出率の低下 公共交通軸でのサービス水準悪化 外出と経済の関係 1|背景 15% 飲 食 2010 → 2015 店 5% 数
○ 若者を中心とした外出率の低下 0 の -5% 変 R² = 0.775 化 ○ 政策理念と計画・事業の乖離 等 ( -15% % ) 休日外出率の変化(%) -25% -25 -20 -15 -10 -5 0
マチ が イエ に “負ける” 社会 まちあるき、交流、娯楽など「マチを楽しむ」外出を増やし、 健康・エネルギー・経済など包括的な観点から都市の活力の再生を図る
2|目指す都市の姿 まちづくりと一体となった都市交通計画の充実
気軽にアチコチお出かけ 単に したくなる・できる街 「集まる」 実 場所 現 に 向 け 人中心で外出の動機となる て 「拠点エリア」 「時を過ごす」 拠点 移動や都市構造の骨格となる「都市交通軸」
イエに負けない 拠点への 単なる 多様な交通手段による 人を集める拠点 出かけやすさ ネットワーク軸 拠点へのアクセス軸
3|まちづくりと一体となった都市交通計画の充実
まちづくり施策と都市交通が 政策目標の 一体となった包括的計画 実現力の強化 需要創出型の計画 密接に連動 ≪取組の方向性≫ 横断的モビリティ計画 ○ まちづくりに関する包括的な計画への位置づけ 包括的計画の実効性を高める ○ バックキャスト型の目標 ○ 地区交通計画の実効性の向上 都市交通に関する計画 ○ 都市の包括的目標への寄与 ○ 「拠点」と「軸」を連動するプランの実現
4|都市交通軸の強化 5|拠点エリアの魅力や快適性の向上 ○ 都市交通軸を担う公共交通は、都市政策と密接な連 ○ 様々な交通モードが適正に処理された人中心で魅力 携のもと「需要対応型」から「需要創出型」へ発想 ある都市空間を多様な主体と連携し創出 を転換し「正のスパイラル」を創出 居心地・滞在環境 プレイス性
移動しやすさ 到達しやすさ 回遊性 アクセス性
≪取組の方向性≫ ○ 自動車交通の適正な処理 ○ 多様な主体との連携 ○ アクセス性・回遊性・プレイス性の向上 ○ ウォーカブル施策の理念レベルでの再整理 ≪取組の方向性≫ ○ サービス水準の向上 - 運行頻度、定時性・速達性 等 ○ 公共交通の需要創造 - 居住誘導、運賃・乗り継ぎ 等 ○ モノも含めた移動環境構築 - 物流まちづくり 公共交通等分担率と外出率の相関 建物内コンテンツまで含めた「ウォーカブル」 モビリティ・ハブの導入
○ 都市政策と交通政策の実効的な連動強化や各地域への施策展開を図るための方策 6|さらなる検討事項 ○ 「拠点」と「軸」の強化を一体的に進めるための事業制度等の改善・充実の方策 ○ 自動運転等の進展を見据えた中⾧期的な視座に立った都市交通施策のあり方 等
添付資料2 これからの
都市交通施策の方向性 ~「拠点」と「軸」でアチコチお出かけを促進~
都市交通施策の再整理に関する検討会 中間とりまとめ
令和8年7月 ※生成AIにて作成
都市交通施策の再整理に関する検討会 ■ はじめに
都市は、いつの時代も人々の移動とともに発展してきた。 人々が往来する要衝においてモノや情報が交換され、その地域の歴史・文化とも掛け合 わされることで固有の発展を遂げながら、人々をさらに惹きつけ、その都市ごとの魅力を 高めてきた。こうした中で都市交通の役割は、土地利用と連動しながら、様々な移動モー ドを横断的に対象とし、集中する人流・物流を適正に処理することで、都市の健全な発展 を促すことであった。 いま、人々は移動しなくなってきている。 デジタル技術の素晴らしい進展とともに、仕事や買物、娯楽をも含め、様々なアクティ ビティが自宅にいながらにして享受できるようになった。その一方で、休日の外出率は5 割ほどに落ち込み、「『マチ』が『イエ』に負ける」とも呼べる状況にある。 こうした状況を打破するには、今一度、「都市」と「交通」について考え直さなければ ならない。このため、人々の外出の動機となる「拠点エリア」の魅力向上と、そこへのア クセス性を担保する「都市交通軸」の強化に取り組むべく、本検討会は約4か月にわたり 集中的に議論を深めてきた。特に、「拠点エリア」の魅力向上のためには、ウォーカブル 施策を今一度見直し、様々な移動モードを適正に処理しながら、多様な主体との連携・協 働のもと、プレイス性、回遊性、アクセス性を向上する施策を講じることが重要とした。 また、「都市交通軸」の強化については、公共交通を中心に据えながら、従来の「需要対 応型」を脱し、「需要創出型」のサービス水準への転換を図るべく、サービス水準の向上 や、公共交通の需要創造に取り組むことが重要とした。さらに、この「拠点エリア」と 「都市交通軸」の密接な連動を生むため、まちづくりと交通をより一層一体的に検討する 包括的な計画体系への転換を図ることが重要とした。これらを通じ、本検討会としては 「気軽にアチコチお出かけしたくなる・できる街」を目指していくことが重要と考える。 都市計画において「都市」と「交通」は一体である。人々がアチコチ行き交う、魅力と 活気あふれる街を取り戻すため、改めて、この認識が都市と交通に携わる全国の実務者へ と広がり、各地で日々奮闘する方々の力となれば幸いである。
目次
❶ 背景 ・・・ P.3
❷ 目指す都市の姿 ・・・ P.7
❸ まちづくりと一体となった都市交通計画の充実 ・・・ P.11
❹ 都市交通軸の強化 ・・・ P.15
❺ 拠点エリアの魅力や快適性の向上 ・・・ P.21
❻ さらなる検討事項 ・・・ P.27
1 ■ 検討経緯 【親会議】令和8年2月17日 ○ 都市交通をめぐる近年の状況 ○ 主な論点の提示
【拠点エリアWG】2月24日 【都市交通軸WG】3月6日 ○ 有識者からの話題提供 ○ 有識者からの話題提供 【拠点エリアWG】3月13日 【都市交通軸WG】3月18日 ○ 論点整理、検討の方向性 ○ 論点整理、検討の方向性
【親会議】3月30日 ○ 方向性の整理(WGの中間報告等) ○ 論点整理、検討の方向性 【拠点エリアWG】 6月1日 【都市交通軸WG】6月12日 ○ 中間とりまとめの案 ○ 中間とりまとめの案 ○ さらなる検討事項の整理 ○ さらなる検討事項の整理
【親会議】6月26日 ○ 中間とりまとめ ○ さらなる検討事項の整理
【中間とりまとめ】7月21日
- - - さらに議論を継続 - - - 【中間とりまとめ】 令和9年6月頃
委員一覧
[ 親会議 ] [ 都市交通軸WG ] [ 拠点エリアWG ] 姥浦 道生 姥浦 道生 ◎大沢 昌玄 東北大学災害科学国際研究所 教授 東北大学災害科学国際研究所 教授 日本大学理工学部土木工学科 教授 ○大沢 昌玄 小嶋 文 大門 創 委 日本大学理工学部土木工学科 教授 員 國學院大學 観光まちづくり学科 教授 小嶋 文 埼玉大学理工学研究科 准教授 ( 埼玉大学理工学研究科 准教授 柴山 多佳児 藤村 龍至 学 識 藤村 龍至 ウィーン工科大学 交通研究所 Senior Scientist 東京藝術大学 准教授 東京藝術大学 准教授 三浦 詩乃 者 ◎森本 章倫 ) 三浦 詩乃 中央大学理工学部都市環境学科 准教授 早稲田大学 理工学術院社会環境工学科 教授 中央大学理工学部都市環境学科 准教授 吉江 俊 ◎森本 章倫 東京大学大学院 工学系研究科 講師 早稲田大学理工学術院社会環境工学科 教授
委 山形市 員 山形市 まちづくり政策部 宇都宮市 都市整備部 まちづくり政策部 ( 宇都宮市 都市整備部 岡山市 都市整備局 さいたま市 都市局 都心整備部 地 方 神戸市 都市局 都心再整備本部 熊本市 都市建設局 神戸市 都市局 都心再整備本部 公 共 岡山市 都市整備局 団 体 )
国土交通省 総合政策局 地域交通課 国土交通省 総合政策局 地域交通課 国土交通省 都市局 まちづくり推進課
都市局 国際・デジタル政策課 都市局 国際・デジタル政策課 市街地整備課
まちづくり推進課 都市計画課 公園緑地・景観課
都市計画課 警察庁 交通局 交通規制課 道路局 路政課道路利用調整室 関 係 市街地整備課 企画課評価室 省 警察庁 交通局 交通規制課 庁 公園緑地・景観課 道路局 路政課道路利用調整室 企画課評価室 ※ ◎ : 座長 ○ : 副座長 警察庁 交通局 交通規制課 ※ 事務局 : 国土交通省 都市局 街路交通施設課
2 ① 背 景
○ 近年の都市政策では、人口減少社会の到来など社会経済情勢の変化に対応すべく、 「コンパクト・プラス・ネットワーク」を理念とし、都市交通施策や市街地整備施策を 連携させた「総力戦」により、快適で魅力的なまちづくりを進めている。 ○ また、令和2年には「ウォーカブル」施策が制度化され、都市の固有の魅力や、滞 留・交流など質的な面も政策的な重要度が増している状況。
H19 集約型都市構造の提示 基幹的な公共交通沿いに ・公共交通と拠点整備による集約的な市街地像 集約拠点の形成を促進
H26 立地適正化計画制度の創設 ・公共交通軸と連携した都市機能や居住の誘導 ・地域公共交通計画との一体性を確保
R2 ウォーカブルなまちづくり ・目的性の高い移動だけではなく、 滞留・回遊行動の需要喚起も交通 政策の重要な対象に
機能と質 両面の充実
(コラム)「都市交通」について
・「都市交通」の特性について、例えば下記のようなフレーミングがなされている。
『図説 わかる都市計画』 『実務者のための新・都市計画マニュアルⅡ』 第6巻 森田哲夫・森本章倫 編著(2021、学芸出版社) 編 (社)日本都市計画学会(2003、丸善)
都市交通計画は都市計画の一部であり、交通計 画の一部である。 都市交通は、人や物が様々な都市活動に伴って、空 間を移動して生じる個々の行動の集合体である。そ れぞれの行動は、都市の構造や土地利用と相互に 深く関連し影響しあい発生している。また、発生した 行動は、具体的には都市交通施設を通して移動が なされる。したがって、都市交通計画を考えるにあたっ ては、都市構造あるいは土地利用と、都市交通施設 との関係を十分に考えたものでなければならない。
3 ○ 一方、全国で立地適正化計画に基づくコンパクトなまちづくりが進められているものの、 公共交通軸の沿線での人口減少や、骨格構造と位置付けられた公共交通の廃止・減便な どにより、理念・計画・事業の乖離が、近年、特に顕著になっている。
ー 公共交通軸でのサービス悪化 ー ー ウォーカブルなエリアでの魅力の低下 ー 立地適正化計画と地域公共交通計画における拠点の一致状況 歩行者と自動車の錯綜
拠点配置の一致率が80%以上 7 拠点配置の一致率が80%未満
※中核市のうち、両計画において、都市構造図が明示 されている31市が対象。 24 ※「一致」は、立地適正化計画と地域公共交通計画に おける拠点の場所が合致する場合を集計。 ※「不一致」は、両拠点が設定されており、場所がず 地区交通の処理が適正に行われず、 都市数 れる場合、片側の計画の拠点が欠ける場合を集計。 歩行者空間の魅力に対して負の影 出典:浅野純一郎・近藤良太(2024) 「地方都市における立地適正化計画と地域公共交通計画による拠点設定の一 響が生じている事例が存在 致性とその実質に関する研究」都市計画論文集,第59巻第2号、233-241頁 出典:A市資料より作成
立地適正化計画策定後の公共交通の状況 コインパーキング・屋外平面駐車場
都市数 路線の廃止や、運行本数の減少が その他形式の駐車場 生じている都市が数多く存在 19
229 126 9 中心市街地にお いて、空き店舗 運行本数が増加傾向 などが駐車場化 運行本数の増減なし 骨格構造に位置付けた路線のうち、運行本数が減少した路線がある し、スポンジ化 骨格構造に位置付けた路線のうち、廃線された路線がある が進んでいる事 例が存在 ※運行本数に関する質問に回答があった自治体を対象に分析 令和4年4月時点 (都市局実施の調査より作成) 出典:B市立地適正化計画
○ さらに、スマートフォンの普及やオンラインショッピング、テレワークの拡大などは、 自宅にいながらにして仕事も買物もできるなど我々の生活を飛躍的に便利にし、暮らし の選択肢を増やしてくれたが、人々の移動という観点から見ると、若年層を中心に外出 率・移動回数は低下傾向にあり、平日の業務や買物目的の移動に加え、休日の食事や観 光など、「都市を楽しむ」と言うべき移動についても減少が顕著。 ○ このような状況の下、業務や買物などのために結果的に人が「集まる」だけの地区は、 今後外出先として選択されにくくなり、都市機能の空洞化が進むおそれ。
外出率の推移 目的別移動回数の推移 EC化率・TW実施率・スマート 外出率 ※通勤、業務は平日、私事は休日 フォン普及率 100% 94.5% 指数(1999年=1) 88.6% 90% 89.3% 1.22 30% 90% スマートフォン普及率
1.2 1.10 72.0% 27.0% 75% EC化率・TW 実施率
74.1% 25% 80% 86.3% 85.8% 71.1% 71.3% 1.0 20% 60% 70% 1.00 0.99 0.86 68.6% 15% 13.3% 45% 0.8 0.91 0.86 14.8% 60% 69.5% 10% 68.5% 52.5% 8.8% 30% 0.6 0.68 50% 5% 9.7% 15% 4.8% 45.5% 40% 0.4 0.51 0% 2.8% 0% 1987 1992 1999 2005 2010 2015 2021 1999 2005 2010 2015 2021 平日(全世代平均) 休日(全世代平均) 通勤 業務 EC化率 平日(20代男性) 平日(20代男性) 私事/買物 私事/その他私事 TW実施率 スマートフォン普及率
20代男性は外出率の低下が著しく、 通勤・業務・買物・その他私事を 近年、スマートフォンをはじめ 全世代平均より外出率が低い 目的とする移動の減少が顕著 デジタル技術が飛躍的に普及 出典:国土交通省 都市局 都市計画課 都市計画調査室「全国都市交通特性調査」より作成 (EC化率)経済産業省 令和6年度電子商取引に関する市場調査 (TW実施率)国土交通省 令和7年度テレワーク人口動態調査 (スマートフォン普及率)総務省 令和7年通信利用動向調査より作成
4 〇 人々が外出しなくなることは、健康や経済をはじめとした国民の様々な社会活動に対 し、負の影響を及ぼす可能性が示唆される。
休日外出率の変化率 × 飲食店事業所数の変化率 休日外出率 × 平均寿命 (2010 → 2015) 86.5 15% 飲食店事業所数の変化率
10% 5% 85.5
平均寿命(歳) 0% -5%-20 -15 -10 -5 0 84.5 -10% R² = 0.8719 -15% R² = 0.7792 83.5 -20% -25% 82.5 -30% 35 45 55 65 休日外出率の変化率(2010→2015) 休日の外出率(%)
出典: 出典: (外出率)令和3年度全国都市交通特性調査 (外出率)令和3年度全国都市交通特性調査 (事業所数)RESAS 事業所立地分析 (平均寿命)令和2年市区町村別生命表 令和3年度全国都市交通特性調査の対象都市70都市について、各都 令和3年度全国都市交通特性調査の対象都市70都市について、外出 市で最も乗降客数の多い駅から半径1km圏内の飲食店事業所数をカウ 率を5%レンジで見たときの平均寿命の平均値をプロット ントした後、外出率を5%レンジで見たときの飲食店事業所数の変化 率の平均値をプロット
都市機能の衰退 CO2排出量 都市経済の低迷 イノベーション創出力の低下 の増加
不健康な 外出率の低下 公共交通 車への エネルギー利用 =
市民の増加 街や近所に出かける市民の減少 の衰退 依存度の上昇 効率の悪化
地域コミュニティの希薄化 交通弱者の移動環境の悪化 地域の防犯・防災力の低下
外出率の低下、すなわち市民の活動量が減ってしまうと、 都市機能の衰退、地域経済の低迷など都市の活力の低下をもたらすだけでなく、 健康、環境、安全・安心、包摂性など、社会の様々な分野で深刻な社会課題を顕在化させるおそれ
マチ が イエ に“ 負ける ”社会
(コラム)都市交通における公共交通の重要性 ・ 公共交通の役割は、大きく「まとめて運ぶ」、「誰でも使える」の2つ。 ・ 「まとめて運ぶ」は、輸送の効率化やそれに伴う渋滞解消、エネルギー利用の効率化などに寄与する。 ・ 「誰でも使える」は、子どもや高齢者、障害者など、自ら運転することが難しい人を含め、包摂的な移 動手段の確保に寄与する。 ・ 多様な人や交通モードが集まる都市という場においては、特に公共交通の役割が重要。 (参照)中村文彦(2021)「まちづくりにかかせない公共交通のために」『新都市』第75巻、第2号(2021年2月)
5 ○ このため、交通施策を単体で捉えるのではなく、まちづくり政策との一体性を強化す ることはもとより、健康、エネルギー、経済など、他の広範な政策にも関連付けながら、 総合的かつ包括的な観点から都市交通施策を検討することが必要である。
健康 エネルギー 1人を1km運ぶのに必要なエネルギー消費 原単位[kcal/(人・km)] (2024年度) 自家用乗用車 441 航空 324 バス 192 鉄道 44 七日町大通り・御殿堰 | 山形市 0 200 400 600 (歳) 輸送機関別1人を1km運ぶのに必要な 90 87.97 エネルギーの推移 女性 87.44 平均寿命 800 88 2.90 位エ 567 637 86 2.98 不健康な期間 ネ 563 551
[kcal/( 600 ル 476 441 84 84.46 85.07 健康寿命 ギ 523 547 383 400 0.61年延伸 81.95 ー 304 324 82 男性 81.17 平均寿命 人消 155 162 196 192 200 不健康な期間 1.25 ・費 62 44 80 1.33 48 49 46
km)] 80.70 健康寿命 原 0 78 79.84 単 0.86年延伸 1996 2000 2004 2008 2012 2016 2020 2024 年度 平成25年 令和4年 自家用乗用車 バス 鉄道 航空 出典:山形市提供資料 出典:EDMCエネルギー・経済統計要覧(2026年度)をもとに作成
親水空間整備等、総合的な取組の効果として、 公共交通は、輸送量当たりの 健康寿命の延伸なども見られる エネルギー消費量が比較的少ない
都市経済
LRT沿線では、住宅地・商業 地ともに地価の向上が見られる
出典:宇都宮市提供資料より作成
広範な課題への対応が都市に期待される一方、 外出率の低下傾向が鮮明となった今、 市民の活動量を増やし、経済、健康、エネルギー、包摂性など 我が国の活力を下支えし伸ばしていくことに都市交通が資することを 改めて認識し、その施策の再整理とアップデートを図ることが不可欠 (コラム)「都市交通施策」の領域イメージ
・ 「都市交通施策」は、都市的な土地利用がなされ ている範囲において、「都市計画」の一部として、 様々な移動モードを横断的に対象とし、それらが 相互に調和し複合的に効果を発揮することを目的 とした、交通に関する施策として整理する。 ※各施策はイ メージとして 例示したもの で、網羅した ものではない
6 ② 目指す都市の姿
気軽にアチコチお出かけ したくなる・できる街
単に人が「 集まる 」街にとどまらず、人を「 集める 」街を目指し、 特定目的の有無にかかわらず、気軽に街に出て回遊する移動(お出かけ)を増やす
「イエ」に負けない人を集める街 拠点への「出かけやすさ」の向上 拠点エリアの魅力向上 × 都市交通軸の強化
〇 「拠点となるエリア」へ気軽かつ簡単 〇 お出かけを増やすためには、人々を惹 に移動できるよう、自宅などの生活拠 きつける魅力的なコンテンツやアク 点からのアクセス性を高め、出かけや ティビティが散りばめられた「拠点と すくなることが重要。 なるエリア」の存在が重要。 〇 需要創出の観点からもアクセス性の高 〇 また、エリアでの滞在快適性を高める い(出かけやすい)地域へ居住を誘導 ために様々な交通モードを適正に処理 することが重要。 し、人中心のウォーカブルな空間を目 〇 健康やエネルギー、包摂性などの観点 指していくべき。 からも、公共交通によるアクセス性の 向上が重要。
本検討会における「拠点エリア」と「都市交通軸」の対象
< 拠点エリア > < 都市交通軸 > ・ 本検討会における「拠点エリア」とは、都 ・ 本検討会における「都市交通軸」とは、都市機 市機能誘導区域やウォーカブル区域などを 能誘導区域相互、都市機能誘導区域と居住誘導 念頭に、様々な交通モードが適正に処理さ 区域を連結し、都市における社会経済活動の主 れた、人中心で外出の動機となる一定の面 軸として、市民や来街者の気軽な外出を促す装 的広がりを持った都市空間と考える。 置として、都市の骨格を形成し都市構造を規定 ・ 拠点の考え方としては、いわゆる「まちな する幹線道路等と考える。 か」を中心としつつ、居住地に近接した生 ・ なお、このうち、幹線バス路線、BRT、LR 活拠点も対象とする。 T、鉄道等の幹線的な公共交通機関が運行して いる路線を「公共交通軸」として整理する。
7 ○ 従来より、まちづくり施策と交通施策は一体的に取り組むべきとされ、様々な施策を講じてきたが、 市民の外出率の低下傾向が都市の活力を継続的に低下させていくことが見込まれる今日、その必要 性を改めて強く認識すべき。 ○ 例えば、まちなかに魅力的な都市機能を集積させても、それらが車両流入により分断され、歩行者 の安全で快適な回遊が阻害されれば街の魅力が半減してしまうように、拠点形成と自家用交通も含 めた交通処理とを一体的に扱わなければ、まちづくり施策として目指すべき効果が発揮されない。 ○ 疲弊しつつある地方都市の活力を取り戻し、その再生を図っていく観点から、計画レベルから施策 レベルに至るまで、都市におけるまちづくり施策と交通施策を一体化させる理念、枠組、施策の充 実に取り組むことが必要。
拠点エリアの課題 都市交通軸の課題 ・ そぞろ歩きしたくなるような歩行者中心であ ・ 公共交通軸に位置付けられた路線ですら、減 るべき空間に対しても、通過交通や駐車場を探 便や廃止といった憂き目にあう公共交通が相当 「 すうろつき交通が流入し、ストリートの快適性 数存在。 目 や安全性に対して負の影響。 ・ 沿道施設の駐車場への出入りで発生する交通 指 混雑により、公共交通だけでなく自家用交通と す ・ 小規模な駐車場がそこかしこに点在し、にぎ 都 わいや魅力に負の影響があるだけでなく、ドラ しても渋滞に巻き込まれるなど、定時性・速達 市 イバーとしても、歩行者を避けながら空き駐車 性への負の影響。 の 場を探さなければならず、利便性が良くない。 ・ どのバスに乗れば目的地にたどり着くのかが 姿 」 ・ 街路や沿道空間の活用が社会実験のイベント 分かりづらく、結果としてマイカーでの移動が の に限定され、なかなか日常的な居場所の創出に 選択されるなど、ユーザー目線での需要喚起が 実 つながっていない。 できていない。 現 に 連動するにも・・・ あ た プランニングの課題 っ て ・ まちづくりに関する計画と交通に関する計画が、策定プロセスや内容の面でもバラバラとなってい の る場合が少なくなく、双方の計画における実効的な連動が不十分。 課 題 ・交通施策に関して、都市部局は、交通事業が主として民間により運営されており、都市政策からの アプローチが難しいという意識を持っていたり、交通部局はバス路線の廃線等に伴う目先の移動手段 の確保に注力せざるを得ないなど、都市と交通の実質的な連携が図られていない場合がある。 ・ 都市交通に関する計画についても、クルマはクルマ、自転車は自転車、公共交通は公共交通、など といったように個別の交通手段ごとの計画が中心であり、横断的なモビリティ計画となっていない。
まちづくりと一体となった都市交通計画の充実 “都市”、“交通”、“各モビリティ”がバラバラ から “包括的・一体的な都市交通計画”へ 課 題 まちづくり施策と都市交通が 包括的計画の実効性を高める 解 一体となった包括的計画 × 都市交通計画 決 に 向 け 拠点エリアの魅力向上 都市交通軸の強化 た 施 単に“通勤客等が集まる拠点” 単に“ネットワークとしてつなぐ軸” 策 から から の “時を過ごす拠点”へ “多様な交通手段によるアクセス性を向上する軸”へ 考 え 方 様々なコンテンツと 人中心の空間形成 ○ 公共交通 :サービス水準向上と併せた需要創造 アクティビティ (沿線居住誘導) ○ 車を抑制した歩行者空間 就業、商業、食、居住 × ○ 市民の居場所(プレイス) ○ 道路交通 :走行速度の維持・向上、多様なモビリ 芸術、スポーツ、伝統… ○ 多様なモードによる移動利便性 ○ 周辺からの高いアクセス性 ティを適正にすみ分ける走行空間の確保
8 ○ 人口減少のみならず、都市で暮らす人々の「活動量」までもが減ってしまう状況では、 都市の活力や都市経済が停滞し、「コンパクト・プラス・ネットワーク」の健全性が損 なわれる。このため、人口が減少する中でも、市民の「活動量」を増やす観点で施策展 開を図っていくことが必要。 ○ 市民の「活動量」たる外出行動には、ライフスタイルや価値観の変化、個々人の性格 や属性など様々な要素が関連すると考えられるが、都市政策の観点では、外出の動機や 目的となる「場」や、そこへの「行きやすさ」も重要な観点。 ○ このため本検討会では、人中心で外出の動機となる「拠点エリア」と、移動や都市構 造の骨格となる「都市交通軸」に着目して施策を展開。
人中心で外出の動機となる 「拠点エリア」
移動や都市構造の骨格となる 「都市交通軸」
「拠点」と「軸」の密接な連動を生み出す 都市と交通の一体的なプランニング
(コラム)「トリップ」の性質
・ 移動には、大きく「義務」「生活維持」「自由 裁量」の3つがあり、それぞれの性質が異なる。 ・ 業務トリップは減少しているが、それが私事ト リップに転換されていない傾向。 ・ トリップ数を増やすには、行き・帰りの2ト リップにもう1トリップを増やすことのほか、 0トリップの方に外に出てもらうことも重要で あり、それぞれ別の施策が必要。 ・ 加えて、「義務」「生活維持」「自由裁量」は、 完全に分離できるものでもなく、通勤途中での ちょっとした寄り道や買物の中で少し良いもの を買ってみるなど、その中に「自由裁量」的な 楽しさを見出すことも考えられ、むしろその境 界があいまいとなることで都市生活が豊かにな る可能性も考えられる。
9 ○ 拠点エリアの魅力向上と、そこへのアクセス性を高める公共交通を中心とした都市交通 軸の強化により、都市における様々な政策効果が期待される。
ー 拠点エリアの魅力向上による効果 ー ー 都市交通軸の強化による効果 ー
公共交通・徒歩・自転車分担率と グロス原単位 3.0 2.8 2.6 グ ロ 2.4 ス 原 2.2 単 2.0 位 サンキタ通り・サンキタ広場 | 神戸市 1.8 1.6 1.4 サンキタ通り滞在者数のうち34歳以下の割合 R² = 0.8017 1.2
42.0% 41.2% 1.0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 39.9% 40.0% 39.2% 39.1% 39.2% 分担率 37.3% 37.7% 38.0% 36.5% ※グロス原単位: 36.0% 人口(外出していない人も含む)を母数 とした平均トリップ数 34.0% 10月 11月 12月 平均 2020年 2021年 出典: 第6回東京都市圏PT調査(平成30年実施)結果(東京 都市圏交通計画協議会)より作成 出典:神戸市提供資料 分担率を5%レンジで見たときのトリップの平均値を プロット
歩行者交通量が前年比で162%となり、 公共交通等の分担率が高いほど 若者の割合増といった変化も見られる。 トリップ数も多い傾向が見られる。
(コラム)自動運転社会への対応 ・ 来たるべき自動運転社会においては、誰もが気軽に利用できる移動手段となり得ることや、複数車両の 一括管理による運行効率化、ヒューマンエラー低減による安全性向上など、多くのメリットが期待され る。 ・ 他方、都市部において供給過剰が生じた場合、渋滞や都市・道路交通の負荷が増大する可能性が考えら れることや、自動運転車両と他の交通機関との役割分担や規律のあり方が課題となる。 ・ 自動運転社会においても、人中心で外出の動機となるような 魅力あるまちなかや、公共交通を中心とした都市構造の骨格 となる移動の軸は変わらず必要であると考えられ、また、自 動運転車両を含め様々な交通モードの受け皿となるモビリ ティ・ハブなども重要性が高まるものと考えられる。 ・ 自動運転社会への対応も見据えながら、現在抱える課題への 対応も戦略的に取組、中長期的な視野で自動運転とも調和し た都市交通施策を展開していくことが望まれる。
(参考1)国土交通省自動運転社会実現本部 (参考2)『都市空間における自動運転技術の活用に向けたポイント集』国土交通省都市局、令和7年5月
10 ③ まちづくりと一体となった都市交通計画の充実
○ まちづくり施策と交通施策との一体性を強化する観点から、例えば、立地適正化計画の なかで、土地利用と都市交通の将来像を密接に関連付けて記載を充実させるとともに、 地域公共交通計画においても、まちづくりと連動した地域公共交通施策に係る記載を充 実させるなど、「拠点」と「軸」を相互に連動させる実効的な計画策定を推進していく べきである。
密接に まちづくり施策と都市交通が 包括的計画の実効性を高める 一体となった包括的計画 都市交通に関する計画 連動
○ 都市が目指す将来像を実現する観点から、都市交通に関する計画の充実を図っていくべ きである。 ○ 現状の都市の状況や交通需要に対し、分野別に逐次対応するのではなく、目指すべき都 市像を見据え、移動需要を創出する観点で、様々な交通モードを包括的に対象とした都 市交通計画への転換が必要となる。
政策目標の 需要創出型の計画 実現力の強化 〇 現状の需要に対応するだけでなく、都市の将来像 ○ 単なる現状を追認する計画 から逆算した、人々の移動需要を創出する観点の計 ではなく、都市の将来像を見 画とすべき。 据え、データに基づく根拠を ○ 特に、「拠点」の魅力と、「軸」での移動需要は 持った計画とすべき。 一体であるという観点のもと、それらが一体となっ ○ この際、都市交通施策の展 た計画となるよう留意すべき。 開によって、環境や健康など も含めた交通以外の都市が目 指す包括的な目標と密接に連 横断的なモビリティ計画 動する目標も設定すべき。 〇 これまでは、交通モード別に各種計画や目標設定、 具体施策を講じてきたが、「拠点」と「軸」の連動 という観点では、土地利用とも密接に関連させなが ら、様々な交通モードを横断的に捉え、都市の将来 像に合致した人々の移動を計画していくべき。
自転車・二輪車 まちなか モビリティ 徒歩 での移動 ハブ 公共交通 自宅 モビリティ 自転車 ハブ シェアモビリティ コミュニティバス
拠点エリア 都市交通軸 ※記載する交通モードは一例 11 取り組みの方向性 ≪取り組みの方向性≫ 「拠点」と「軸」の位置付け 包括的な計画 エビデンスの充実 計画 アクションプランの質の向上 地区交通計画 全体計画との整合 具体性・即地性の向上 必要となる基盤整備 次世代のテーマへの対応 事業 プランの実現 コンテンツと交通施策の連携 デジタル技術の活用
1|まちづくりに関する包括的な計画への位置付け ● 公共交通と土地利用は相互に誘導し合う密接な関係にあることから、広域的な観点も 踏まえながら土地利用等のまちづくりに関する事項と都市交通に関する事項は包括的に 検討されるべき。 ● 加えて、目指すべき都市構造を実現するためには、現状追認型ではなく政策目的実現 型で各種の施策を連携的かつ戦略的に展開する必要があり、例えば外出率の向上や公共 交通分担率の向上等の目標に対し、明確なシナリオのもとで施策の方向性を検討するこ とが必要。
「拠点」と「軸」の位置付け 計画段階で都市機能誘導区域等の拠点性を高める施策 の方針と都市交通軸に関する方針の双方を包括的な計 画に明記し、具体的な取組の土台を構築すべき
まちづくりの観点から公共交通 の充実に資する取組を位置付け 誘導区域と公共交通利便性強化路線 出典:厚木市コンパクトプラス エビデンスの充実 ネットワーク推進計画
公共交通のサービス水準と土地利用の 施策の立案や評価には交通手段分担率が基 関係に関する研究を深め、施策立案に 幹的な指標となる観点から、自治体の負担 活用していくべき が比較的少なく、交通手段別利用実態を算 出できる手法が必要 500
450
400 片道30本以上になると 350 1日の乗車人数が50人 乗車人数(人/日)
300 以上になりやすい 250
200
150 片道30本未満のバス停 100 は圏域人口が多くても 50 乗車人数は少ない 0 0 20 40 60 80 100 120 140 バス停300m圏の人口密度(人/ha) 出典:岡山市資料より作成 市民の移動実態を簡易に把握する試み バス停の便数・圏域人口・利用者数の関係(岡山市) (令和7年度 岡山市)
12 2|地区交通計画の実効性の向上 ● 魅力ある快適性の高い拠点エリアを形成するには、まず、都市構造全体の中で、当該 エリアがどのような場所であるのかを位置付けることが必要。 ● 拠点エリア形成には、都市全体の交通のあり方や地区内のまちづくり施策の展開方向 とも連動させながら、多様な交通モードを統合的に対象とした包括的かつ体系的な地区 交通に関する計画が必要。
都市全体の交通計画との整合 立地適正化計画等に拠点エリアを設定する 際は、都市交通軸との関係を踏まえ、エリ アへのアクセスや、地区交通の処理に関す る方針を定めるなど、適切な地区交通計画 の策定を促すべき
出典:岡山市 総合交通計画
具体性・即地性の向上 地区交通計画の策定には、適切な支援を講じなが ら、一定以上の具体性・即地性を求めていくべき
出典:鳥取大学工学部助教 吉野和泰氏 提供資料より作成
アクションプランの質の向上 具体的な事業と結びつくアクションプランに 地区交通戦略 関して、国としてもその質と実効性の確保の 駅施設 ための取組を進めるべき 自由通路 EV
都市・地域総合交通戦略 駅前広場 路面電車 ・LRT
立地適正化計画 駐輪場 駐車場
停留所
・「まちなか」 都市の骨格となる公共交通軸 ・駅や駅前広場と周辺街区(駅まち空間) ・居住誘導区域等の限定されたエリア など
13 3|「拠点」と「軸」を連動するプランの実現 ● 具体的・即地的な計画の実現には、総合的観点から事業を組み合わせた取組が必要。 ● 特にLRTなど軸性の強い公共交通の導入や、将来的な自動運転社会を見据えた基盤 整備など、次世代の交通モードへの対応は都市政策としても重要性が増している。 ● 加えて、まちなかのコンテンツと交通政策が連携したパッケージでの施策展開も「拠 点」と「軸」の連動という観点から重要。 ● また、住民や関係者との合意形成の中で都市交通軸の意義や空間像への理解が深まっ ていくことも重要であり、デジタル技術や、関連するデータの整備・公開も有効。
基盤強化に係る総合的取組への支援 次世代テーマへの重点的な支援 質の高いアクションプランと強固に連動 次世代交通モードを前提とした基盤整備 する事業に関して、一層の支援の強化を について、一層の支援強化を講じるべき 講じるべき 東側(銀天街) タクシー乗降場や送迎 用スペースを整備 電停の北側に 交流広場を整備
電停 郊外電車駅
愛媛県松山市 路面電車を郊外電車に近 における事業例 づけ乗継利便性を向上 出典:『都市空間における自動運転技術の活用に向けたポイント集』、 国土交通省都市局、令和7年5月 まちなかのコンテンツと交通施策の連携 集客施設と公共交通のチケットをセットにするなど、公共交通での来訪や、派生的な地 区内移動を促す仕掛けが重要 コンサート等のイベントチケットを 購入すると公共交通が無料で利用で きるコンビチケットが付帯
あるエリアの滞在時間が 延びると、他のエリアの 滞在時間が延びるといっ た調査結果がある Konzerthaus Dortmund 東京大学大学院新領域創成科学研究科 出典:https://www.vrr.de/en/tickets-fares/ticket-overview/kombiticket/ 特任助教 岡田潤氏 提供資料より作成
デジタル技術の活用による合意形成の円滑化 街の現状及び将来像と関連する各種調査結果を都市のデジタルツイン上に可視化するな ど、デジタル技術の活用を推進するべき
出典:さいたま市提供資料 出典:宇都宮市提供資料より作成 より作成 出典:Project PLATEAU HPより作成
14 ④ 都市交通軸の強化
○ 魅力ある拠点エリアへの来街や、利便性の高い生活拠点に人を集めるためには、そう した拠点へのアクセス性を確保することが重要。 ○ こうした移動を支える(または生み出す)ために、特に地方都市では自家用車が主た る移動手段であることに十分に留意しつつ、輸送効率や渋滞の抑制、環境負荷の低減、 自家用車での移動が困難な人の移動手段の確保などの観点から、都市交通軸は路線バス や鉄道などの公共交通を中心として構成することが望ましい。 ○ 公共交通のサービス水準は、従来の「需要対応型」の発想では需要縮小に伴って低下 する「負のスパイラル」に陥りやすい。このため、都市交通軸を担う公共交通は、都市 政策との密接な連携のもとで必要なサービス水準を確保する「需要創出型」へ発想を転 換し、それがさらなる需要を生む「正のスパイラル」を創出すべき。
サービス水準 人口減少 サービス水準 の低下 ・ の向上 (運行頻度等) 外出率低下 (運行頻度等)
需要対応型 需要創出型 の の サービス水準 外出率や サービス水準 外出率や 車への転換 トリップ数の トリップ数の低下 公共交通 維持・向上 ・ (公共交通 分担率の ・ 街の 分担率低下) 維持・向上 街のにぎわい にぎわい減 創出
負のスパイラル 正のスパイラル
都市の活力・持続可能性の向上 環境 包摂性 健康 経済 魅力
(これまで) (これから)
路線・運行頻度 交通政策 交通施策 運賃・乗り継ぎ 都市交通政策 都市施策 都市政策 まちなかの魅力
15 (コラム)岡山市における公共交通利用促進の社会実験(令和5年)
・ 岡山市において、運賃施策による公共交通の利用促進実験を実施したところ、外出機 会の創出や消費喚起効果が確認されるなど、公共交通利用の促進による街への波及が示 唆された。
中 中心部の滞在人数は、通常の日曜日と比較 心 して、最大で約2万人(54%)増加。 部 の 滞 市内 在 ※エリア内で連続15分以上観測された推計人数(通勤者・居住 人 者除く) 数 ※基準日は、令和5年8月~11月の無料DAY以外の日曜の平均値 基準日 無料DAY(10月8日) (データ)「KDDI Location Analyzer」KDDI・技研商事インターナショナル
外 出 促 5,000~6,500人程度の外出 進 機会が創造された と 消 費 喚 4,000〜5,800万円程度の消 起 費喚起効果があった 効 果
※同年の10月8日(日)、11月3日(金・祝)に実施したアンケート調査の回答をもとに分析
(コラム)公共交通利用の促進により期待される効果 ・ 東京都市圏のように、公共交通の利用割合が高い都市では、外出率が高くなる傾向が一定見られる。 また、人口密度が高いエリアでは、運行頻度が高い傾向にあり、そういったエリアは公共交通利用割 合が高いという傾向も見られる。 ・ これらを踏まえると、公共交通等の利用が促進されることで、外出が促される(外出率が高くなる) 可能性や、特に、0トリップ(外出しない)を1トリップ以上(外出する)にすることに効果がある 可能性が示唆される。
公共交通・徒歩・自転車分担率と外出率 人口密度別に見た運行頻度と利用割合
100% 運行頻度 利用割合 250 (本/日) (%)20.0 200 200 運行頻度(左目盛り) 16.0 外 144 出 80% 12.0 率 利用割合(右目盛り) 150 9.0 12.0 96 100 3.9 5.4 8.0 R² = 0.8546 53 9.6 60% 2.3 36 50 20 4.0
0 0.0 0.03~
10~ 15~ 20~ 25~ 30~ 35~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 5~
100~
分担率 40% 人口密度(人/ha) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 出典:第6回東京都市圏PT調査(平成30年実施)結果(東京都市圏 ※ 三大都市圏以外の都市計画区域のある市町村を対象に就従 交通計画協議会)より作成 比が1未満の4次メッシュをもとに算出(令和2年)。運行頻 分担率を5%レンジで見たときの外出率の平均値をプロット 度は往復の本数。
公共交通等の分担率が高いほど、 出典:ジョルダン時刻表データおよび国勢調査の結果をもとに作成 外出率も高い傾向が見られる。
16 ○ また、都市交通軸における公共交通のサービス水準向上は、拠点エリアへの時間距離 の短縮にも寄与し、拠点エリアの誘致圏を拡大することにもつながり得る。 ○ こうした拠点エリアへのアクセス性を持続的に維持・向上していくためには、望まれ るサービス水準により安定的に運行し得るだけの需要が維持される観点も重要であり、 沿線への都市機能や居住の誘導といった、公共交通の「需要創造」にあわせて取り組ん でいくべき。
○ 路線バスや鉄道といった公共交通を中心とする実効性の高い都市交通軸を確保するた めの着眼点としては、「サービス水準の向上」と「公共交通の需要創造」が重要。 ○ あわせて、都市交通軸の検討には、「モノの移動」についても考慮することが重要。
サービス水準の 公共交通の 向上 需要創造
〇 定時性・速達性に優れ、時刻表を見 〇 沿線へ都市機能や居住が誘導され 、 ずとも気軽に乗れる、分かりやすく ネットワーク性に優れたアクセスしや 良質にデザインされた軸の形成 すい交通システムの形成
取り組みの方向性
≪取り組みの方向性≫ 運行頻度の確保 サービス水準の向上 定時性・速達性の確保 沿道土地利用との一体性 重 視 × 都市機能・居住の誘導 す る ネットワーク性の向上 視 公共交通の需要創造 点 運賃・乗り継ぎでの利用促進 分かりやすさの向上 モノも含めた移動 物流まちづくり
17 1|サービス水準の向上 ● 我が国の交通事業は主として民間により運営されており、土地利用誘導などを含めた 都市構造の面から必要とされるサービス水準が必ずしも確保される構造になっていない。 このため、都市政策として特に重要な公共交通軸に関し、そのサービス水準にアプロー チできることが必要。 ● また、都市交通軸が十分に効果を発揮するには、その路線の定時性や速達性も重要。 来たるべき自動運転社会も見据えながら交通流の混乱を招くことがない施策や、連担す る大規模商業施設等の出入口での交通混雑等への対応も必要。
運行頻度の確保 都市政策として必要な運行頻度を確保するため、交通事業者と密接な連携を図りなが ら、行政としても運行への支援措置を含め積極的な役割を果たすべき
地域交通法に基づく「エリア一括協定運 ソウル市では、すべてのバス会社の運輸収益 行事業」を活用し、ネットワークの中心 を市が一括で管理し、総費用に対する総収入 を担う路線等は、松本市と交通事業者が の不足分を市が補填。 締結した協定に基づき、市が複数年にわ たって負担金を支出することで、安定的 出典:ゴー・ホンソク(交通政策課長)、持続可能性を目指すソウル に交通サービスを確保。 の交通政策、第二回EST普及推進フォーラム、平成20年1月25日 出典:松本市HP
定時性・速達性の確保 沿道土地利用との一体性確保 交通制御とも連動しながら、公共交通や自 大規模誘客施設等について、都市交通 動運転車両(バス・タクシー・自家用等) 軸への出入口の接続ないし沿線への立 のための走行空間の充実や定時性・速達性 地のあり方について検討を深めていく に優れる鉄道の有効活用を図るべき べき
主な大規模 商業施設
出典:第78回基本政策部会 配付資料より
18 2|公共交通の需要創造 ● 需要創出型の「正のスパイラル」を回していく観点では、都市交通軸の強化と連動し、 日常の移動に加えて、観光など非日常の移動の需要も取り込みながら、沿線への都市機 能や居住の誘導、軸へのアクセス性の向上、運賃施策、外出動機となるコンテンツとの 連携などが進むことによって、さらなる需要が喚起され、その需要が定着していくこと が重要。 ● 都市交通軸そのものが明示的であることも重要であり、まちづくりの包括的な計画に 軸として明記されることに加え、軸となる公共交通の路線や行先、乗り場などが直感的 に理解できたり、アプリケーションで表示されたりすることも需要創造の観点から重要。
沿線への 運賃・乗り継ぎ施策 ネットワーク性の向上 都市機能や居住の誘導 による公共交通利用促進 都市交通軸の強化の観点か 多様な交通モードを活用し、都市交通軸を担う公共交通 らも、沿線への都市機能や 都市交通軸へのアクセス性 について、運賃や乗り継ぎ 居住の誘導を進めるための を高めネットワーク性を強 施策とも連動して利用促進 土地利用施策(インセン 化 す る 観 点 で 、 モ ビ リ を図ることを検討すべき ティブ等)を講じるべき ティ・ハブの設置を促進し ていくべき
IC共通定期券の導入 出典:富山市資料 出典:ドイツ・ブレーメンmobil punkt (令和4年4月~) 出典:熊本市資料
分かりやすさの向上 ・路線の整理と合わせて、どのバスに乗れ ・利用者の行動変容に対し、アプリケー ばいいか(行き先や乗り場・車両のデザイ ションの果たす役割の重要性を踏まえた ンなど)が直感的に理解しやすいような、 検討も進めるべき 視認性の向上が有効 東京BRTの1日平均乗車人員 (令和7年5月を1とする)
令和7年6月16日より 1.4 Googleマップに掲載 1.3 1.2 1.1 1 令和7年6月ダイ 0.9 ヤ改正で、3ルー 0.8 トで増便 0.7 5月 24年4月
6月 7月 8月 9月
25年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
12月 10月 11月 12月
10月 11月
東京BRT 1日平均乗車人員
出典:八戸市提供資料より作成 出典:東京BRT株式会社 提供資料より作成
19 3|モノも含めた移動環境の構築 ● 都市交通軸の設定にあたっては「物流まちづくり」の視点も重要。都市交通軸では、拠 点エリアへの貨物輸送を担う役割を考慮したネットワークを構成する必要があり、多様 な関係者で連携した取り組みを進めることが求められる。
物流まちづくり 物流も都市交通施策の重要な観点であるという認識のもと、物流と人の交通の相互関 係や土地利用との連携を考慮しながら、多様な関係者が協働して「物流まちづくり」 の取組を進めるべき
<物流まちづくりの定義> 行政の各部署や民間企業、国民など、多様な関 係者が、物流が都市機能の1つであることを認 識し、物流と人の交通の相互関係や土地利用と の連携を考慮しながら、協働して、地域・都市 づくりを行うことにより、安全・安心・快適な 都市環境を形成する取組
出典:東京都市圏交通計画協議会「第6回東京都市圏物資流動調査 ~調査結果の中間報告について~」(令和7年10月)より
(コラム)熊本市における運行頻度に関するアンケート
・ 熊本市の市政アンケートでは、許容できるバスの運行頻度について質問したところ、急いでいるとき (ピーク時)は10分間隔以内(1時間当たり約6本) 、急いでいないとき(オフピーク時)は15分間隔以 内(1時間あたり約4本)であれば満足するという回答が約8割を占めた。
【急いでいる時】 【急いでいない時】
出典:熊本市提供資料より作成
20 ⑤ 拠点エリアの魅力や快適性の向上
○ 人々の「お出かけ」需要を創造するためには、拠点エリアが魅力的で安全・快適であ ることが根幹となる。そうした拠点エリアを形成するためには、様々な交通モードが適 正に処理された、人中心の都市空間を形成していくことが重要。 ○ 地区交通に関する着眼点としては、その地区での滞在を促す「プレイス性」、地区 内の円滑な移動に資する「回遊性」、その地区への来やすさに資する「アクセス性」を 向上していくことが重要。これらを拠点エリアの魅力と関連させ、多様な主体との連携 で実現していくことが重要。
様々な交通モードの 多様な主体 適正な処理 との連携
拠点エリア形成の普遍的魅力 人中心の歩きたく滞在しやすい都市空間を 固有の魅力 形成するための地区の交通に関する着眼点
1|居心地が良く、 商業 実現(空間的表出) 滞在したくなる環境に着目した (集客施設) 都市 のために 「 プレイス性 」 防災 都市機能 地域 文化 集積 資源 芸術
アクティ 2|拠点エリア内における 3|拠点エリアへの コンテンツ ビティ 移動のしやすさに着目した 市民や来街者の 「 回遊性 」 到達しやすさに着目した 「 アクセス性 」
「お出かけ」需要の創造
21 取り組みの方向性 ≪取り組みの方向性≫ 流入交通のコントロール 自動車交通の適正処理 駐車場の立地マネジメント アクセスポイントの配置と強化 アクセス性 駐車場・荷捌場の集約・適正化 重 視 駐車場の出入口コントロール す 回遊性 ミクストユース・界隈性の向上 る 視 モビリティ・ハブの導入 点 ウォーカブル施策の充実 プレイス性 沿道・民間との連携強化 交通事業者のエリア形成参画 多主体連携 データ活用による行動分析 概念の再整理 理 地区交通計画との関係強化 ウォーカブル理念整理 念 普及・啓発 ウォーカブル事業の整理充実
(コラム)生活拠点における拠点エリアの空間イメージ ・「拠点」は、中心市街地に代表されるような様々な都市機能が特に集中する中心拠点が主たる対象で ある一方、居住地に近接した生活拠点もその対象に含むものと考え、地域の実情に応じながら、中心 拠点・生活拠点それぞれで取組を進めることも考えられる。
(コラム)蒸発交通
・ 車両のための道路空間を削減すると、他の道路での渋滞を 回避すべく別の交通手段へ転換するなどの自動車利用者の 行動変容が起き、結果的に近傍の道路へ交通量が転換せず、 周辺地域も含めて交通量全体が減少する交通現象。
出典: Nello-Deakin, S. (2022). Exploring traffic evaporation: Findings from tactical urbanism interventions in Barcelona. Case Studies on Transport Policyをもとに作成
22 1|自動車交通の適正な処理
● 人中心の拠点エリアを形成していくには、居心地の良さや滞在環境の確保のため、歩 行者と、自転車など多様なモビリティとの調和・すみ分けや、自動車のアクセス性を確 保しつつも拠点エリア内への流入をいかにコントロールしていくかという観点が重要。 ● また、都市における自家用交通等の発生集中源である駐車場についても、フリンジ部 への集約等により適正な量を確保するとともに、歩行者が中心となるエリアでは、駐車 場の配置や出入口の設置を抑制するなど、その立地に係るマネジメントが重要。
流入する交通のコントロール 「攻め」の駐車場マネジメント 環状街路等での周辺交通の処理に関す 人中心の拠点エリア形成のため、交通流入 る取組を進めていくべき をコントロールする観点での駐車場施策を 強化していくべき
都心部の道路混雑の緩和 のため、附置義務撤廃・ 駐車場整備量の上限値を 設定するとともに、ロー ドプライシングを導入
出典:ロンドン市資料 出典:姫路市資料
2|アクセス性の向上 ● 拠点エリアにはそもそも多くの人が到達しやすい必要があり、そのアクセス性を高め ることが重要。 ● 都市交通軸との関係強化を図るとともに、アクセスポイントとなる施設の適正配置や 機能強化に加え、人だけでなく「物」の到達しやすさと地区内での移動(物流)環境の 確保が重要。
アクセスポイントの適正配置と機能強化 駐車場や荷さばき施設の適正配置 人中心の都市空間の創出や、来たるべき自動 拠点エリアに対する駐車場の立地抑制やフ 運転社会といった観点を意識しながら、駅前 リンジへの集約化を図るとともに、荷さば 広場など既存の拠点性の高いアクセスポイン き施設についても商業地へのアクセス性を トの機能更新を検討していくべき 確保しつつ集約化を図ることが有効 東京都武蔵野市吉祥寺地区 フリンジの集約駐車場
共同荷さばき 集配事業
出典:福岡市HPより作成 出典:武蔵野市HPより作成
中心市街地周辺における複合的な フリンジパーキング利用者に 荷さばき施策(共同集配、交通規 バスや地下鉄の片道乗車券を 駅まちデザインガイドライン 制、民間駐車場の活用)を導入 贈呈
23 3|回遊性の向上 ● 拠点エリア内に多くの人が行き交うことを目指すうえでは、様々なコンテンツがエリ ア内に散りばめられていることに加え、そのコンテンツ間の移動がしやすい環境にある ことが必要。 ● 空間の質は「歩きたくなる」こと(トリップの誘発)が重要。質の高いウォーカブル な空間の連続性を確保することや、多様なコンテンツの集積により界隈性を創出してい くことが重要。この際、暑さや降雪など、地域特性に応じた気候への配慮も必要。 ● また、交通モードのスムーズな乗継を可能とし、交流や賑わいの拠点ともなるモビリ ティ・ハブの導入などが有効。加えて、地下空間やデッキなど、立体的に移動空間を捉 えていくことも有効。
高質な都市空間の創出 駐車場の出入口規制 特に拠点エリア内の重要な箇所では、空間 ウォーカブル空間の連続性を確保するため、 の質の向上を目指す取組や、その逆に、空 主要なストリートには駐車場の出入口設置 間の質を低下させている負のストックを取 を抑制する取組を進めるべき り除く取組を進めるべき
景観形成基準に 「駐車場の出入 口は、景観形成 道路及び景観形 成広場に面して 設置しないこ と」などを記載 老朽化アーケードの撤去例 出典:松山市資料 出典:神戸市景観計画
適正なミクストユースの推進 モビリティ・ハブの導入推進 拠点エリアにおいて、適正なミクストユー モビリティ・ハブに関する基本的な概念や スを進め、メインストリートだけでない面 事項を整理し周知・展開を図るとともに、 的な「界隈性」を高めていくべき モビリティ・ハブの設置促進のための取組 を進めるべき パブリックスペース シェアモビリティ 山形市は、自動車 も重要な手段であ るという特性を考 慮し、駐車してか ら徒歩やモビリ ティでの移動を想 定した交通政策を 展開 モビリティ・ハブのイメージ
出典:都市の個性の確立と質や価値の向上に関する懇談会 第3回(令和7年1月15日)資料1
出典:山形市提供資料
24 4|プレイス性の向上 ● 外出の動機となる魅力的な拠点エリアを形成するには、コンテンツやアクティビティ の充実や、愛着につなげる日常的な利活用を通じ「居心地が良く歩きたくなるまちな か」を目指すため、プレイス性を高める施策が重要。 ● こうした観点で、ウォーカブル施策の充実を図っていく必要があることに加え、近年 の「ウォーカブル」の広がりや、それに伴う弊害を鑑みると、改めて施策の理念レベル での再整理が求められる。 ● また、単に道路区域の活用に終始する、あるいは利活用の中心となる民間主体が不在 であるなど、街への波及が限定的とも思われる取組も存在するが、コンテンツやアク ティビティ充実の観点では、拠点エリアの空間形成は、その空間が「使われる」ことを 前提に企画・運営されること、愛着の醸成が重要。
ウォーカブル施策の充実 沿道空間・民間主体との連携強化 ・プレイス性を高めていく観点からも、 ウォーカブル施策を実現する事業の実施に ウォーカブルの理念の再整理と施策の あたっては、沿道空間の一体的な活用や民 充実を図るべき 間主体との連携など、空間活用を促す事業 制度への移行を図るべき ・理念を体現する事業を実効的に進め るため、対象事 業の整理や支援 のメリハリをつ け、質の高い事 業への選択と集 サンキタ広場 | 神戸市 すずらん商店街 | 山形市 中を図るべき
5|多様な主体との連携 ● 拠点エリアの魅力向上には、コンテンツやアクティビティの創出を担う様々なプレイ ヤーとの連携が不可欠だが、都市交通の観点においても、拠点エリアの魅力向上と同時 に交通環境の改善が図られていくことが重要であり、交通事業者との積極的な連携が望 まれる。 ● また、施策の立案や評価、地域との対話に際しては、地域の状況や来街者の行動特性 をデータにより客観的に把握し可視化することが有効。
交通事業者のエリア形成への参画 データ活用による行動分析 交通事業者がエリアマネジメント活動 アセットの分布や稼働率、来街者の移 へ参画している取組について、ポイン 動・滞留・購買等のデータのかけ合わせ トや事例を周知し横展開を図るべき など、地域の状況をデータにより客観的 に把握し可視化することは、施策の立案 や評価、地域との対話に有効 GPSデータに基づいた利 用者属性や行動パター ン等の人流データ
キャッシュレス決済データ に基づく消費分析、施 設情報、オープンデータ
出典:鉄道沿線まちづくりガイドライン(第二版)骨子 出典:須賀川南部地区エリアプラットフォームHP
25 6|ウォーカブル施策の理念レベルでの再整理 ● ウォーカブル制度創設から6年が経過し、各地の創意工夫により個性的な取組が進展 していることは大きな成果。一方、施策の浸透に伴い、本来の「居心地が良く歩きたく なるまちなか」や、面的な「滞在の快適性及び魅力の向上」といった制度趣旨と必ずし も合致しない取組・事業も一部存在。 ● とりわけ、取組がまちづくり全体の戦略や都市交通と切り離され、イベント時だけ人 が集まるような道路区域の散発的な活用に終始してしまうようでは、施策効果は限定的 となるおそれが大きい。 ● 今後、都市空間の日常的な魅力向上を実現していくためには、道路空間や沿道建物の ファサードのみならず、建築物の内部空間をも含め、公共性を有すると認知できる領域 「パブリック・レルム」まで視野を広げ、そこでの都市機能や、活動、交流など様々な 要素が生み出す魅力を一体として取り扱う空間形成を重視すべき。 ● このように、改めて「ウォーカブル」が目指すものを再整理するとともに、その内容 の浸透と支援制度の関係の見直しが必要。
ウォーカブル施策で重視すべき視点 道路区域の活用
歩行者、自転車、 公共交通中心の道路 十 ひと休みできる 分 ベンチ な 効 果 の 沿道の公共空間の活用 発 沿道空間の広場化 現 に 滞在したくなる は 軒先 、 ポートやサイネージ 地 設置 区 交 通 の 適 沿道建物をも含めた「領域」の活用 正 ( パブリック・レルム ) 化 道行く人が が 楽しめるコンテンツ 道路に開いた 不 ファサード 可 欠
滞在できる屋内 空間
26 地区交通計画との関係強化 理念や概念の再整理 居心地の良い拠点エリア形成の前提とな 広く公共的領域を指す「パブリック・レ る地区交通の適正化を進めるため、 ルム」という発想でウォーカブル施策を ウォーカブル施策と地区交通計画の連携 捉えていくべき に係る取組を強化すべき 建物内のコンテンツ
具体性・即地性の高い地区交通戦略のイメージ 優れた取組の普及・啓発 分かりやすい整理や発 信、優れた取組の表彰 などを図っていくべき
国土交通大臣賞 表彰の例
⑥ さらなる検討事項
(まちづくりと一体となった都市交通施策の充実・強化) ○ 都市政策と交通政策の実効的な連動を強化するための、計画から事業の各段階におけ る連携や一体性を高めていく方策の検討 ○ 都市交通軸の強化や拠点エリアの形成を包括的かつ一体的に進める、事業制度をはじ めとした施策の改善・充実に向けた検討 ○ 各自治体がエビデンスに基づき施策の検討や実施を進められるよう、既存の調査手法 を補完する交通手段の実態等を簡易に調査するための方策の検討 ○ 来たるべき自動運転社会やデジタル社会の進展を見据えた中長期的な視座に立った都 市交通施策のあり方に関する検討 (都市交通軸の強化) ○ 公共交通のサービス水準の向上等と、沿線への土地利用誘導や端末交通の充実等、公 共交通の需要創造に資する政策について、一貫性をもって連携して取り組む方策の検討 ○ サービス水準の向上がもたらす、外出行動やトリップ、消費行動、周辺土地利用、そ の他の波及効果について、シミュレーション等も活用しながら分析・評価するようなエ ビデンス構築に向けた検討 (拠点エリアの魅力や快適性の向上) ○ 拠点エリアの魅力や快適性、安全性を高めるための駐車場のフリンジ等への適正配置 など、歩行者や自転車、公共交通を中心としたウォーカブルなエリア形成を実効的に進 めるための方策の検討 ○ 「お出かけ」を促し、健康や包摂性、都市の活力の向上等に資する都市空間のイメー ジとその実現方策の整理
27 . これからの都市交通施策の方向性 ~「拠点」と「軸」でアチコチお出かけを促進 ~ (都市交通施策の再整理に関する検討会 中間とりまとめ)
令和8年7月 発行:国土交通省 都市局 街路交通施設課
添付資料3 令 和 8 年 7 月 21 日 都市局街路交通施設課
「拠点」と「軸」でアチコチお出かけを促進 ~都市交通施策の再整理に関する検討会 中間とりまとめ~
これまでの都市交通施策の展開を踏まえつつ、コンパクトで持続可能な都市構造の実現や、 外出の動機となるウォーカブルな都市空間の創出を進めるため、都市交通施策を再整理し、必 要となる施策の検討を目的として、「都市交通施策の再整理に関する検討会」を2月17日(火) に設置し、「都市交通軸ワーキンググループ」、「拠点エリアワーキンググループ」を含めて、これ までに9回開催し、議論を深めてきました。 この度、都市交通施策の再整理に関する検討会の中間とりまとめを公表します。
とりまとめのポイント 〇 近年、外出率が減少傾向にあり、総体として人々の「活動量」が減っている、「『マチ』が 『イエ』に負ける」とも呼べる状況を踏まえ、本検討会では、これからの都市交通施策の方 向性をとりまとめました。
〇 人々の外出の動機となる「拠点エリア」では、ウォーカブル施策を今一度見直し、プレイス 性・回遊性・アクセス性を高めるとともに、そこへのアクセスを支える「都市交通軸」では、 公共交通を中心に、従来の「需要対応型」から「需要創出型」への転換を図ることが重要で す。
〇 さらに、「拠点エリア」と「都市交通軸」の密接な連動を生み出すため、まちづくりと交通 をより一層一体的に検討する包括的な計画体系への転換を図ることが重要です。こうし た取組を通じて、「気軽にアチコチお出かけしたくなる・できる街」の実現に向けた取組を 推進します。
中間とりまとめの公表 ・ 概要版 (別紙2のとおり) https://www.mlit.go.jp/toshi/content/002012444.pdf
・ 本編 https://www.mlit.go.jp/toshi/content/002012445.pdf
・ これまでの検討経緯 https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_gairo_tk_000106.html
【問い合わせ先】 都市局 街路交通施設課 髙濱、倉田 TEL :03-5253-8111(内線 32842、32835)、03-5253-8417(直通) 別紙1
都市交通施策の再整理に関する検討会 委員名簿
【委員】(◎:座長 ○副座長、敬称略50音順) (学識者)
姥浦道生 東北大学災害科学国際研究所 教授 ○大沢昌玄 日本大学理工学部土木工学科 教授 小嶋 文 埼玉大学理工学研究科 准教授 藤村龍至 東京藝術大学 准教授 三浦詩乃 中央大学理工学部都市環境学科 准教授 ◎森本章倫 早稲田大学理工学術院社会環境工学科 教授
(地方公共団体)
宇都宮市 都市整備部 岡山市 都市整備局 神戸市 都市局 都心再整備本部 山形市 まちづくり政策部
【関係省庁】
国土交通省 総合政策局 地域交通課 都市局 国際・デジタル政策課 まちづくり推進課 都市計画課 市街地整備課 公園緑地・景観課 道路局 路政課道路利用調整室 企画課評価室 警察庁 交通局 交通規制課
【事務局】 国土交通省 都市局 街路交通施設課 別紙2
これからの都市交通施策の方向性 ~「拠点」と「軸」でアチコチお出かけを促進 ~ 都市交通施策の再整理に関する検討会|中間とりまとめ(概要) 令和 8 年 7 月 外出率の低下 公共交通軸でのサービス水準悪化 外出と経済の関係 1|背景 15% 飲 食 2010 → 2015 店 5% 数
○ 若者を中心とした外出率の低下 0 の -5% 変 R² = 0.775 化 ○ 政策理念と計画・事業の乖離 等 ( -15% % ) 休日外出率の変化(%) -25% -25 -20 -15 -10 -5 0
マチ が イエ に “負ける” 社会 まちあるき、交流、娯楽など「マチを楽しむ」外出を増やし、 健康・エネルギー・経済など包括的な観点から都市の活力の再生を図る
2|目指す都市の姿 まちづくりと一体となった都市交通計画の充実
気軽にアチコチお出かけ 単に したくなる・できる街 「集まる」 実 場所 現 に 向 け 人中心で外出の動機となる て 「拠点エリア」 「時を過ごす」 拠点 移動や都市構造の骨格となる「都市交通軸」
イエに負けない 拠点への 単なる 多様な交通手段による 人を集める拠点 出かけやすさ ネットワーク軸 拠点へのアクセス軸
3|まちづくりと一体となった都市交通計画の充実
まちづくり施策と都市交通が 政策目標の 一体となった包括的計画 実現力の強化 需要創出型の計画 密接に連動 ≪取組の方向性≫ 横断的モビリティ計画 ○ まちづくりに関する包括的な計画への位置づけ 包括的計画の実効性を高める ○ バックキャスト型の目標 ○ 地区交通計画の実効性の向上 都市交通に関する計画 ○ 都市の包括的目標への寄与 ○ 「拠点」と「軸」を連動するプランの実現
4|都市交通軸の強化 5|拠点エリアの魅力や快適性の向上 ○ 都市交通軸を担う公共交通は、都市政策と密接な連 ○ 様々な交通モードが適正に処理された人中心で魅力 携のもと「需要対応型」から「需要創出型」へ発想 ある都市空間を多様な主体と連携し創出 を転換し「正のスパイラル」を創出 居心地・滞在環境 プレイス性
移動しやすさ 到達しやすさ 回遊性 アクセス性
≪取組の方向性≫ ○ 自動車交通の適正な処理 ○ 多様な主体との連携 ○ アクセス性・回遊性・プレイス性の向上 ○ ウォーカブル施策の理念レベルでの再整理 ≪取組の方向性≫ ○ サービス水準の向上 - 運行頻度、定時性・速達性 等 ○ 公共交通の需要創造 - 居住誘導、運賃・乗り継ぎ 等 ○ モノも含めた移動環境構築 - 物流まちづくり 公共交通等分担率と外出率の相関 建物内コンテンツまで含めた「ウォーカブル」 モビリティ・ハブの導入
○ 都市政策と交通政策の実効的な連動強化や各地域への施策展開を図るための方策 6|さらなる検討事項 ○ 「拠点」と「軸」の強化を一体的に進めるための事業制度等の改善・充実の方策 ○ 自動運転等の進展を見据えた中⾧期的な視座に立った都市交通施策のあり方 等
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:政策