令和8年7月29日

老朽化や施設管理の担い手不足などの課題が進展する中で、堰・水門・排水機場等

の重要な河川施設について、埼玉県八潮市の道路陥没事故の教訓等を踏まえたマネジ

メント体制を構築するため設置した、「重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネ

ジメント検討会」において、報告書が取りまとめられましたので公表します。

報告書では、延命化(長寿命化)を前提とした維持管理の取組だけでなく、施設の機能喪失リ

スクに着目した河川施設マネジメントへ転換するため、今後の河川施設のマネジメントの方向性

および河川施設の機能喪失リスクを低減するための対応方策が示されました。

本報告書を踏まえ、具体的な施策を速やかに検討し、重要河川施設の機能喪失リスクの低下対

策を進めてまいります。

<報告書のポイント>

今後の河川施設のマネジメントの方向性

主要指標 — KEY FIGURES

40~50
建設後40~50年経過施設が約半数
60歳以上
ゲート操作員の年齢構成が60歳以上の割合が約6割と高齢化が進行

○機能喪失時の影響が大きく、代替性や復旧困難性の観点から重点的な対応を要する施設を

「急所施設」として抽出・選定し、重点的な状態把握・管理

○急所施設について、総合診断を行い、更新・改築・増強、重点監視等の対応を適切に選択

○担い手不足を踏まえ、維持管理・施設操作の省人化、高度化を進めるとともに、それを支

えるデータ基盤や産業基盤のあり方についても検討

河川施設の機能喪失リスクを低減するための対応方策

対応方策[1] 急所施設の抽出・選定

対応方策[2] 総合診断に基づく対応選択と計画的更新

対応方策[3] 維持管理・施設操作の省人化・高度化

対応方策[4] 施設マネジメント上の観点と実施基盤

<添付資料>

・重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会 報告書(概要)

・重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会 報告書(本文)

※「重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会」の開催状況、資料等につき

ましては、以下の国土交通省ウェブサイトを御参照ください。

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/river/mizukokudo04_mn_000015.html

添付資料

報道発表資料 (PDF形式)

報告書(概要) (PDF形式)

報告書(本文) (PDF形式)

お問い合わせ先

国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 河川保全企画室 酒匂(さこう)、龍野(りょうの)

TEL:03-5253-8111 (内線35-464、35-473) 直通 03-5253-8448

国土交通省 大臣官房 参事官(イノベーション)グループ 施工企画室 塩入(しおいり)、門井(かどい)

TEL:03-5253-8111 (内線22-422、22-423) 直通 03-5253-8285

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添付資料1 令 和 8 年 7 月 29 日 水管理・国土保全局河川環境課 大臣官房参事官(イノベーション)グループ施工企画室

「重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会 報告書」の公表 ~ 老朽化施設の延命化から計画的更新へのパラダイムシフト ~ 老朽化や施設管理の担い手不足などの課題が進展する中で、堰・水門・排水機場等 の重要な河川施設について、埼玉県八潮市の道路陥没事故の教訓等を踏まえたマネジ メント体制を構築するため設置した、 「重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネ ジメント検討会」において、報告書が取りまとめられましたので公表します。

報告書では、延命化(長寿命化)を前提とした維持管理の取組だけでなく、施設の機能喪失リ スクに着目した河川施設マネジメントへ転換するため、今後の河川施設のマネジメントの方向性 および河川施設の機能喪失リスクを低減するための対応方策が示されました。 本報告書を踏まえ、具体的な施策を速やかに検討し、重要河川施設の機能喪失リスクの低下対 策を進めてまいります。

<報告書のポイント> ■今後の河川施設のマネジメントの方向性 ○機能喪失時の影響が大きく、代替性や復旧困難性の観点から重点的な対応を要する施設を 「急所施設」として抽出・選定し、重点的な状態把握・管理 ○急所施設について、総合診断を行い、更新・改築・増強、重点監視等の対応を適切に選択 ○担い手不足を踏まえ、維持管理・施設操作の省人化、高度化を進めるとともに、それを支 えるデータ基盤や産業基盤のあり方についても検討 ■河川施設の機能喪失リスクを低減するための対応方策 対応方策① 急所施設の抽出・選定 対応方策② 総合診断に基づく対応選択と計画的更新 対応方策③ 維持管理・施設操作の省人化・高度化 対応方策④ 施設マネジメント上の観点と実施基盤

<添付資料> ・重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会 報告書(概要) ・重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会 報告書(本文)

※「重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会」の開催状況、資料等につき ましては、以下の国土交通省ウェブサイトを御参照ください。 https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/river/mizukokudo04_mn_000015.html <問合せ先> 水管理・国土保全局 河川環境課 河川保全企画室 酒匂(さこう)、龍野(りょうの) 代表:03-5253-8111(内線 35-464、35-473)、直通:03-5253-8448 大事官房 参事官(イノベーション)グループ 施工企画室 塩入(しおいり)、門井(かどい) 代表:03-5253-8111(内線 22-422、22-423)、直通:03-5253-8285

添付資料2 重要河川施設の機能喪失回避のための 河川の急所施設の機能喪失リスク低減に向けて 施設マネジメント検討会報告書(R8.7)

~老朽化施設の延命化から計画的更新へのパラダイムシフト~ [概要版(1/3)] 1.はじめに、 2.河川施設の維持管理の課題 河川施設の維持管理の主な課題

1)施設の老朽化の進行と状態把握の難しさ 2)維持管理・操作を担う人材の不足と技術継承の危機 • 建設後40~50年経過施設が約半数 • 操作員や技術者の高齢化と担い手不足が深刻化 • 機械設備の劣化状況や破壊メカニズムの把握の困難性 • ゲート操作員の年齢構成が60歳以上の割合が約6割と高齢化が進行 • 異状が顕在化した段階で機能喪失に至るリスク • 熟練技術者の経験や、ノウハウが十分に継承されない「技術継承の 危機」に直面 300 12,000

250 20年50年経過施設 約80% 10,000 80~89歳 90歳以上 4% 0.2% 200 10年50年経過施設 約70% 8,000 70~79歳 累計管理施設数 年度別設置数

150 設置後 50年経過施設 約50% 6,000 ゲート扉体の老朽化 樋管の機側操作 100 4,000

50 2,000

60~69歳 0 0 1912 1915 1918 1921 1924 1927 1930 1933 1936 1939 1942 1945 1948 1951 1954 1957 1960 1963 1966 1969 1972 1975 1978 1981 1984 1987 1990 1993 1996 1999 2002 2005 2008 2011 2014 2017 2020 2023 2026

年度別設置数

国管理河川施設の年度別施設数(令和8年3月末時点) 排水機場インペラの老朽化 ゲート操作員の年齢構成(令和7年度) 目視による内外水位の確認

3)市場規模の縮小とサプライチェーンの課題 4)気候変動による水害の激甚化・頻発化への対応 5)技術転換の課題とデータ活用・DX化の遅れ • メーカーの統廃合や関連産業の撤退 • 水害の激甚化・頻発化 • 維持管理の現場作業の多くは人手に依存 • 部品調達の海外依存や納期の長期化など、 • 停電・通信途絶等の複合リスクに対し、機能回復 • 点検履歴や故障データ蓄積・活用体制が サプライチェーンの脆弱化 のみでは冗長性や機能維持体制の確保に限界 限定的かつデータ分析や活用が不十分

今後の河川施設のマネジメントの方向性 機能喪失時の影響が大きく、代替性や復旧困難性の観点から重点的な対応を要する施設を「急所施設」として抽出・選定し、重点的な状態把握・管理 急所施設について、総合診断を行い、更新・改築・増強、重点監視等の対応を適切に選択 担い手不足を踏まえ、維持管理・施設操作の省人化・高度化を進めるとともに、それらを支えるデータ基盤や産業基盤のあり方についても検討 重要河川施設の機能喪失回避のための 河川の急所施設の機能喪失リスク低減に向けて 施設マネジメント検討会報告書(R8.7)

~老朽化施設の延命化から計画的更新へのパラダイムシフト~ [概要版(2/3)] 3.河川施設の機能喪失リスクを低減するための対応方策 対応方策1 急所施設の抽出・選定 1. 急所施設の抽出・選定 • 機能喪失が発生した場合の社会的影響が大きく、代替・復旧が 容易でない施設を重点化 • 地域における重要度や代替困難性等、総合的に評価

図版対応方策2 総合診断に基づく対応選択と計画的更新 対応優先度の考え方のイメージ

1. 急所施設の総合診断 • 機械・電気設備のみならず躯体も含め施設全体を診断 • 設計思想、劣化機構、運用実態、修繕履歴、不可視部分の状態、リダンダンシーやメンテナビリティー の必要性等を総合的に評価 2. 総合診断を踏まえた更新判断 • 総合診断結果を踏まえ、施設状態や機能喪失時の影響等を評価し、延命化のための修繕、 更新・改築・増強・重点監視等、リスク特性に応じた対応を選択 • 更新・改築・増強が必要な施設は、更新待ちリストとして把握し、計画等への位置付けを検討

対応方策3 維持管理・施設操作の省人化・高度化 急所施設の抽出・総合診断・更新判断のフロー

1. 点検・評価の省人化・高度化 • 急所施設(重点管理):センサー・IoTによる常時監視、定期的な不可視部調査、専門 技術者による診断等を重点的に実施 • 急所施設以外(省力化):必要な管理水準を確保しつつ点検頻度・項目の合理化、 ロボット等による点検など、現地点検の負担軽減や熟練技術者によるリモート メンテナンス体制の構築 2. 施設操作の省人化・高度化に関する取組 • 流向検知や安全確認機能の技術を活用し、遠隔化・自動化等を推進 • 機能停止に至らないようフェールセーフの導入やバックアップ体制のあり方等の センサーによる状態監視による 維持管理の省人化を実現する 課題の検討 AIを活用した異常検知システムの開発 人と4足歩行ロボットの協働点検の検証 重要河川施設の機能喪失回避のための 河川の急所施設の機能喪失リスク低減に向けて 施設マネジメント検討会報告書(R8.7)

~老朽化施設の延命化から計画的更新へのパラダイムシフト~ [概要版(3/3)] 3.河川施設の機能喪失リスクを低減するための対応方策 対応方策4 施設マネジメント上の観点と実施基盤 1. 更新・改築・増強に対して求める観点 2. 点検・評価に対して求める観点 • リダンダンシー(冗長化)の確保・向上:一部の故障が施設全体の停止に • 不可視部分を一定期間ごとに、水中ドローンなどの技術を活用し、 直結しないよう、ポンプ設備の構成の工夫や電源等の多重化 等 状態把握を推進、施設台帳への明記などリスクとして管理 • メンテナビリティー(維持管理の容易性)の確保・向上:限られた人員で迅 速な対応を目指し、国内調達可能品への転換、汎用品の活用、BIM/CIM 3. 計画・設計・整備に対して求める観点 を活用した情報蓄積 等 • 新設時は、リダンダンシーやメンテナビリティーに配慮し、将来の • 気候変動対応の推進:将来外力を見据えた増強スペースの確保 等 増強・更新やフェールセーフ機能を見据えた計画・設計・整備 • 統廃合の推進:将来的な機能集約・統廃合の可能性を検討 等 • 設計時の技術的根拠や機能喪失時の被害想定を記録・継承し、 ライフサイクルコストの観点から最適化 4. 維持修繕に対して求める観点 • 持続的な維持管理のため、巡視・点検で発見した異状箇所の初期段階で の対応 • 維持修繕の予算確保に努めることに加え、専門性が高く代替が困難な業 務のあり方も含めた、管理者・点検者・施工者・メーカーといった維持修繕の 担い手の体制確保についての検討 • あわせて、類似設備の包括的な契約など契約方式の工夫を検討

5. 施設マネジメントの継続的運用を支える基盤 • 維持管理データの一元管理、AI等による傾向管理や故障・トラブル事例 リダンダンシー確保・向上のイメージ メンテナビリティーの確保・向上のイメージ の水平展開を通じた同種トラブルを未然防止体制の構築 (予備機(コラム型水中ポンプ設備)の配置) (ポンプ設備主原動機の電動機化) • 施設更新の見通しの提示や事業量の平準化、実証現場の提供等を 通じた技術者の確保・育成と持続可能な産業基盤の維持

4.おわりに • 関係者において、具体的な制度運用や実務上の工夫への活用され、持続的かつ確実な機能確保に資することを期待する • 本検討会の課題認識や危機感について、わかりやすく伝える工夫(見える化)の検討が望まれる

添付資料3 重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会

報告書

河川の急所施設の機能喪失リスク低減に向けて ~老朽化施設の延命化から計画的更新へのパラダイムシフト~

令和8年7月 目次

第1章 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第2章 河川施設 の 維持管理の 課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

第3章 河川施設 の 機能喪失リ スクを低 減するため の対応方 策 ・・・・・・6

(1)対応 方策の方 向性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

(2)急所 施設の抽 出・選定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

(3)総合 診断に基 づく対応選 択と計画 的更新 ・・・・・・・・・・・・・・・9

(4)維持 管理・施 設操作の省 人化・高 度化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 12

(5)施設 マネジメ ント上の観 点と実施 基盤 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 14

第4章 おわりに ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 17

巻末資料 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 18

・委員名簿 ・開催経緯

1 第1 章 は じ めに

河川施設は、高度経済成長期を中心に集中的に整備され、これまで地域住民の 生命・財産の 保全や 社会経済活 動の維持 に重要な役 割を果た してきた。とりわけ 、 堰、水門、排 水機場 等は、洪水時 の水位 調整や排水 機能の確 保など、治水 上の根 幹 を担う施設 である。 一方、これらの施設の多くは整備後長期間を経過しており、今後、老朽化に伴 う更新需要 が急速に 高まる、い わゆる「 大更新時代 」を迎え つつある。特に、機 械 設 備 や 電 気 通 信 設 備 は 、 土 木 構 造 物 と 比 べ て 経 年 劣 化 が 顕 在 化 し や す く 、延 命 化 (長寿命化)にも限界があることから、従来の予防保全を中心とした維持管理の みでは、将来的 に施 設機能を十 分に維持 していくこ とが難し くなるおそ れがある 。 また、近年、気候変 動の影響に より水害 が激甚化・頻発化し ており、今 後も降雨 量 の 増 大 が 予 測 さ れ て い る 。こ れ に 伴 い 、 氾 濫 の 発 生 リ ス ク も 高 ま る こ と か ら、 非常時にも 施設機能 を発揮する 必要性が 高まってい る。 さらに、河川施設の維持管理を取り巻く状況も大きく変化している。少子高齢 化 の 進 展 に 伴 い 、 施 設 操 作 や 点 検 ・ 評 価 を 担 う 技 術 者や 操 作 員 の 確 保 は 今 後 一 層 困難になることが見込まれる。加えて、停電・通信途絶等を伴う災害リスクの増 大、物価・人件費の上昇やサプライチェーンの脆弱化など、施設管理上の制約は 強まりつつ ある。こ うした中、 令和 7 年 1 月に埼玉県 八潮 市で発生し た下水道 管 路の破損に起因する大規模な道路陥没事故は、分野は異なるものの、社会的影響 の 大 き い イ ン フ ラ に お い て 、 機 能 喪 失 リ ス ク を 的 確 に 把 握 し 、点 検 ・ 対 策 の 重 点 化と計画的 更新の考 え方を強め ていく必 要性を改め て示した 事例であっ た。 本 検 討 会 で は 、 こ う し た 状 況 を 踏 ま え 、 今 後 の 河 川 施 設 に つ い て 、 従 来 の延 命 化 ( 長 寿 命 化 ) を 前 提 と し た 維 持 管 理 の 取 組 を 継 続 し つ つ も 、当 該 取 組 の み に 依 拠 す る の で は な く 、 施 設 の 機 能 喪 失 リ ス ク に 着 目し た 施 設 マ ネ ジ メ ン ト へ 転 換 す る 必 要 が あ る と 考 え る 。 そ の 上 で、 重 点 的 に 対 応 す べ き 施 設 を 明 確 化 し 、 計 画 的 な 更 新 ・ 改 築 ・ 増 強 と 、 メ リ ハ リ の あ る 維 持 管 理 を 組 み 合 わせ る 方 向 へ 見 直 し て い く べ き で あ る 。 す な わ ち 、 河 川 施 設 に お け る維 持 管 理 の パ ラ ダ イ ム シ フ ト が 必 要であると 考える 。あわせて 、点検・調 査、診断 、修 繕、改 築、更新 、施 設操作 ま で を 個 別 に 捉 え る の で は な く 、 こ れ ら を 一 体 と し て 捉 え、 統 合 的 な 施 設 マ ネ ジ メ ントの考え 方として 整理してい く必要が あると考え る。 このような 問題意識 の下、本検 討会は、国管理河川 における 堰、水門、排 水機場 等を主な対 象として 、洪水時 に機能 が喪 失してしま うリスク を低減する 観点から 、 重 点 的 に 対 応 す べ き 施 設 の 考 え 方 、 更 新 等 の 優 先度 の 考 え 方 、 並 び に 持 続 可 能 な 維持管理・ 施設操作 の方向性に ついて検 討を行った 。 そ の 結 果 、 今 後 の 河 川 施 設の マ ネ ジ メ ン ト の 方 向 性 と し て 、 特 に 次 の 三 点 が 重 要であると 整理した 。

2 ○ 機 能 喪 失 時 の 影 響 が 大 き く 、 代 替 性や 復 旧 困 難 性 の 観 点 か ら 重 点 的 な 対 応 を 要 する施設を「急所 施 設」とし て抽出・選 定し、重 点的な状 態 把握・管 理につな げ ていくこと ○急所施設 について 、総合診 断を行い 、更新・改 築・増強、重点監視等 の対応を 適切 に選択して いくこと ○ 担 い手 不 足 を 踏 ま え 、 維持 管 理 ・ 施 設 操 作 の省 人 化・ 高 度 化 を 進め る と と も に、 それらを支えるデータ基盤や産業基盤のあり方についてもあわせて検討していく こと

本 報 告書 は 、 以 上 の 議 論 を踏 ま え 、国 管 理 河 川に 設 置 さ れ た 堰 、 水門 、 排 水 機 場 等 の うち 、 特 に 機 械 設 備 及び そ の 運 用 を 含 む重要 河 川 施 設 を 主 た る対 象 と し て 、施 設 の 機能 喪 失 リ ス ク を 低 減し て い く た め の 施 設マ ネ ジ メ ン ト の 基 本的 な 方 向 性 につ い て 、本 検 討 会 と し て の 考え 方 を 取 り ま と め たも の で あ る 。ま た 、本 報 告 書 は 、重 要 河 川施 設 の う ち 、 機 能 喪失 時 の 影 響 や 代 替 困難 性 等 の 観 点 か ら 重点 的 に 対 応 すべ き 施 設を 「 急 所 施 設 」 と 位置 付 け てい る 。 本 報告 書 に お い て 主 た る対 象 と し て いな い 堤 防、 護 岸 、 河 道 等 を 含む 河 川 施 設 全 般 の マネ ジ メ ン ト に つ い ては 、 別 途 の議論 が必要であ る。 今後、関係 者におい て具体的な 制度運用 や実務への 反映が検 討されるに 当たり、 本報告書が その基礎 となること を期待す る。

3 第2章 河川施設 の 維持管理の 課題

本 検 討会 で は 、 こ れ ま で の議 論 や 関 係 団 体 か らの 意 見 聴 取 、 及 び 関係 す る 既 往 の 検討成果(例えば 、 「河川機 械設備の あ り方につい て」答 申(令和4 年7月 、社 会資 本整備審議 会 河川 分科会 河川機械 設 備小委員会 ))も踏ま えつつ、現在の河 川 施設 の維持管理 ・更新が 直面してい る主な課 題を、以下 のとおり 整理した。

1) 施 設の 老 朽化 の進行 と 状態 把 握の 難 しさ 高度経済成 長期に集 中的に整備 された河 川施設は、 建設後 40~50 年を経過し た も の が約 半 数 を 占 め て お り、 更 新 需 要 が 集 中 する 「 大 更 新 時 代 」 を迎 え て い る 。特 に 機 械設 備 で は 老 朽 化 が 著し く 、 通 常 の 点 検 ・修 繕 に よ る 機 能 維 持に は 限 界 が 生じ つつある。 河 川 ポン プ 設 備 の点 検 に 基づ く 診 断 に お い て も、 老 朽 化 に よ り 故 障リ ス ク が 極 め て 高 い施 設 の 存 在 が 確 認 され て い る 。 加 え て 、施 設 に は 堤 防 内 部 や常 時 水 没 部 など 目 視 が困 難 な 不 可 視 部 が 多く 、 劣 化 状 況 や 破 壊メ カ ニ ズ ム の 把 握 が難 し いと い う特 性 も ある 。 一 部 の 施 設 に おい て は 、 専 門 技 術 者に よ る 精 密 診 断 が 行わ れ て い る もの の、異状が 顕在化し た段階で突 然の機能 喪失に至る リスクが ある。 ま た 、物 価 や 人 件 費 の 高 騰に よ り 、 同 一 予 算 で対 応 可 能 な 維 持 修 繕の 量 が 減 少 し て い る。 現 場 で は 応 急的 な補 修 や 修 理 な ど 必 要最 低 限 の 機 能 回 復にと ど ま り 、 恒久 的な対策に 至らない 事例も増え ており、管理水準の 低下が懸 念される。

2) 維 持管 理 ・施 設 操作 を 担う 人 材の 不 足と 技 術継 承 の危 機 河 川 施設 の 維 持 管 理 や 操 作は 、 夜 間 や 悪 天 候 下で の 対 応 を 伴 う 場 合が 多 く 、 操 作 員や技術者 の高齢化 と担い手不 足が深刻 化している 。 民 間 企業 に お い て も 技 術 者の 高 齢 化 が 進 行 し てお り 、 河 川 ポ ン プ 設備や 河 川 ゲ ー ト設備のメ ーカーで は技術者数 が減少傾 向にある。特に 30〜40 代前半の中堅・若 手 層 が 不足 し て い る ほ か 、 据付 部 門 な ど の 現 場 技術 者 は 高 齢 化 が 著 しく 、 今 後 大 量の 技術者が退 職してい くことが見 込まれて いる。 こ の 結果 、 熟 練 技 術 者 の 経験 や ノ ウ ハ ウ が 十 分に 継 承 さ れ な い ま ま失 わ れ る お そ れがあり 、 「技術継 承の危機」に直 面し ている。これら の技 術者は、災害時 や故 障時 の 緊 急対 応 を 担 う 重 要 な 人材 で あ り 、 そ の 不 足は 安 全 ・ 安 心 の 確 保に 直 結 す る 重大 な課題であ る。

3) 市 場規 模 の縮 小 とサ プ ライ チ ェー ン (事 業 継続 ) の課 題 公 共 事業 費 の 制 約 や 、 新 設や 更 新 の 事 業 が 多 くな い こ と等 に よ り 、機 械 設 備 メ ー カ ー は安 定 的 な 受 注 量 の 確保 が 難 し く な っ て いる 。 こ れ に よ り 、 新規 採 用 の 抑 制や 設 備 投資 の 停 滞 が 生 じ 、河川 施 設 の 維 持 管 理や更 新 を 支 え る 事 業 環境 は 厳 し さ を増 している。

4 その結果 、メーカ ー の統廃合や 関連産業(大型部 品、ゴム資 材、電機 品等 )の撤 退 が 進 み、 部 品 調 達 の 海 外 依存 や 納 期 の 長 期 化 など 、 サ プ ラ イ チ ェ ーン の 脆 弱 化 が顕 在化してい る。 今 後 、計 画 的 な 老 朽 化 対 策を 進 め る た め に は 、当 該 産 業 基 盤 を 維 持・ 強 化 す る と ともに、若 手人材に とって魅力 ある分野 へ転換して いくこと が不可欠で ある。

4) 気 候変 動 によ る 水害 の 激甚 化 ・頻 発 化へ の 対応 近 年 、気 候 変 動 の 影 響 に より 水 害 は 激 甚 化 ・ 頻発 化 し て お り 、 そ れを 前 提 と し た 施設設計・運用が求 められてい る。従来 の想定を超 える水位 上昇、氾濫 、土砂堆 積、 洗 掘 など の 発 生 リ ス ク が 高ま り 、 施 設に 求 め られ る 機 能 や 安 全 性も高 度 化 ・ 複 雑化 している。 ま た 、大 規 模 水 害 時 に は浸水 、 停 電 、 燃 料 不 足、 通 信 途 絶 が 長 期 間発 生 す る 可 能 性 が ある が 、 老 朽 化 し た 設備の 機 能 回 復 の み では 、 十 分 な 冗 長 性 や機 能 維 持 体 制を 確保するこ とに限界 がある。

5) 技 術転 換 の課 題 とデ ー タ活 用 ・DX 化の 遅 れ 人材不 足や 施設 老朽 化への 対応 とし て、AI、ド ロー ン、 セン サー等 を活 用し た遠 隔 監 視や 自 動 化 へ の 移 行 が不 可 欠 で あ る 。 し かし 、 現 場 業 務 の 多 くは 依 然 と し て人 手に依存し ており、 効率化が十 分に進ん でいない。 ま た 、点 検 履 歴 や 故 障 デ ータ の 体 系 的 な 蓄 積 ・共 有 が 不 十 分 で あ り、 管 理 者 間 で の 情 報共 有 も 限 定 的 で あ る。 こ の た め 、 デ ー タ分 析 に よ る 劣 化 傾 向の 把 握 、 寿 命予 測、部品交 換時期の 最適化等と いった活 用が十分に 行われて いない。 今 後 は 、 デ ー タ に 基 づ く維 持 管 理 へ の 転 換 と 、 DX の 推 進 に よ る 維 持 管 理 の効 率 化・高度化 を早急に 進める必要 がある。

5 第3 章 河 川 施設 の 機能 喪 失リ ス クを 低 減す る ため の 対応 方 策

(1 ) 対応 方 策の 方 向性 第2章で整 理した課 題に対応し て、今後 の施設マネ ジメント の方向性を 検討した 。 具体的には 、 「 老朽化の進行と状 態把握の 難しさ」に対して は 急所施設の 抽出と総 合 診断による 更新プロ セスの確立 、 「維 持 管理・施設操 作を担 う人材の不 足」に対 して は 点検 ・ 操 作 の 省人 化やメ ン テ ナ ビ リテ ィ ーの 向 上 、「 サ プ ラ イチ ェ ー ン の 脆弱 化 」 に対しては 計画的更 新の見通し の提示や 事業量の平 準化、産 業基盤の維 持、 「気候 変 動への対応 」に対し ては冗長化 や段階的 増強、「DX 化の遅 れ 」に対して はデータ の 蓄積・共有 と活用、 といった観 点から対 応を提案す るもので ある。 今 後 の河 川 施 設 の マ ネ ジ メン ト に お い て は 、 すべ て の 施 設 に 一 律 の対 応 を 行 う の で は なく 、 施 設 の 重 要 性 、機 能 喪 失 時 の 影 響 、老 朽 化 の 状 況 、 代 替困 難 性 等 に 応じ て、対応に メリハリ をつけてい くことが 必要である と考える 。 このために は、まず 施設ごとの リスクや 対応の必要 性を可視 化した上で、重点的・ 計 画 的に 更 新 ・ 改 築 ・ 増 強を 進 め る べ き 施 設 と、 維 持 管 理 の 充 実 によ り延 命 化 (長 寿 命 化) を 図 る 施 設 と を 適切 に 整 理 し て い く こと が 求 め ら れ る 。 あわ せ て 、 担 い手 不 足 を踏 ま え 、 維 持 管 理 や施 設 操 作 に つ い て も、 重 点 化 、 省 人 化 、高 度 化 の 観 点か ら見直して いくこと が必要であ ると考え る。 ま た 、こ れ ら の 取 組 を 進 める に 当 た っ て は 、 点検 ・ 調 査 、 診 断 、 修繕 、 改 築 、 更 新 、 施設 操 作 ま で を 一 体 とし て 捉 え 、 機 能 喪 失リ ス ク の 低 減 を 軸 とし た 統 合 的 な施 設マネジメ ントとし て整理して いくこと が適当であ る。 具 体 的に は 、 ま ず 急 所 施 設を 抽 出 ・ 選 定 し 、 次に 総 合 診 断 に よ り 更新 ・ 改 築 ・ 増 強 、 重点 監 視 等 の 対 応 を 選択 し 、 そ の 結 果 を 施設 マ ネ ジ メ ン ト に 反映 し て い く とい う 一 連の 流 れ と し て 整 理 する こ と が 適 当 で あ る。た だ し 、 こ の 一 連の 流 れ を 基 本と しつつも、現に 著し い老朽化や異状が確 認されるな ど機能喪 失のおそれ が高い施 設・ 部 位 と判 断 で き る 場 合 に つい て は 、 総 合 診 断 や更 新 判 断 の 具 体 化 を待 つ こ と な く、 緊 急 的な 調 査 や 必 要 な 修 繕・ 更 新 に 向 け た 準 備等 に 速 や か に 着 手 する こ とも 重 要で ある。 以 上 を踏 ま え 、 本 検 討 会 とし て は 、 第 1 章 で 示し た 三 つ の 重 要 な 方向 性 を 、 本 章 に お ける 提 言 の 柱 と し て 整理 す る 。 具 体 的 に は、 ① 急 所 施 設 の 抽 出・ 選 定 、 ② 急所 施 設 に対 す る 総 合 診 断 に 基づ く 対 応 選 択 と 計 画的 更 新 、 ③ 担 い 手 不足 を 踏 ま え た維 持管理・施 設操作の 省人化・高 度化であ る。 本章では 、 (2)から(4)においてこ れ ら三つの方 向性につ いて整理す るととも に、 (5)において 、これらの取 組を施設 マネジメン トとして 実効性のあ るものと す るために重 視すべき 観点と、そ れらを支 える実施基 盤につい て整理する 。

6 (2 ) 急所 施 設の 抽 出・選 定

①急 所 施設 の 抽出 ・ 選定 の 考え 方 機 能 喪失 が 発 生 し た 場 合 に、 背 後 地 や 氾 濫 域 にお け る 人 命 、 生 活 、経 済 活 動 、 重 要 イ ンフ ラ 等 に 重 大 な 影 響を 及 ぼ す お そ れ が あり 、 か つ 、 代 替 手 段の 確 保 又 は 機能 回 復 が容 易 で な い 施 設 に つい て は 、 重 点 的 な 対応 を 要 す る 施 設 と して 「 急 所 施 設」 に 着 目す る こ と が 適 当 で ある と 考 え る 。ま た 、運 転 回 数 ・ 運 転 時 間が 多 い 施 設につ い て は、 施 設 の 負 荷 や 故 障リ ス ク 、 対 応 の 優 先度 を 評 価 す る 上 で重要 な 観 点 と して 考慮するこ とが望ま しい。 急 所 施設 の 抽 出 ・ 選 定 に 当た っ て は 、 実 務 へ 円滑 に 適 用 で き る よ う、 単 一 の 絶 対 値 の みで 判 断 す る の で は なく 、 機 能 喪 失 時 の 社会 的 影 響 度 、 地 域 にお け る 重 要 度、 代 替 困難 性 、 復 旧 困 難 性 等の 観 点 を 組 み 合 わ せて 、 総 合 的 に 評 価 する こ と が 望 まし い。 急 所 施設 の 抽 出 ・ 選 定 に 当た っ て は 、 ま ず 着 目す べ き 施 設 を 絞 り 込む た め の 「 必 須要件」を整理し 、その上で 、 「地 域特 性」も踏 まえつつ 、優先度や対 応の方向 性を 判 断 する た め の 「 重 点 評 価要 件 」 及 び 「 判 定 区分 」 を 設 定 し て い くこ とも 考 え られ る 。 こう し た 枠 組 み に つ いて は 、 今 後 の 実 務 に適 用 可 能 な も の と なる よ う 、 さ らに 具体的に検 討してい くことが望 ましい。 な お 、急 所 施 設 と し て選 定さ れ な か っ た施 設 につ い て も 、河 川 管 理上 、 必 要 な 機 能 を 担う 施 設 で あ り 、適 切な 維 持 管 理 の 継 続 が必 要 で あ る 。 こ れ らの 施 設 に つ いて は 、 デジ タ ル 技 術 を 活 用 した点 検 な ど の 省 人 化や 遠 隔 化 、将 来 的 な点 検 項 目 の 見直 し等により 効率化を 図りながら、必 要な 管理水準を 確保して いくことが 重要であ る。 ま た 、施 設 状 態 や 社 会 経 済状 況 の 変 化 等 を 踏 まえ 、 急 所 施 設 に 該 当す る か ど う かに つ い ても 適 宜 見 直 し て い くこ と が 必 要 で あ る 。さ ら に 、 点 検 ・ 評 価や 維 持 管 理 の過 程 で 著し い 老 朽 化や 機 能 性、 安 全 性 又 は 操 作 性の 低 下 に 関 す る 課 題が 確 認 さ れ た場 合 に は、 通 常 の 維 持 管 理 サイ ク ル の 中 で更 新 等の 必 要 性 を 検 討 し てい く こ と が 必要 である。

②急 所 施設 の 抽出・選定 に当た っ て考 え られ る 要件( 社 会的 影響 度及び 地 域重 要 度) 急 所 施設 の 抽 出 に 当 た っ ては 、 ま ず 、 機 能 喪 失が 生 じ た 場 合 の 社 会的 影 響 が 一 定 程 度 以上 認 め ら れ る 施 設 を対 象 と し て い く こ とが 必 要 で あ る と 考 える 。 特 に 、 広範 囲 の 浸水 、 長 時 間 の 浸 水 、又 は ゼ ロ メ ー ト ル 地帯 の よ う に 浸 水 が 長期 化 し 、 復 旧に 相 当 の時 間 を 要 す る 氾 濫 ブロ ッ ク に 位 置 す る 施設 に つ い て は 、 重 点的 に 評 価 す るこ とが望まし い。 ま た 、評 価 に 当 た っ て は 、背 後 地 に 資 産 や 人 口が 集 中 し て い る 大 都市 圏 の み を 念 頭 に 置く の で は な く 、 病 院、 介 護 施 設 、 保 育 園・ 学 校 、 災 害 対 策 本部 と な る 行 政機 関 、 避難 所 な ど 、 被 災 時 に人 命 や 生 活 へ の 影 響が 特 に 大 き い 施 設 が影 響 範 囲 に 含ま れ る かど う か を 考 慮 す る こと が 適 当 で あ る 。 さら に 、 通 勤 や 物 流 、地 域 経 済 を 支え

7 る 鉄 道・ 道 路 、 又 は 利 水 機能 の 停 止 に よ り 代 替水 源 の 確 保 が 困 難 とな る 施 設 な ど、 地 域 の社 会 経 済 活 動 の 維 持に 不 可 欠 な イ ン フ ラと の 関 係 に つ い て も考 慮 し て い くこ とが望まし い。 そ の 際、 急 所 施 設 の 評 価 に当 た っ て は 、 経 済 被害 額 や 人 口 の 絶 対 値だ け で な く 、 そ の 機能 喪 失 が 地 域 社 会 に与 え る 相 対 的 な 影 響の 大 き さ に つ い て も考 慮 す る こ とが 重 要 であ る 。 地 方部 に お いて は 、 被 災 の 絶 対 数が 必 ず し も 大 き く なく と も 、地 域全 体 の 人口 や 経 済 基 盤 に 対 する 影 響 割 合 が 大 きく、 影 響 が 全 国 的 に 波及 す る 場 合 もあ る 。 また 、 緊 急 対 応 力 や 復旧 体 制 の 制 約に よ り、 影 響 が 長 期 化 ・ 深刻 化 す る 場 合が あ る 。こ の た め 、 急 所 施 設の 評 価 に 当 た っ て は、 絶 対 値 と 地 域 に とっ て の 重 要 度の 双 方 を踏 ま え 、 代 替 困 難 性も 含 め た 総 合 的 な評価 の 考 え 方 を 、 順 次、 整 理 し て いく ことが望ま しい。 な お 、急 所 施 設 の 選 定 に つい て は 一 度 定 め た もの に 固 定 す る の で はな く 、 社 会 経 済 状 況や 施 設 の 状 態 変 化 、技 術 の 進 展 等 を 踏 まえ 、適 宜 見 直 し て いく こ と が 必 要で あ る 。ま た 、 内 水 ・ 外 水 等の 事 象 が 発 生 す る 頻度 と 、 機 能 喪 失 時 の影 響 規 模 に つい て は 、単 一 の 指 標 で 一 律 に扱 う の で は な く 、 それ ぞ れ を 区 分 し て 評価 し て い く こと が必要であ る。 こ の よう に 、 急 所 施 設 の 必須 要 件 の 検 討 に 当 たっ て は 、 浸 水 規 模 や浸 水 継 続 時 間 と い った 外 形 的 な 影 響 に 加え 、 人 命 、 生 活 機 能、 地 域 経 済 、 重 要 イン フ ラ へ の 影響 も 含 めて 、 社 会 的 影 響 度 及び 地 域 重 要 度 の 観 点か ら 総 合 的 に 捉 え てい く こ と が 必要 であると考 える。

8 (3 ) 総合 診 断に 基 づく 対 応選 択 と計 画 的更新 前 節 の考 え 方 に 基 づ き 整 理さ れ る 急 所 施 設 に つい て は 、 機 能 喪 失 時の 影 響 の 大 き さ や 代替 困 難 性 等 を 踏 ま え、 通 常 の 維 持 管 理 にと ど ま ら ず 、 施 設 全体 の 状 態 や 機能 喪 失 リス ク を 総 合 的 に 把 握し て い く こ と が 重 要で あ る 。そ の 上 で 、総 合 診 断 の 結果 等 を 踏ま え 、 重 点 監 視 や 更新 ・ 改 築 ・ 増 強 に 向け た 準 備 等 、 施 設 の状 態 や リ ス クに 応 じ た対 応 方 針 を 選 択 し てい く こ と に よ り 、 急所 施 設 の 重 点 管 理 につ な げ て い く必 要があると 考える。 こ の ため 、 本 節 で は 、 急 所施 設 に 対 す る 総 合 診断 の 考 え 方 を 示 す とと も に 、 そ の 結果を踏ま えた更新 ・改築・増 強などの 対応選択及 び計画的 更新の考え 方を示す 。

①総 合 診断 の 考え 方 急 所 施設 に 選 定 さ れ た 施 設に つ い て は 、そ の 重要 性 を 踏 ま え 、 総 合診 断 を 計 画 的 に 実 施し て い く こ と が 望 まし い 。そ の 際 、 経 過年 数 、 点 検 結 果 、 故障 履 歴 等 を 勘案 し 、 優先 的 に 対 応 す べ き 施設 を 整 理 し な が ら 進め て い く こ と が 適 当で あ る 。 ま た、 総 合 診断 を 実 施 す る タ イ ミン グ や 頻 度 、 診 断 の内 容 ・ 項 目に つ い ては 、 施 設の 特性 や リ スク の 大 き さ 等 に 応 じて 設 定 す る必 要 が ある こ と を 踏 ま え な がら、 今 後 、 制度 運用に向け て具体化 を図ること が望まし い。 こ こ でい う 総 合 診 断 と は 、通 常 の 点 検 ・ 評 価 の結 果 も 踏 ま え つ つ 、施 設 全 体 の 機 能 喪 失リ ス ク を 総 合 的 に 把握 し 、 更 新 ・ 改 築 ・増 強 、 重 点 監 視 等 の対 応 方 針 の 選択 に活用する ための診 断をいう。 総 合 診断 に 当 た っ て は 、通常 の 点 検 の 延 長 の みで は 機 能 喪 失 リ ス クを 十 分 に 把 握 で き ない 場 合 も あ る こ と から 、 そ の リ ス ク を より 的 確 に 把 握 す る ため 、多 面 的 に評 価 を 行う こ と が 望 ま し い 。特 に 、 機 械 設 備 ・ 電気 通 信 設 備 部 分 の みな ら ず 、 躯 体部 分 等 も含 め 施 設 全 体 に つ いて 、施 設 の 設 計 思 想、 劣 化 機 構 、 運 用 実態 、 復 旧 可 能性 等 に 加え 、 リ ダ ン ダ ン シ ー( 冗 長 化 ) や メ ン テナ ビ リ テ ィ ー 等 の 機能 付 与 の 必 要性 についても 総合的に 評価するこ とが重要 である。 な お、 総 合 診 断 に つ い ては 、 既 に類 似 す る 取組 が 行 わ れ て い る もの の 、 急 所 施設 に関する更 新判断等への活用を 見据え、その名称、位置付け 、活用方法 、実施手 順、 及 び 実施 頻 度 な ど に つ い て、 今 後 、 関 係 者 に おい て改 め て 整 理 ・ 検討 を 行 い 、 具体 化を図る必 要がある と考える。

○過 去 のデ ー タや 修 繕履 歴 に基 づ くリ ス ク把 握 と類 型 化 施 設設 計 当 時 の 技 術 基 準や 技 術 的 限 界 な どの情 報 を 記 録 し 、 継 承し て い く 仕 組み を 構 築す る こ と 、及 び 過 去の 故 障 ・ 事 故 事 例 や運 用 実 態 の デ ー タ を収 集 ・ 分 析 し、 当 該 施設 に 潜 在 す る リ ス クを 把 握 し て い く こ とが 必 要 で あ る 。 ま た、 施 設 の 規 模、 用 途 、機 械 仕 様 等 を タ イ プ別 に 分 類 し 、 過 去 の修 繕 履 歴 ( 分 解 整 備の 有 無 等 ) も踏 まえた客観 的な診断 手法として 整理して いくことが 望ましい 。

9 ○専 門 知見 の 活用 と 不可 視 部の 状 態把 握 総 合診 断 に 当 た っ て は 、メ ー カ ー 等 の 専 門 エン ジ ニ ア の 知 見 を 積極 的 に 活 用する と と もに 、 必 要 に 応 じ て関係 分 野 の 有 識 者等 が関 与 す る こ と が 重 要で あ る 。 ま た、 通 常 の点 検 で は 確 認 が 困 難な 常 時 水 没 部 な ど の不 可 視 部 分 に つ い ては 、 必 要 に 応じ て状態監視 技術の活 用を図り、 より的確 な状態把握 に努める ことが望ま しい。

②総 合 診断 を 踏ま え た更 新 判断 の 考え 方 従来の予防 保全は 、点検・修 繕等によ り 施設機能を 維持し 、延命化( 長寿命化 )を 図 る 上で 引 き 続 き 重 要 で ある 。 一 方 で 、 急 所 施設 の よ う に 機 能 喪 失時 の 影 響 が 大き く 、 代替 や 復 旧 が 困 難 な 施設 に つ い て は 、 予 防保 全 の み で リ ス ク を十 分 に 低 減 でき ない場合が ある。 こ の ため 、 総 合 診 断 の 結 果を 踏 ま え 、 施 設 の 状態 、 機 能 喪 失 時 の 影響 、 代 替 困 難 性、復旧 困難性等 を 総合的に評 価し、延 命化(長 寿命化 )の ための修繕 等に加え 、更 新 ・ 改築 ・ 増 強 又 は 重 点 監視 等 を 含 む 対 応 を 、施 設 の リ ス ク 特 性 に応 じ て 適 切 かつ 計 画 的に 選 択 し て い く こ とが必 要 で あ る 。 そ の際 、 更 新 判 断 の 観 点や 更 新 に よ る付 加価値も考 慮しなが ら、計画的 な対応に つなげてい くことが 重要である 。

○多 角 的な 限 界要 件 に基 づ く判 断 プロ セ スの 構 築 更 新判 断 に 当 た っ て は、単 な る 物 理 的 耐 用 限界 だ け で な く 、現 行の 法 令 ・ 技 術基 準 へ の適 合 性 等 の 観 点 か ら生 じ る機 能 的 な 限 界、 気 候 変 動 や 背 後 地環 境 の 変 化 によ る 社 会的 機 能 の 限 界 、 さ らに は 部 品 供 給 ・ 施 工体 制 の 制 約 と い っ た多 角 的 な 観 点を 踏まえた判 断の考え 方を整理し ていくこ とが望まし い。

○更 新 によ る 付加 価 値の 考 慮 更 新判 断 に 当 た っ て は 、気 候 変 動 対 応 や 内 水を 含 め た 統 合 管 理の導 入 な ど 、 更新 に よ って も た ら さ れ る 新 たな 価 値 や 他 施 設 へ の波 及 効 果 に つ い て も考 慮 す る こ とが 望ましい。

○急 所 施設 に 係る 更 新待 ち リス ト の作 成 と計 画 への 位 置付 け 総 合診 断 に よ り 更 新・ 改築 ・ 増 強 が 必 要 と 考え ら れ る急 所 施 設 につ い て は 、 施設 の 重 要度 、 機 能 喪 失 時 の 影響 、 老 朽 化 の 状 況等を 踏 ま え 、 対 応 の優先 度 も 加 味 しつ つ 、 急所 施 設 に 係 る 更 新 待ち リ ス ト と し て 把 握す る こ と が 望 ま し い。 こ こ で い う更 新 待 ちリ ス ト は 、単 に 更 新の 順 番 を 待 つ 施 設 を整 理 す る も の で は なく 、 機 能 喪 失リ ス ク の低 減 に 向 け て 、 限 られ た 予 算 や 人 員 等 の制 約 の 下 に お い て 、計 画 的 な 更 新・ 改 築 ・増 強 を 進 め る 観 点 から 、 関 係 す る 計 画 ・事 業 へ の 位 置 付 けを含 め て 整 理 ・検 討 す るた め の も の で あ る 。な お 、 こ の リ ス ト は、 急 所 施 設 に つ い て計 画 的 な 対 応に 向 け て整 理 す る も の で あ り、 急 所 施 設 以 外 の 施設 に お け る 修 繕 、 改築 、 更 新 等 の必 要 性 を否 定 す る も の で は ない 。 急 所 施 設 以 外 の施 設 に つ い て は 、 通常 の 点 検 ・ 評価

10 及 び 維持 管 理 計 画 等 に 基 づき 、 施 設 状 態 や 機 能低 下 の 状 況 に 応 じ て必 要 な 対 応 を検 討していく ことが必 要である。 更 新 に至 る ま で の 間 は 、 監視 ・ 点 検 等 を 通 じ た維 持 管 理 を 徹 底 し 、リ ス ク 管 理 を 図 っ てい く こ と が 必 要 で ある 。一 方 で 、 老 朽 化が 著 し い 等 に よ り 機能 喪 失 の 切 迫性 が 高 い施 設 ・ 部 位が 明 ら かな 場 合 には 、 更 新 待ち リ ス ト へ の 整 理 を待 つ こ と な く、 速やかに必 要な対策 に着手して いく必要 がある。 さ ら に 、更 新 の 実 施 に当 た っ て は 、 人 手 不足 や 物 資 不 足 の 影 響 をで き る だ け 回避 し 、 更新 の 遅 滞 に よ る 機 能喪 失 リ ス ク の 増 大 を防 ぐ た め 、 調 達 ・ 施工 時 期 や 事 業量 の平準化に ついても 配慮してい くことが 重要である 。

11 (4 ) 維持 管 理・ 施 設操 作 の省 人 化・ 高 度化 河 川 施設 の 維 持 管 理 や 施 設操 作 に つ い て は 、 今後 、 施 設 の 老 朽 化 が進 行 す る 一 方 で 、 点検 ・ 評 価 や 操 作 を 担う 技 術 者 や 操 作 員 等の 担 い 手 不 足 が 一 層深 刻 化 す る こと が 見 込ま れ る 。 こ の た め 、限 ら れ た 人 員 の 下 でも 必 要 な 管 理 水 準 を確 保 し 、 施 設の 機 能 喪失 リ ス ク を 低 減 し てい く 観 点 か ら 、 デ ジタ ル 技 術 や 遠 隔 化 ・自 動 化 技 術 等の う ち 、実 用 段 階 に あ る 新技術 を 積 極 的 に 活 用 しな が ら 、 維 持 管 理 ・施 設 操 作 の 省人 化・高度化 を進めて いくことが 重要であ る。 な お 、こ れ ら の 新 技 術 に つい て は 、 急 所 施 設 ・急 所 施 設 以 外 の 別 を問 わ ず 活 用 を 進 め るこ と を 基 本 と し 、 施設 の 重 要 度 や 機 能 喪失 リ ス ク に 応 じ て 、そ の 活 用 方 法や 管理水準に メリハリ をつけてい くことが 適当である 。その際 、急所施設に ついては 、 重 点 的な 監 視 ・ 管 理 を 行 う一 方 、 そ れ 以 外 の 施設 に つ い て は 効 率 化を 図 る な ど 、施 設 の 重要 度 や 機 能 喪 失 時 の影 響 に 応 じ て 、 メ リハ リ の あ る 維 持 管 理・ 施 設 操 作 の体 系へ見直し ていくこ とが必要で ある。 以 下 、点 検 ・ 評 価 及 び 施 設操 作 に つ い て 、 省 人化 ・ 高 度 化 に 向 け た取 組 の 方 向 性 を整理する 。

① 点検 ・ 評価 の 省人 化 ・高 度 化に 関 する 取 組 点 検 ・評 価 に 携 わ る 担 い 手不 足 に 対 応 す る た めに は 、 施 設 の 重 要 度や 機 能 喪 失 時 の 影 響に 応 じ た 、 メ リ ハ リの あ る 点 検 ・ 評 価 体系 へ 見 直 し て い く こと が 必 要 で ある と考える。

○急 所 施設 の 重点 管 理 急 所 施設 に つ い て は 、 機 能喪 失 リ ス ク の 早 期 把握 と 予 防 的 対 応 を 強化 す る 観 点 か ら、IoT 技術やセ ン サーによる 常時監視 体制の活用、定期的 な不可視部 調査、専 門技 術者による 診断等を 重点的に実 施してい くことが望 ましい。

○急 所 施設 以 外の 省 力化 急 所 施設 以 外 の 施 設 に つ いて は 、施 設 の 状 態 や重 要 度 等 を 踏 ま え た上 で 、点 検 頻 度 や 点検 項 目 の 合 理 化 を 図るほ か 、 将 来 的 に 常時 監 視 技 術 の 活 用 によ り 、 現 地 点検 の 負 担軽 減 を 目 指 す と と もに 、 熟 練 技 術 者 に よる リ モ ー ト メ ン テ ナン ス 体 制 の 構築 を 目 指す 。 さ ら に 、 限 ら れた 人 員 で 必 要 な 管 理水 準 を 確 保 す る た め、ロ ボ ッ ト 等に よるリモー ト点検、AI 画像判定、点検 記 録のデジタ ル化、複 数施設の集 中管理に 資 する技術開 発を進め 、その導入 可能性を 整理してい くことが 望ましい。

② 施設 操 作の 省 人化 ・ 高度 化 に関 す る取 組 施 設操 作 の 担 い 手 不 足 に対 応 す る た め に は 、遠 隔 化 ・ 自 動 化 を 着実 に 進 め て いく こ と が必 要 で あ る と 考 え る。 そ の 際 に は 、 安 全性 や 運 用 面 へ の 配 慮を 十 分 に 行 いな がら進める ことが重 要である。

12 ○安 全 確保 技 術の 導 入と 操 作の 定 量化 遠隔からで も流向( 逆流など)を的確に 把握するた めの検知 技術、CCTV 等による 周 辺 の安 全 確 認 機 能 、 ご みや 土 砂 等 の 流 入 防 止策 な ど に つ い て は 、そ の 活 用 を 図る こ と が望 ま し い 。 ま た 、 熟練 者 が 行 っ て き た 操作 判 断 に つ い て 、 可能 な 限 り 定 量化 し 、 客観 的 な 基 準 と し て 整理 し て い く こ とも 重要 で あ る 。 さ ら に 、自 動 化 の 導 入に 当たっては 、地域的・社会的な合 意形成と の整合にも 配慮する 必要がある と考える 。

○基 準 の標 準 化と 責 任の 明 確化 操 作 画面 や イ ン タ ー フ ェ ース に つ い て は 、 標 準化 の 考 え 方 を 取 り 入れ 、 ヒ ュ ー マ ン エ ラー の 低 減 を 図 る こ とが 望 ま し い 。 ま た 、遠 隔 化 ・ 自 動 化 に当た っ て は 、 サイ バ ー セキ ュ リ テ ィ の 確 保 を前 提 と し て 、 操 作 規則 に お け る 権 限 や 責任 分 担 の 考 え方 を 明 確に す る と と も に 、 地域 住 民 等 の 社 会 的 理解 に も 配 慮 し な が ら導 入 を 進 め てい くことが適 当である 。

○フ ェ ール セ ーフ と バッ ク アッ プ 体制 の 構築 通 信 断、 停 電 、 誤 作 動 時 にお い て も 機 能 停 止 に至 ら な い よ う 、 フ ェー ル セ ー フ の 考 え 方を 十 分 に 取 り 入 れ るこ と が 必 要 で あ る 。ま た 、 遠 隔 操 作 が 不能 と な っ た 場合 に備え、速やか に現 地での機側 操作へ切 り替えられ るバック アップ体制 のあり方 や、 必 要 とな る 制 度 面 の 課 題 につ い て も 、 今 後 、 関係 者 に お い て 検 討 して い く こ と が望 ましい。

③ その 他 の維 持 管理 の 省人 化・高 度 化に 対 する 取 組 維 持 管理 の 省 人 化 を さ ら に進 め る た め に は 、 技術 の 汎 用 化 と 民 間 活力 の 活 用 に つ いても検討 していく ことが必要 であると 考える。

○操 作 の単 純 化と 外 部委 託 マニュアル の電子化 や AR(拡張現実)等 を活用した ナビゲー ションによ り、操作・ 点 検 プロ セ ス の 単 純 化を 図る こ と が 望 ま し い 。こ れ に よ り 、 専 門 技術 者 以 外 の 者に よ る 補助 的 対 応 や 、 外 部 委託 の 活 用 可 能 性 に つい て も 、 業 務 の 性 質や 安 全 性 を 踏ま えつつ検討 していく ことが考え られる。

○将 来 を見 据 えた 管 理容 易 化 現地作業の 削減にと どまらず、ゲート施 設の無動力 化やポン プ設備の主 原動機の 電動化によ る機器・ 部品数の削 減、さら には施設の 統廃合を 通じた管理 施設の削 減 など、将来 の維持管 理負担の軽 減に資す る施設のあ り方につ いて検討し ていくこ と が望ましい 。他方で 、省人化の 進展が人 材不足の深 刻化や技 術力低下に つながら な いよう、維 持管理業 務に対する 適切なイ ンセンティ ブの付与や専門業種 の育成に つ いても配慮 していく ことが重要 である。

13 (5 ) 施設 マ ネジ メ ント上 の観 点 と実 施 基盤 本節では 、前節ま で の(2 )~(4 )に 示した三つ の方向性 を、継続 性・実効性 の ある施設マ ネジメン トとして機 能させる ため、横断的に 重視 すべき観点 を整理す る。 具体的には 、更新・改築・増強、点検・評価、計画・設計・整備、維持 修繕に 共 通し て 重 視す べ き 事 項 を 整 理 する と と も に 、 こ れ らの 取 組 を 支 え る デ ータ 基 盤、 産 業基 盤、人材育 成、技術 開発等の実 施基盤に ついて整理 する。

① 更新 ・ 改築 ・ 増強 に 対し て 求め る 観点 施 設 の更 新 ・ 改 築 ・ 増 強 に当 た っ て は 、 単 な る老 朽 化し た 施 設 の 機能 回 復 に と ど まらず、将来の 担い 手不足や水 害の激甚 化を見据え、以 下に 示すリダン ダンシー(冗 長 化 )や メ ン テ ナ ビ リ テ ィー ( 維 持 管 理 の 容 易性 ) 等 の 機 能 向 上 を計 画 的 に 組 み込 ん で いく こ と が 望 ま し い 。な お 、 急 所 施 設 の 更新 等 に 当 た っ て は 、以 下 の 観 点 を特 に重視すべ きである 。

○リ ダ ンダ ン シー ( 冗長 化 )の確 保・ 向 上( 非 常時 の 対応 力 確保 を 含む ) 一 部の 故 障 が 施 設 全 体 の停 止 に 直 結 し な い よう 、 ポ ン プ 設 備 の 構成 の 工 夫 に よる 冗 長 性の 確 保 、 コ ラ ム 型 水中 ポ ン プ の 設 置 、 予備 機 の 導 入 、 電 源 ・通 信 系 統 の 多重 化等の考え 方を取り 入れ、施設 全体とし ての余力を 確保して いくことが 望ましい 。 ま た、 停 電 や 長 時 間 の 出水、 浸 水 に 備 え 、 燃料 備 蓄や 補 給 ル ー トの あ り 方 や 、ゲ ー ト の自 重 降 下 に よ る 閉 操作 の み な ら ず 、 内 水排 除 の た め の 開 操 作機 能 の 付 加、耐 水 化 につ い て も 検 討 し て いく こ と が 考 え ら れ る。 さ ら に 、 単 一 施 設に 依 存 せ ず 、広 域 可 搬設 備 等 と の 連 携 も 視野 に 入 れ て い く こ と、 比 較 的 小 規 模 な 排水 能 力 を 対 象と する場合に は、小型 ポンプの組 合せによ る構成も検 討するこ とが適当で ある。

○メ ン テナ ビ リテ ィ ー( 維 持管 理 の容 易 性)の 確保 ・ 向上 限られた人 員で迅速 な対応を可 能とする 観点から 、 「点検 で きる、交換で きる、調 達できる」 といった 考え方を施 設設計に 取り入れて いくこと が重要であ る。 ま た 、ガ ス タ ー ビ ン エ ン ジン か ら デ ィ ー ゼ ル エン ジ ン へ の 転 換 な ど、 海 外 依 存 度 の 高 い機 器 か ら 国 内 調 達 可能 な 機 器 へ の 転 換 、標 準 品 ・ 汎 用 品 の 活用 等 を 進 め るこ と が 望ま し い 。 さ ら に 、 部品 数 の 削 減 や 維 持 管理 負 担 の 軽 減 の 観 点か ら 、 無 動 力化 (フラップ ゲート等 )や排水機場の 主原 動機に電動 機を採用 することも 考えられ る。 加えて、AI を活用 し た機械設備 の傾向管 理、部品の モジュー ル化、ロボ ット等に よ る 点 検・ 修 繕 を 想 定 し た 施設 設 計 や 設 備 配 置 の考 慮、 点 検 ・ 交 換 箇所 へ の ア ク セス 性の向上、BIM/CIM 等を活用し た施設情 報の蓄積、設備 の復 旧時間短縮 のための 予備 品確保等に ついても 検討してい くことが 適当である 。

14 加えて、軽 微な段階 でのメンテ ナンスを 可能とする 観点から 、AI を活用した故 障 予 測 の精 度 向 上 に 資 す る 技術 開 発 も 期 待 さ れ る。こ れ ら の 取 組 を 進め 、 故 障 の 予兆 段階で保全 を行うこ とで、 「故障に よる停 止リスクを 可能な限 り低減した 施設」を 目 指すことが 望ましい 。

○気 候 変動 対 応の 推 進 施 設 を設 計 す る 際 に は 、 将来 の 外 力 増 大 を 見 据え 、 施 設 全 体 の 余 力の 確 保 や 段 階 的 増 強が 可 能 な ス ペ ー ス の確 保 な ど 、 手 戻 り の少 な い 計 画 と し て いく こ と が 望 まし い 。ま た 、「 水 を さ ば く能 力 」 の 増 強だ け でな く 、「 過 酷 な 環 境で も機 能 を 発揮 で き る施設」と いう観点 にも配慮し ていくこ とが重要で ある。

○統 廃 合の 推 進 土 地 利用 や 人 口 の 変 化 も 踏ま え 、 施 設 更 新 の 機会 を 活 用 し て 、 機 能集 約 や 統 廃 合 の 可 能性 に つ い て 検 討 し てい く こ と が望 ま し い。 機 能 集 約 や 統 廃 合の 検 討 に当 たっ て は 、機 能 を 集 約 し た 施 設の 安 全 性 へ の 影 響など 、 統 廃 合 に 伴 い 新た に 生 じ 得 る潜 在リスクに ついても 十分に確認 すること が必要であ ると考え る。

② 点検 ・ 評価 に 対し て 求め る 観点 河 川 施設 の 点 検 ・ 評 価 を 円滑 か つ 持 続 的 に 実 施し て い く た め に は 、前 述 の 「( 4) 維 持 管理 ・ 施 設 操 作 の 省 人化 ・ 高 度 化」 に 記 載し た 担 い 手 不 足 へ の取 組 を 基 本 とし つ つ 、特 に 常 時 水 没 部 な どの 不 可 視 部 分 へ の 対応 が 重 要 と な る 。 不可 視 部 分 に つい て は 、施 設 台 帳 等 に 明 記 して リ ス ク と し て 管 理す る と と も に 、 一 定期 間 ご と に 、水 中ドローン や内視鏡 などの技術 を活用し 、状態把握 に努めて いくことが 望ましい 。

③ 計画 ・ 設計 ・ 整備 に 対し て 求め る 観点 新 たに 河 川 施 設 を 設 置 する 場 合 に は 、 前 述 の「 更 新 ・ 改 築 ・ 増 強に 対 し て 求 める 観 点 」に 記 載 し た リ ダ ン ダン シ ー や メ ン テ ナ ビリ テ ィ ー に 配 慮 し た計 画 ・ 設 計 ・整 備 を 基本 と し つ つ 、 将 来 の増 強 や 更 新 、 フ ェ ール セ ー フ 機 能 も 視 野に 入 れ て い くこ と が 重要 で あ る 。な お 、 急所 施 設 の計 画 等 に 当た っ て は 、 特 に 留 意す べ き で あ る。 こ れ らに 対 応 す る た め に 必要 な 基 準 や 考 え 方 につ い て は 、 今 後 、 関係 者 に お い て整 理が進めら れること が望ましい 。 ま た 、将 来 の 補 修 ・ 更 新 等を 客 観 的 に 検 討 で きる よ う 、 設 計 時 の 技術 的 限 界 や 前 提 基 準、 そ れ ら を 踏 ま え た仕 様 や 規 格 の 技 術 的根 拠、 及 び 機 能 喪 失時 の 被 害 想 定を 基 礎 情報 と し て 、 維 持 管 理に 活 用 す る た め に 記録 ・ 継 承 す る こ と、初 期 建 設 コ スト の み なら ず 、 維 持 管 理 ・ 更新 を 含 め た ラ イ フ サイ ク ル コ ス ト の 観 点か ら 最 適 化 を図 ることが望 ましい。

15 ④ 維持 修 繕に 対 して 求 める 観 点 河 川 施設 の 維 持 管 理 を 円 滑か つ 持 続 的 に 実 施 して い く た め に は 、 前述 の 担 い 手 不 足 へ の取 組 を 基 本 と し つ つ、 巡 視 ・ 点 検 で 発 見し た異 状 箇 所 の 修 繕を 滞 ら せ る こと な く 、異 状 の 初 期 段 階 で 対応 し て い く こ と が 重要 で あ る 。 そ の た めに は 、維 持 修繕 に 充 てる 予 算 の 確 保 に 努 める と と も に 、専 門 性が 高 く 代 替 が 困 難な業 務 の あ り 方も 含 め た、 管 理 者 、 点 検 者 、施 工 者 、 メ ー カ ーとい っ た 維 持 修 繕 の 担い 手の 体 制 確保 に つ いて の 検 討 と あ わ せ 、類 似 設 備 の 包 括 的 な契 約 や 複 数 年 契 約 など 契 約 方 式 の工 夫 を 検討 し て い く こ と が 必要 で あ る と 考 え る 。ま た 、 流 域 全 体 の 観点 か ら 、 関 係施 設 と の連 携 も 踏 ま え た 効 率的 な 運 用 の あ り 方 や、 そ れ を 支 え る 技 術開 発 に つ い て検 討していく ことが望 ましい。

⑤ 施設 マ ネジ メ ントの 継続 的 運用 を 支え る 基盤 河 川 施設 の マ ネ ジ メ ン ト 体制 を 構 築 し 、 円 滑 に機 能 さ せ て い く た めに は 、 以 上 の 観 点 に加 え 、 下 記 の 事 項 も重 要 で あ る 。ま た 、河 川 施 設 の マ ネ ジ メン ト が 機 能 して いるかにつ いて、定 期的にチェ ックする プロセスも 重要であ ると考える 。

○故 障 ・ト ラ ブル 事 例の デ ータ ベ ース 化 と水 平 展開 の 徹底 維持管理デ ータ(点 検・故障・修繕 履歴 )については、一元 的な管理を 図り、AI 等 に よ る傾 向 管 理 に も 活 用 しや す い 形 で 整 理 し てい く こ と が 重 要 で ある 。 特 に 、 機器 の 故 障や 誤 操 作 等 の ト ラ ブル 事 例や ヒ ヤ リ ハ ット 事 例 に つ い て は 、積 極 的 に 収 集・ 管 理 ・保 存 し 、 官 民 の 専 門家 に よ る 原 因 分 析 を踏 ま え て 、 必 要 な 対策 を 他 の 管 理者 にも共有し 、同種ト ラブルの未 然防止に つなげてい く体制の 構築が望ま れる。

○持 続 可能 な 産業 基 盤の 維 持 施 設 管理 や 総 合 診 断 を 担 う官 民 の 技 術 者 の 確 保・ 育 成 や技 術 継 承 、新 技 術 開 発 を 支 え る関 連 業 界 を 維 持 ・ 育成 し て い く た め に は、総 合 診 断 の 結 果 を施 設 管 理 上 又は 安 全 上支 障 の な い 範 囲 で公表 す る な ど に よ り 、施 設 更 新 の 予 定 や 規模 に つ い て 一定 の 見 通し を 示 す よ う 努 め ると と も に 、施 設 更 新が 一 時 期 に 集 中 し ない よ う 、 調 達・ 工 事 時期 や 事 業 量 の 平 準 化を 図 る こ とも 重 要 であ る 。 ま た 、 専 門 性が 高 く 代 替 が困 難 な 公共 性 の 高 い 産 業に つい て 、 国 内 基 盤 を 持続 可 能 な 形 で 維 持・強 化 ・ 発 展 させ ていくため の事業環 境を実現し ていくこ とも重要で ある。 さ ら に、 有 用 な 新 技 術 の 開発 と 円 滑 な 活 用 を 促す た め 、 河 川 施 設 の管 理 者 が 実 証 現場を提供 する仕組 み(PoC)のあり方に ついても、今後、関 係者におい て検討が 進 められるこ とが望ま しい。

16 第4 章 お わ りに

河 川 の水 は 、 ひ と た び 制 御を 失 え ば 、 人 命 や 財産 に 甚 大 な 被 害 を もた ら す 強 大 な エ ネ ルギ ー を 有 し て い る 。河 川 施 設 の 機 能 を 将来 に わ た り 確 保 し てい く こ と は 、国 民の安全・ 安心を支 える上で極 めて重要 な課題であ る。 と り わけ 、 多 く の 施 設 が 更新 期 を 迎 え つ つ あ る一 方 で 、 担 い 手 不 足、 気 候 変 動 へ の 対 応、 物 価 上 昇 や 供 給 制約 な ど 、 施 設 管 理 を取 り 巻 く 条 件 は 一 層厳 し さ を 増 して い る 。こ う し た 状 況 を 踏 まえ る と 、 従 来 の 予 防保 全 の 取 組 を 引 き 続き 基 礎 と し つつ も 、 それ だ け で は 対 応 し きれ な い 機 能 喪 失 リ スク に 対 し て は 、 重 点化 と 計 画 的 更新 を組み合わ せていく 方向へ発展 させてい くことが求 められて いる。 本 検 討会 で は 、 こ の よ う な認 識 の 下 、 特 に 老 朽化 の 進 行 が 著 し く 、担 い 手 不 足 や 機 能 喪失 時 の 影 響 が 大 き い堰 、 水 門 、 排 水 機 場等 を 中 心 に 、 今 後 の施 設 マ ネ ジ メン トの方向性 について 検討を行っ た。その 結果、機能喪失 時の 影響が大き い施設を「急 所施設」として抽 出・選定し 、総 合診断 に基づき更 新・改 築・増強又 は重点監 視 等の 対 応 を適 切 に 選 択 す る こ と、 さ ら に 維 持 管 理 ・施 設 操 作 の 省 人 化・高 度 化 を 進 める ことを今後 の施設マ ネジメント の柱とし て整理した 。 こ れ らの 取 組 は 、 従 来 の 延命 化 ( 長 寿 命 化 ) を中 心 と し た 維 持 管 理を 引 き 続 き 基 礎 と しつ つ 、 機 能 喪 失 リ スク に 着 目 し た 重 点 管理 と 計 画 的 更 新 を 組み 合 わ せる 施設 マ ネ ジメ ン ト へ 発 展 さ せ るも の で あ る 。 あ わ せて 、 こ れ らを 実 効 性の あ る も の とす る た め、 デ ー タ 基 盤 、 産 業基 盤 、 人 材 育 成 、 技術 開 発 等 の 実 施 基 盤を 整 え て い くこ とも不可欠 である。 な お 、本 報 告 書 は 、 主 と して 機 械 設 備等 を 含 む重 要 河 川 施 設 を 対 象に 、 そ の 機 能 喪 失 リス ク の 低 減 に 向 け た考 え 方 を 整 理 し た もの で あ る 。 堤 防 や 護岸 等 の 土 木 施設 や 河 道の 維 持 管 理 を 含 め た河 川 全 体 の 施 設 マ ネジ メ ン ト に つ い て は、 別 途 整 理 すべ き論点も多 く、今後 さらに検討 を深めて いくことが 望まれる 。 今 後は 、 本 報 告 書 で 示 した 基 本 的 方 向 性 を 踏ま え 、 急 所 施 設 の 考え 方 、 総 合 診断 の 枠 組み 、 更 新 判 断 の 具 体化 、 省 人 化 を 支 え る制 度 ・ 技 術 ・ デ ー タ基 盤 の 整 備 につ い て 、関 係 者 が そ れ ぞ れ の役 割 に 応 じ て 連 携 しな が ら 、 具 体 化 に 向け た 検 討 を 進め て い くこ と が 望 ま れ る 。 また 、 本 検 討 会 に お いて 議 論 し た課 題 認 識や 危 機 感を わか りやすく伝 える工夫 (見える化 )につい ても検討を 進めてい くことが望 まれる。 本 報 告書 が 、 河 川 管 理 者 、民 間 企 業 、 関 係 行 政機 関 そ の 他 の 関 係 者に お け る 具 体 的 な 制度 運 用 や 実 務 上 の 工夫 を 検 討 し て い く に当 た り 、 基 礎 資 料 とし て 活 用 さ れ、 河川施設の 持続的か つ確実な機 能確保に 資すること を期待す る。

17 (巻末資料)

重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会

委員名簿

い が ゆ か 伊賀 由佳 東北大 学流体科 学研究所 教授

たなか ともひろ 田中 智大 京都大 学防災研 究所 准教 授

たなか のりお ◎田中 規夫 埼玉大学大学 院理工学研 究科 教授

てばかり たいち 手計 太一 中央大 学理工学 術院 教授

ひらやま ともこ 平山 朋子 京都大 学大学院 工学研究科 教授

(◎:座長 五十音 順・敬称略 )

重要河川施設の機能喪失回避のための施設マネジメント検討会

開催経緯

【第1回】 令和 8 年4月21 日(火)

【第2回】 令和 8 年5月21 日(木)

【第3回】 令和 8 年6月24 日(水)

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FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:報告書公表