研究背景と目的 ノートルダム清心女子大学の紺谷亮一教授と徳島大学の山口雄治准教授を中心とする研究グループは、人類史における都市の起源を探るため、トルコ共和国のフィクリ・クラックオウル教授(アンカラ大学)らと共同で、トルコ・キュルテペ遺跡の発掘調査を2015年より継続している。本発表は、2025年時点の最新成果を伝えるものである。

都市形成の定説と課題 従来の人類史では、約5000年前の後期銅石器時代にメソポタミアで初めて都市が誕生したとされている。その要因は、ティグリス・ユーフラテス川の灌漑農耕による重層的な社会階層の形成と一般に説明されてきた。近年では北メソポタミアの天水農耕地帯説も浮上したが、農耕を基盤とする点は共通である。しかし、メソポタミア以外の西アジア地域における都市誕生の状況は、長らく解明されないままだった。

新たな発見と研究成果 研究チームは、キュルテペ遺跡周辺の踏査により「希少資源の交易によって都市社会が形成されたのではないか」という仮説を立てた。2015年からの発掘により、2021年には紀元前3300年前後の大規模なジグザグ形建築址を確認し、2025年にはその東側で深さ3mを超える周壁の一部を発見した。この周壁は円形を呈しており、直径100mにおよぶ超巨大建築址である可能性が高まった。

歴史的意義 今回の発見は、以下の3点において画期的である。 1. トルコ中央部における都市出現の時期が、メソポタミア地方の都市出現期まで遡る可能性を示した。 2. 人類史における都市誕生の要因が、農耕という一元的なモデルだけでなく、多元的であったことを示唆した。 3. 当該時期のトルコ中央部において、これほどの大規模な建物や周壁の存在が初めて確認された。

今後は、この周壁の機能(防御か儀礼か)の解明を含め、農耕以外の都市形成メカニズムを実証するための調査を継続する。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査
  • 関連組織:ノートルダム清心女子大学 / アンカラ大学