モルガン・スタンレーは7日(火)に博通(AVGO-US)の経営陣と投資家会議を開催し、8日にリサーチレポートを発表。博通に対して「買い推奨」を維持し、世界第2位のAI半導体サプライヤー、最大のASIC(カスタムチップ)サプライヤー、最大のネットワーク半導体サプライヤーと位置づけました。

GoogleのTPU v9のロードマップは「計画通りに進行中」であり、市場の延期懸念を否定。TPU v9は2ナノメートルプロセスを採用し、4つの計算チップ、16組のHBMスタック、400GbpsのSerDesインターフェースを統合。2028年の量産開始予定で、2026年3月にGoogleとv8からv11までの5年間の協力契約を締結済み。博通はTPU収益の大部分を確保しており、Googleの内部設計チームに対して18カ月以上の技術的リードを維持しています。

Appleとの協業は2031年まで延長され、AIアクセラレータなどの新設計プロジェクトが追加されました。無線供給契約も含まれており、コロラド州フォートコリンズのウェハ工場の拡張が長期需要への自信の証とされています。Appleは「最も厳しい顧客の一つ」とされ、その継続的協力は技術的裏付けとも言えます。

OpenAIとの初代XPU「Jalapeno」は9か月で設計からテープアウトを達成。次世代XPUは「まもなく」テープアウト予定で、帯域幅、SerDes、消費電力、パッケージ技術の限界に挑戦しています。市場はこれらの複雑性を過小評価していると経営陣は指摘します。

博通のTomahawk 6スイッチチップは完売しており、主要AIモデル構築企業が主要顧客。XPU顧客を優先的に供給しており、技術的優位性と深いつながりが価格主導権を支えています。AIネットワーク分野の競争優位は市場認識よりも深いとされています。

AI計算能力の供給過剰懸念に対して、博通は2027年2028年には発生しないと明言。モルガン・スタンレーは、2028年までに意味ある新供給が現れないため、需要が供給を上回ると分析しています。

博通の構造的優位性は以下の3点です。

(1)推論需要の拡大により、XPUがGPUと肩を並べる存在に。大手AI企業では、XPUとGPUの出荷比率が2025年には50:50に達する見込み。推論負荷の進化(単一推論→推論チェーン→AIエージェント)により、カスタムチップの戦略的価値が急上昇。1トークンあたりのコスト競争が新たな主戦場となっています。

(2)多チップアーキテクチャの高いハードル。Google、Amazon、Microsoftなどの大手クラウド企業が自社設計を進めても、6~8チップの複雑な構成、先進パッケージ、高速SerDesの量産は極めて困難。博通の強みは「設計」ではなく、「大規模かつ高精度な複合システムの量産エンジニアリング能力」にあります。

(3)「計算+ネットワーク」の好循環。XPU顧客は博通のASIC設計と製造能力を必要とし、同時にTomahawkスイッチで数万のXPUを接続。博通はXPU顧客にネットワークチップを優先供給し、顧客の囲い込みを強化。XPUとネットワークの両方を使用する顧客の切り替えコストは非常に高く、Tomahawk 6の完売はこの好循環が加速している証です。

モルガン・スタンレーの戦略的見解とも一致。6月22日から7月8日にかけて、カスタムチップへの注目、半導体株の押し目買い、博通の「ストロング・バイ」推奨を一貫して主張。AIハードウェアの長期的供給制約を根拠に、ソフトウェアやメディアなど「AI食い込み(cannibalization)」リスクのある分野には慎重姿勢です。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:提携
  • 関連組織:Google / Apple / OpenAI
  • 製品・サービス:TPU v9 / XPU