米国商務省は現地時間29日、『晶片與科學法案』(CHIPS and Science Act)に基づき、7社の半導体関連企業と連邦補助金の初步意向書を締結したと発表した。支援額は総額最大で8.74億ドルに上る。
この資金は、人工知能(AI)や高性能計算(HPC)システムのボトルネック解消に向けた半導体研究開発を強化することを目的としており、積体光子学、先進パッケージング、新型計算アーキテクチャなどが対象分野となる。
今回の補助政策では重要な転換が見られる。商務省は、資金提供の条件として、政府が各企業の少数株式(非支配株式)を取得することを要求している。これは、納税者が企業の将来の価値向上からリターンを得られるようにするためであり、公共資金を単なる補助ではなく、投資ポートフォリオのように機能させる狙いがある。
しかし、専門家や一部の市場関係者はこのモデルに懸念を示している。反対派は、政府の株式保有が産業政策、規制権限、企業経営の境界を曖昧にし、国際市場における企業の意思決定の独立性を損なう可能性があると指摘している。商務省は、現時点では意向書の段階であり、最終的な補助額や詳細は、今後のデュー・ディリジェンスと正式契約の完了次第であると強調している。
支援対象企業の中では、ウエハー代工大手のグローバルファウンドリーズ(GlobalFoundries)が最も高い3億ドルを獲得し、共封装光学(Co-packaged Optics, CPO)技術の研究開発に充てる予定だ。
商務省によれば、この技術は光信号を用いてデータを伝送することで、従来の銅線に比べて計算速度を大幅に向上させ、エネルギー効率も改善する。これにより、関連する研究開発の進展が2〜3年早まると予想されている。
AIメモリ企業のKeplerは2.45億ドルを獲得し、3次元(3D)統合と強誘電体材料を組み合わせた新型記憶技術の開発を進める。これは、AIシステムでよく見られる「メモリウォール」問題の緩和を目指したものだ。また、半導体製造装置メーカーのMultibeam Corporationは1.4億ドルを獲得し、数千本の高速接続を実現する先進パッケージング技術の研究開発を行う。これにより、チップレット(Chiplet)設計の異種集積を支援する。
その他の支援対象企業は以下の通り。
- Extropic:7,500万ドルを獲得し、熱力学的確率演算技術の研究開発に着手。 - Thintronics:5,000万ドルを獲得し、高速インターコネクト向けの低損失誘電材料の開発を推進。 - OBSIDIA Semiconductors:3,400万ドルを獲得し、非破壊型の偽造部品検出システムの研究開発を実施。サプライチェーンの安全性を強化。 - Aeluma:3,000万ドルを獲得し、AI光インターコネクト向けの大面積光子基板技術の開発を進める。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:資金調達
- 関連組織:GlobalFoundries / Kepler / Multibeam Corporation
- 製品・サービス:3D統合メモリ / 先進パッケージング