高盛アジア太平洋インターネットチームのアナリスト、Ronald Keung氏は月曜日(3日)、中国の大規模言語モデル企業の2024年合計年間継続収益(ARR)予測を100億ドルから130億ドルに上方修正した。さらに、2030年には1250億ドルに達すると予測しており、これは5年間で約25倍の拡大に相当する。

同日、ジェフリーズ(Jefferies)はOpenRouterのデータに基づき、中国のAIモデルが過去14週間にわたり、世界のAPI呼び出し回数トップ5を独占していると指摘した。特にDeepSeek V4 Flashは、1週間7.22兆tokenを消費し、首位に立った。

高盛の予測によると、中国のAIモデルのAPIおよびサブスクリプション収益は、2026年約350億元から2030年には8790億元に増加する見込みだ。1日のtoken消費量も350兆から4600兆に跳ね上がり、5年間で年率25倍の成長を示す。成長の勢いは衰えておらず、市場構造としては「二層市場」が形成されている。

上位層では、智譜のGLM-5.2やアリババのQwen3.7 Maxがリードしており、100万tokenあたりの価格は約1ドルで、知能の「プレミアム」を享受している。一方、下位層はAgentタスク向けに価格が0.06~0.2ドルまで下がっており、規模の経済性を追求している。

高盛は、智譜とMiniMaxの収益予測をそれぞれ35%、22~64%上方修正しており、主要大手企業の商業化能力に対する再評価と位置づけている。

ただし、2026年の訓練と推論の総コストは110億ドルに達し、当期のARRを上回る。EBITは依然として赤字であり、APIの粗利益率は20~30%にとどまる。収益化の転換点は2030年に設定されており、その時点でEBIT利益率18%、総利益230億ドルに達すると予測されており、初期は資金投入、その後に収益化という「先行投資型」の構造であるが、終点は明確に示されている。

高盛が見方を変えた真の要因は、token消費の主体が「人間」から「Agent」へと移行していることだ。同じプログラミングタスクでも、Agentの自動化ワークフローは平均で417万tokenを消費するのに対し、通常の質問応答は3390tokenにとどまり、差は1000倍以上に及ぶ。

OpenCodeが公開したデータによると、DeepSeek V4 Flashは1日8兆tokenを処理しており、HermesなどのAgentアプリケーションは人間のチャットを上回る規模で、OpenRouterにおける最大の消費源となっている。

高盛は、Agentとコーディング用途において「十分に賢く、十分に安い」モデルが評価されていると指摘。中国のモデルはMoEのスパース活性化とキャッシュヒット割引(DeepSeekはヒット時2%の価格)により、米国トップモデルの1日あたりの「燃料費」52~104ドルを13ドルにまで圧縮。価格差は4~8倍であり、規模展開時には数百倍の請求額差に拡大するとしている。

高盛はさらに、2025年を「DeepSeekの瞬間」(コスト効率の勝利)、2024年を「智譜の瞬間」(GLM-5.2がコード生成・Agent分野で世界トップクラスに)と位置づけている。米中トップモデルの性能差は約2.7%まで縮小しており、MiniMaxのH3が動画編集でAAランキング1位、字節跳動のSeedanceがマルチモーダル分野でリードするなど、中国モデルは「安いだけ」ではないことが証明されている。

クラウドへの連鎖効果も始まっている。高盛の予測では、アリクラウドのAI関連収益の比率が50%に近づき、AI製品は9四半期連続で三位数成長を記録。クラウドサービスプロバイダー(CSP)は、単なる計算リソース販売から、MaaS(Model as a Service)とIaaSの融合モデルへと転換している。

高盛は総括して、中国の大規模言語モデルの競争構図が根本的に変化したと指摘。競争の核心はもはやパラメータ数やベンチマーク性能ではなく、「誰が推論コストを最も下げられるか」「誰が最も多くのAgent/コーディング用tokenを獲得できるか」「誰が最も早くクラウド収益に変換できるか」にある。中国が「追走者」から「ルールメーカー」へと移行しているのは、もはや予測ではなく、2024年第2四半期のデータにすでに現れている現実である。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:調査
  • 関連組織:MiniMax / DeepSeek / OpenCode
  • 製品・サービス:大規模言語モデル / AI API