人工知能(AI)の波が、半導体産業全体をかつてない軍拡競争へと駆り立てている。その中心にいる台積電(2330-TW)とインテル(INTC-US)は、まったく異なる戦略を取っている。一方は実際の受注に基づく増産計画、もう一方は市場から資金を調達し、まだ実現していない巻き返しを賭けている。

『Benzinga』の報道によると、台積電は7月、2026年までの資本支出を600億640億ドルに引き上げると発表した。理由は、AIや高性能計算、新興のAIエージェントアプリケーションからの注文が増加しており、既存の生産能力では追いつかないためだ。

数字もそれを裏付けている。台積電の第2四半期の売上高は402億ドルで、前年比36%増。純利益は77%も増加した。そのうち、7ナノメートル以下の先進プロセスがウエハ売上の77%を占めた。

直後に発表された7月の売上高も好調で、前年比45%増の145億ドル。年初から7か月間の累計売上高は前年比37%増となった。

台積電は、この巨額の予算のうち70~80%を先進プロセスに、10~20%を先進パッケージングやテストなどの関連分野に投資する計画だ。

つまり、顧客がより先進的なチップを求めて列をなしており、台積電はそれに応える形で増産しているのだ。

一方、インテルは異なる道を歩んでいる。この老舗チップメーカーは、2026年までの資本支出見通しを200億ドル以上に引き上げ、製造および受託生産事業に充てるとしている。

しかし、既存のキャッシュフローだけでは不十分と判断し、インテルは月曜日(10日)に普通株の新株発行を通じて150億ドルを調達すると発表。主幹事会社にはさらに22.5億ドル分の株式を購入する権利が与えられている。

インテルは、調達資金は資本支出や運転資金を含む一般的な企業目的に使うとし、先進製造およびパッケージング技術の強化に重点を置く。目標は、外部の顧客をより多く獲得することだ。

重要なのは、台積電の600億ドル規模の資本予算とインテルの150億ドルの増資は、性質が異なる点だ。前者は年間の資本支出計画であり、後者は一時的な資金調達行動である。

真の違いは「余力」にある。台積電の巨額投資は、すでに獲得済みの大量の受注と利益に基づいている。一方、インテルの増資は、新たな資金で製造能力を構築し、将来の需要を創出することを目指している。

そのため、インテルの新株発行はチャンスであると同時に、試練でもある。この新たな資金が、十分な顧客を獲得し、先進製造事業を軌道に乗せることができれば、長期的には企業体質の強化につながる。しかし、新株発行は既存株主の権益を希薄化させるリスクもある。

分析によれば、台積電にとって最大の課題は、AI需要の成長に追いつくための十分なスピードでの増産を維持できるか、生産能力が業績の頭打ちにならないか、ということだ。

一方、インテルにとっては、より根本的な問題がある。数十億ドルの新たな資金が、640億ドルを投入し、差を広げ続ける相手と真正面から戦えるビジネスに、受託生産事業を再建できるかどうかだ。

報道は、この生産能力と資本を巡る争いこそが、今後投資家が注目すべき半導体業界の本格的な大ドラマであると指摘している。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:資金調達
  • 関連組織:インテル
  • 製品・サービス:先進パッケージング