アメリカとイランが6月17日に署名した諒解備忘録(MoU)が月曜日(17日)に正式に失効したが、この和平を目指した協定は実質的にすでに機能していなかった。両国は署名からわずか10日後に再び交戦状態となり、トランプ大統領は7月7日、「協定はすでに終わった」と発表した。

現在、大規模な軍事衝突は一時的に沈静化しているが、交渉は依然として膠着状態にあり、2月28日から続くイランとの戦闘はまだ終結していない。

### 60日間の交渉期間が開始されず

パキスタンの中立的な仲介によってまとめられたこの14項目の備忘録は、トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領が署名したもので、当初は60日間の期限を設け、包括的和平協定に向けた交渉を開始する予定だった。

協定によれば、米国とイランおよびその同盟国は、すべての戦線で即時に戦闘行為を停止することが求められた。これにはレバノン戦線も含まれる。アメリカは30日以内に海上封鎖を解除し、最終合意成立後にイラン周辺の兵力を撤収するとともに、地域パートナーと協力して少なくとも3,000億ドル規模のイラン再建・経済発展計画を策定することを約束した。

ワシントンはまた、イランに対する経済制裁の解除、石油輸出制限の免除、凍結されている海外資産の利用許可を認めることでも合意した。

一方、イランはホルムズ海峡に敷設された水雷の除去を約束し、60日間は商船の無料通行を保証するとした。また、核兵器を開発しないことを改めて確認し、ウラン濃縮に関する問題についても交渉に応じると表明。これらの詳細は、国連支援のもとで策定される最終合意に盛り込まれる予定だった。

しかし、停戦、航路、制裁、再建などを包括するこの枠組みは、肝心な条項の定義があいまいで、当初から各国が異なる解釈を持っていた。

### ホルムズ海峡が最大の爆発点に

最も大きな争点は、ホルムズ海峡における航路の管理権であった。

備忘録第5条では、イランが商船の安全な通行を確保するよう尽力し、アマンおよび他のペルシャ湾沿岸国と海峡の将来の管理および海事サービス体制について協議することを求めている。しかし、条文は船舶の航路を誰が決定するかを明確にしていなかった。

アマンはアメリカの支持を得て、アマン海岸に近い航路を公表した。一方、イランは船がイラン側に近い航路を航行するよう要求し、アマン側の一部水域を制限区域に指定した。このため、航路の承認権と海峡管理権をめぐって根本的な対立が生じた。

6月25日、シンガポール船籍の貨物船「エバー・ラブリー」がアマン寄りの航路で不明な投射物の攻撃を受けた。イランは犯行声明を出さなかったが、関与を明確に否定もしなかった。

これを受けてワシントンはイランの責任であると断定し、トランプ大統領は「愚かな違反だ」と批判した。米中央軍司令部は6月27日、商船襲撃への対応として、イラン南部沿岸のミサイル・ドローン保管施設およびレーダー基地を空爆したと発表した。

これに対しイラン外務省は、沿岸監視施設への攻撃は備忘録における敵対行為全面停止の約束違反だと非難した。テヘランは同日、米国の地域内軍事施設に対して報復攻撃を行い、「米国が再び攻撃すれば、報復規模をさらに拡大する」と警告した。

つまり、備忘録署名からわずか2週間も経たないうちに、米国とイランは再び相互に攻撃を開始していたのである。

### レバノン停戦条項にイスラエルが含まれていなかった

第二の構造的問題は、備忘録第1条にあった。この条項は米国とイランおよびその同盟国に対し、すべての戦線での軍事行動を停止するよう求め、レバノンの主権と領土保全に言及しているが、イスラエルが遵守すべきこととは明記していなかった。

イランは、イスラエルによるレバノンへの軍事行動もこの備忘録の適用範囲内だと主張している。しかし、イスラエルはこの解釈を受け入れず、ガザおよびレバノンに対する攻撃を継続している。

アルジャジーラによると、イスラエルは現在もレバノンの約5分の1の領土を占領しており、イラン支援のヒズボラ組織の拠点打撃を理由に、レバノン南部への攻撃を続けている。そのため、「すべての戦線」を包含するとされる停戦条項は、実際には実行が困難となっていた。

### 3,000億ドルの再建約束に詳細が欠けていた

備忘録第6条では、アメリカが地域パートナーとともに少なくとも3,000億ドル規模のイラン再建および経済発展計画を策定すると規定しているが、どの国や機関が資金を負担するかは明記されていない。資金の用途や制限についても触れられていない。

制裁の取り扱いについても疑問が残る。協定文には制裁解除が言及されているが、それがアメリカ単独の措置に限られるのか、それとも国連が承認した制裁も含むのかは明らかではない。

米国務省の元イラン担当代理局長であるジョーイ・フッド氏は、備忘録の表現が極めて緩やかであり、イランが条文を自国のホルムズ海峡およびレバノンにおける主導権承認と解釈できる余地を残していたため、協定は初めから持続不可能だったと指摘している。

### トランプ、署名から1か月も経たずに協定終了を宣言

軍事的対立が再燃する中、トランプ大統領は7月7日、備忘録は「すでに終わった」と宣言し、米軍は引き続きイランへの攻撃を継続した。

これに対しテヘランは、米国がイラン南部の民間インフラを攻撃し、少なくとも50人が死亡したと非難した。イラン当局は、アメリカが備忘録のすべての約束を違反・中止したため、イランも自らの義務履行を同時に停止すると発表した。

イラン外務省報道官のバゲイ氏(Esmaeil Baghaei)は、米国が協定署名後数週間で大規模に違反したため、双方は交渉さえ開始できず、当初の60日間の期限も意味を失ったと述べた。

イランは最近、米国が協定を破壊したため、現段階では米国との直接交渉は行わないとしている。代わりに、テヘランはアマンとホルムズ海峡の将来の管理体制について協議を進めている。一方、パキスタンは米伊間の直接対話を再開させるために引き続き努力している。

### 代替案の不在

この備忘録は、米伊間の包括的和平協定への足がかりとされる可能性があったが、双方が互いに違反を非難し合う中、原協定の復活や新たな合意の迅速な成立の兆しは見えない。

ホルムズ海峡の航行および管理権が依然として最大の障壁となっている。フッド氏は、もしイランが船舶の自由航行を再開すれば、トランプ政権は海上封鎖の解除や石油制裁の緩和で応じる可能性があると指摘している。

しかし、双方の立場がまだ軟化していない現状では、備忘録の失効は形式的な終点にすぎない。協定が失敗した真の原因は、条文のあいまいさ、航路をめぐる争い、そして米伊の再交戦が発生した時点で既に決まっていたのである。

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  • 出典:PR Times
  • 分類:ニュース