2026年上半年、中国市場におけるAI演算力への需要が引き続き高まっている。この流れを受け、国内の主要AIチップ企業である「モールスレッド」と「寒武紀」の両社が、2026年上半期の業績で大幅な売上成長を達成した。しかし、研究開発の投資姿勢や収益性、事業の成熟度において、両社の間に顕著な差異が見られている。

売上は共に増加するも、収益性は二極化

2026年の中間決算報告によると、モールスレッドの営業収益は17.36億元(人民元)に達し、前年同期比147.42%の大幅増となった。これは、スマートコンピューティング、クラウドPC、エッジ端末などの分野での商用化が加速したことが主な要因である。同社は現在、市場浸透を図るための積極投資期にあり、まだ黒字化には至っていないが、親会社帰属当期純損失は1,156万元にまで縮小。前年同期比で95.73%の減損となり、経営状態は着実に改善している。

一方、すでに規模的な収益化フェーズに入った寒武紀の業績はさらに目覚ましい。上半期の売上高は59.96億元で、前年比108.13%増。親会社帰属当期純利益は23.11億元に達し、前年比122.61%の伸びを記録した。売上と純利益の両方で倍増以上の成長を遂げており、強力な規模の経済効果を発揮していることがわかる。

研究開発投資の強度に差異

研究開発面では、モールスレッドが上半期に7.69億元を投じており、前年比38.16%の増加。研究開発費用率は高水準の44.30%に達している。一方、寒武紀の研究開発費は7.02億元。売上規模の拡大に伴い、研究開発費用率は過去の高水準からさらに低下し、11.72%まで改善されている。

また、モールスレッドは8月10日に、H株の発行および香港取引所主板への上場申請を計画していることを公表した。これにより、国際的な展開を深化させ、優秀な人材の獲得を促進する狙いがある。

在庫とサプライチェーンの圧力が表面化

事業の急速な拡大に伴い、両社とも原材料や委託製造コストの上昇による在庫の圧力に直面している。2026年6月末時点で、モールスレッドと寒武紀の棚卸資産の帳簿価額は、それぞれ35.50億元および82.48億元に達している。在庫回転日数も、前年同期と比べて延長されている。

このサプライチェーンおよび高在庫の状況について、広発証券はリサーチレポートで分析。「寒武紀の仕入現金支出と在庫の大幅な増加は、実際にはサプライチェーンの安定化と修復が進んでいる証左であり、次四半期以降の製品出荷と売上の四半期比成長に、資金面・物資面での支えとなるだろう」と指摘している。

また、中信建投証券は7月に発表したリポートで、「輸出規制の強化と国産代替の恩恵が相乗的に作用する中、今後数年は国産AIチップが規模検証から収益化へと移行する重要な期間となる。また、ソフトウェアとハードウェアをセットで販売する戦略により、将来的に利益率が大幅に改善される可能性がある」と述べている。

今後の業績見通しと評価基準

今後の見通しについて、浙商証券は分析している。寒武紀の株式報酬制度における業績評価目標によれば、2026年の営業収益は少なくとも135億元以上とする必要があるという。これは、同社が下半期に約75億元の売上を達成する必要があることを意味しており、上半期比で約25%の成長が求められる。

一方、モールスレッドの2026年の年間売上目標は25億元以上としており、評価基準は比較的安定的。業績の達成ペースもより緩やかであると見られている。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:ニュース
  • 製品・サービス:AIチップ / スマートコンピューティングソリューション