AI分野のユニコーン企業Anthropicは、2024年9月または10月に初の株式公開(IPO)を実施する計画を発表した。目標時価総額は2兆ドルを超え、これまでの記録であるSpaceXの1.77兆ドルを上回る見込みだ。同社は2024年7月現在、年換算収益が650億ドルに達し、2025年末の目標であった90億ドルを大幅に上回った。また、調整後営業利益も初めて計上された。しかし、投資家の期待を下回る年間800億ドルの収益見通しに対し、現状の売上曲線は若干劣っている状況だ。

同社の超高い時価総額を脅かす要因となっているのが、最新の旗艦モデル「Fable 5」の売上停滞である。米国の7万社の企業消費データを分析したRampの調査によると、Fable 5のリリースから2か月以上が経過した現在、同モデルの売上はAnthropic全体の製品売上のわずか11.4%にとどまっている。その主な理由は、Fable 5の価格設定が高額すぎることにある。具体的には、入力トークン100万個あたり10ドル、出力トークン100万個あたり50ドルという価格設定だ。

ベンチマークテストにおいて、Fable 5は70.5点を獲得したが、そのコストは1回のタスクあたり17.32ドルに上った。一方で、価格が半額の「Opus 5」は70.0点を獲得し、コストはわずか8.23ドルだった。これにより、Opus 5はリリースから1か月も経たないうちに企業の支出をFable 5から奪い取る結果となった。

さらに、競合他社であるOpenAIの旗艦モデル「GPT-5.6 (Sol)」は、同社の総収入の23%を占めており、その価格はFable 5よりも大幅に低い。加えて、Fable 5は2024年6月にリリースされた後、米国政府の輸出規制により数週間にわたり販売停止を余儀なくされた。また、30日間のデータ保持ポリシーも、コンプライアンスに敏感な一部の買い手を遠ざける要因となっている。

Accel PartnersのパートナーであるMiles Clementsは、顧客が最先端のモデルのみを追求する時代は終わりつつあると指摘する。企業顧客が「十分な性能であれば安価なモデルで十分」と判断する傾向が続く場合、Anthropicが2028年までに2000億ドルの売上目標を達成することは、より一層困難になるだろう。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:資金調達
  • 関連組織:OpenAI / SpaceX / Accel Partners
  • 製品・サービス:Fable 5 / Opus 5