AC-BTI試験機を使用する様子

OKIグループで信頼性評価、環境試験、EMC試験の技術サービスを展開するOKIエンジニアリング(社長:大場 宏之、本社:東京都練馬区、以下、OEG)は、2026年11月2日から、SiCパワー半導体(注1)固有の劣化モードを評価する「AC-BTI(注2)試験サービス」を強化します。SiCパワー半導体メーカーおよび同製品を搭載する機器メーカーを対象に、評価可能な製品および試験条件を拡大し、試験時間を従来比で最大75%短縮します。実際の使用環境に近い条件で効率的な信頼性評価を提供し、お客様の製品開発期間の短縮や品質向上を支援します。本サービスにより、2027年度末までの累計売上1億円を目指します。

主要指標 — KEY FIGURES

75%%
従来比で最大75%短縮
1億円
2027年度末までの累計売上1億円
231日日
従来約231日を要していた
58日日
約58日に短縮できます

SiCパワー半導体は、従来のシリコン(Si)製パワー半導体と比べて電力損失を抑えられるため、電気自動車、データセンター向け電源、風力発電関連機器などへの採用が広がるとともに、宇宙機器への適用も期待されています。一方、SiCパワー半導体の一種であるSiC MOSFET(注3)には、長期間にわたるスイッチング動作(オン/オフの繰り返し)によって、しきい値電圧(注4)が不可逆的に上昇する固有の劣化モードがあります。この劣化は電力損失の増加につながる場合があり、長期信頼性を確保するうえで重要な評価課題となっています。

OEGは、国内の受託試験所に先駆けて2024年9月からAC-BTI試験サービスを提供してきました。今回、SiCパワー半導体の用途拡大に伴うお客様の要望や欧州の信頼性規格AQG 324(注5)の改定を受け、カスタムメイドの試験装置を新たに開発・導入しました。これにより、幅広い試験条件への対応や多角的な特性把握が可能となり、実際の使用環境により近づけるための規格改定で追加された条件(注6)にも対応します。さらに、スイッチング動作の高速化により、試験時間を従来に比べて最大75%短縮します。JEITA EDR-4713 Amend.1(注7)に記載されている風力発電関連機器(パワーコンディショナー)相当の試験では、従来約231日を要していた試験期間を約58日に短縮できます。

今後、OEGはSiCパワー半導体向け信頼性試験・評価・解析メニューを拡充し、お客様の製品開発や品質保証に関するニーズに応える技術サービスを提供していきます。これらの取り組みを通じて、SiCパワー半導体の品質向上と普及を支援するとともに、高効率な電力変換を支える製品の社会実装を促進し、カーボンニュートラルの実現に貢献します。なお、本サービスの内容は、2026年9月30日~10月1日に開催される「九州半導体産業展」にて展示する予定です。

販売計画

提供価格:個別見積

販売目標:1億円(2027年度末までの累計)

サービス提供開始時期:2026年11月2日

用語解説

注1:SiC(Silicon Carbide:炭化ケイ素)パワー半導体

シリコンカーバイド(SiC)を材料に用いたパワー半導体。シリコン(Si)と比べ、高耐圧・低損失・高温動作に優れる。

注2:AC-BTI(Alternating Current – Bias Temperature Instability)

ゲート端子にオン・オフの電圧ストレスを繰り返し加えた際に生じる、SiCパワー半導体特有の特性変動。

注3:MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)

電力のオン・オフを制御する半導体スイッチ。ゲート、ドレイン、ソースの3端子で構成される。

注4:しきい値電圧

MOSFETなどのトランジスタがオン状態になるために必要なゲート電圧。上昇すると、電力損失が増加する場合がある。

注5:AQG 324(Automotive Qualification Guideline)

ECPE(European Center for Power Electronics)が発行する車載パワーモジュール向けの信頼性試験規格。

注6:規格改定で追加された条件

2025年のAQG 324改定で、ゲート端子に加えてドレイン端子にも電圧を印加するAC-BTI試験の条件が追加された。

注7:JEITA EDR-4713 Amend.1

JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が発行する化合物パワー半導体の信頼性試験方法に関するガイドライン。AC-BTI試験について規定している。

リリース関連リンク

「SiCパワー半導体のAC-BTI試験サービス」紹介サイト

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