株式会社プラスアルファ・コンサルティング(本社:東京都港区、代表取締役社長:三室克哉、証券コード4071)が運営するHR未来共創研究所は、企業の採用と人材戦略の将来像をまとめた『HR未来予測レポート・採用編2026年版』 を発行しました。
本レポートは、2024年4月発行の 『HR未来予測レポート・採用編』 を、この2年間におけるAI技術の進展や労働市場の変化を踏まえて全面的に更新したものです。生成AIやエージェント型AIの実装が進む中、AIは書類選考や日程調整にとどまらず、求人票の作成、候補者探索、面接、評価、採用オファーといった人事領域の判断業務にも活用され始めています。
本レポートでは、バックキャスティングの手法を用いて2050年の採用の姿を描き、企業が今後取り組むべき人材戦略の方向性を提示しています。
本レポートが示す「2050年までの採用の変革シナリオ」
主要指標 — KEY FIGURES
・未来から逆算して考えるバックキャスティングにより、採用は「業務」から「人的資本を設計する経営機能」へ進化
・「キャスティング型人材調達」「退職や欠員の発生を待たずに先回りで人材を確保する退職レス採用」「人的資本提携」など、新たな人材確保モデルを提示
・社内人材、外部専門人材、企業間で共有する人材、AIエージェントを統合的に捉える「人材ポートフォリオ」の未来像を提示
・AIエージェントが候補者探索から面接、評価、採用オファーまでを自律的に実行
2050年に向けた「採用の4大テーマ」
1.既存採用業務の自動化
求人票作成、候補者探索、一次面接、評価レポート作成までをAIエージェントが自律的に遂行。人事部門は戦略立案、仕組みづくり、AIガバナンスの強化へと軸足を移します。
2.採用プロセスの再設計
個人のキャリアデータと企業情報のオープン化により、スキル・経験・価値観を含む高度なマッチングをAIが実現。「雇用」から「キャスティング型」の人的資本調達へ移行します。
3.タレントマネジメントへの拡張
採用データが配属・育成・評価・異動・定着・キャリア支援と連携し、社内人材・外部人材・AIエージェントを統合的に管理する人材ポートフォリオ設計の重要性が高まります。
4.人的資本マネジメントの再構築
長期的に育成する「ストック型」人材と、必要なスキルを機動的に調達する「フロー型」人材を、企業が事業戦略に応じて使い分ける人的資本マネジメント時代が到来します。
4つのテーマは、採用の射程が「業務」から「プロセス」、さらに「人材マネジメント全体」、そして「経営そのもの」へと段階的に拡張していく道筋を示しています。
2050年に向けた採用の未来仮説:企業・個人・社会コミュニティの関係が再編される
1.既存採用業務の自動化
・「点」の自動化から「面」の自律実行へ
2024年版の発行時点では、AIによる自動化の対象は、書類選考の補助、面接日程の調整、適性検査の自動採点といった個別業務に限られていました。しかし、生成AIとエージェント型AIの発展により、自動化の対象は採用プロセス全体へ広がりつつあります。
将来的には、企業の採用ニーズを受け取ったAIエージェントが、人事データと外部労働市場データを分析し、求人票作成、候補者探索、一次面接、回答分析、評価レポート作成までをシームレスに実行するようになると考えられます。
・人事部門の社員の役割は「業務遂行者」から「AIエージェント管理者」へ
HRBP(Human Resource Business Partner)は採用業務を直接担う存在から、事業ニーズを翻訳し、AIエージェントの判断ロジックや探索条件を設計・調整する役割へ変化します。人事部門は、採用戦略の策定、組織文化との整合性確保、評価バイアスの検証、説明責任を含むAIガバナンス設計へ重点を移していきます。
・AI時代にも残る「人」の役割
AIは大量のデータの扱いと過去のパターン分析を得意とする一方、異色の経験や数値化しにくい可能性を持つ「n=1」の人材を見落とす可能性があります。独自の背景を持つ人材の可能性を見出し、その成長余地や価値観を理解することは、引き続き「人」に求められる重要な役割です。
2.採用プロセスの再設計
・キャリアデータと企業情報のオープン化
学歴・職歴・学習歴・資格に加え、ボランティア、プロボノ、副業、起業などの経験がデジタル化され、個人のキャリアデータとして蓄積・可視化されます。企業側も業務内容やプロジェクト情報、不足スキル、人材要件などをデータとして開示し、AIが双方を照合することで、スキルや経験だけでなく価値観や企業文化との適合度まで踏まえたマッチングが実現します。
・「雇用」から「キャスティング」型の人的資本調達へ
先にプロジェクトを定義し、その実現に必要な人材を社内外から集める「キャスティング型」の人的資本調達が広がります。社員が現在の所属企業を退職せずに他社プロジェクトへ参画する「退職レス採用」や、企業同士が人材を相互活用する「人的資本提携」も有力な選択肢となります。
・採用AIの公正性・透明性が企業ブランドを左右
採用AIが高度化するほど、性別、年齢、国籍などによる差別的なスクリーニングの防止や、判断根拠の説明可能性が重要になります。AIの公正性と透明性を担保するガバナンス体制は、企業ブランドを左右する重要な経営課題となります。
3.タレントマネジメントへの拡張
・採用は人材ライフサイクル全体の「起点」へ
採用時のスキル、経験、志向、価値観などのデータが、配属、育成、評価、異動、定着、キャリア支援へと引き継がれ、人材ライフサイクル全体が一つの仕組みとして統合されます。
・内部労働市場と外部労働市場の境界が融解
社内公募、副業、アルムナイ、フリーランス、業務委託などの活用が進み、内部労働市場と外部労働市場の境界は次第に曖昧になります。企業が管理すべき対象は正社員だけではなくなり、社内人材、外部人材、AIエージェントを組み合わせた「人材ポートフォリオ」の設計が中心的なテーマとなります。
・CHROは人材マネジメントのアーキテクチャ設計者へ
CHRO(Chief Human Resource Officer/最高人事責任者)は、個別施策の管理責任者から、採用、配置、育成、評価、人材データ、AIガバナンスを貫く人材マネジメント全体の「アーキテクチャ設計者」へと役割を変えていきます。
4.人的資本マネジメントの再構築
・「ストック型」と「フロー型」の併存
自社の資本として長期的に雇用・育成する「ストック型」の人材と、事業やプロジェクトに必要なスキルを社外の専門人材、副業・兼業者、フリーランス、業務委託などから機動的に調達する「フロー型」の人材を使い分ける人的資本マネジメントの重要性が高まります。2050年に向けては、自社の事業特性や競争戦略に応じて、両者をどのように組み合わせるかが人材戦略の中心的な論点になります。
採用の未来を方向づける構造変化
日本の生産年齢人口は、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、2026年の7,274万人から2070年には4,535万人へと大幅に減少する見通しです。加えて、AI・ロボットの普及によって職種別の需給構造は大きく変化し、2040年には事務職で余剰が生じる一方、専門職や現場人材では不足が見込まれます。
こうした環境変化の中で、採用は応募者を集めて選考する機能から、社内外の人的資本を組み合わせて事業に必要な能力を確保する機能へと進化していくことが求められます。
発行人・編集人コメント
AIの進化によって変わるのは、採用業務の効率化だけではありません。企業と個人の関係、人材を自社で雇用する意味、人事部門の社員やCHROが果たす役割そのものが、根本から問い直されようとしています。
本レポートは、未来を正確に予測することを目的としたものではありません。望ましい未来を起点に、企業が今何を始め、何を変えるべきかを考えるための「設計図」です。人事部門が「管理機能」から「価値創造の中枢」へ進化するための議論の一助としてご活用いただければ幸いです。
発行人・編集人 HR未来共創研究所所長 藤元健太郎
レポ―ト概要
名称
HR未来予測レポート・採用編2026年版
発行日
2026年7月
発行人・編集人
藤元健太郎
発行元
HR未来共創研究所
ページ数
全28ページ
HR未来予測レポート・採用編2026年版のダウンロードはこちら
<HR未来共創研究所について>
HR未来共創研究所(https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/thinktank/)は、人事領域の各業務プロセスにおける未来課題を抽出し、その対応策を予測することで、お客様とともに明るい未来を共創することを目指す活動を行っております。本活動の成果は、公式Webサイトや「HR未来予測セミナー」の中で発信し、広く社会や人事業界に還元してまいります。
<株式会社プラスアルファ・コンサルティングについて>
株式会社プラスアルファ・コンサルティング(https://www.pa-consul.co.jp/)は『あらゆる情報から付加価値を生み出し続ける、見える化プラットフォーム企業』として、2006年の設立以来、顧客の声や顧客データ/購買データ、人事情報のようなビッグデータを「見える化」し気づきを与える力を持つ、「テキストマイニング」や「データマイニング」などの技術を核としたクラウドソリューション事業を行っています。さまざまな情報を「見える化」することで、お客様のビジネスに+α(プラスアルファ)の価値を創造するためのソフトウェアの開発・販売、コンサルティング、新規事業創出を行っています。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
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