テクノロジー大手MetaがAIチップの自社開発を加速している。海外メディア『ロイター』の最新の独占報道によると、Metaは2024年9月から、コードネーム「Iris」と呼ばれる自社開発のAIチップの量産を開始する。このチップはBroadcom(ブロードコム)と共同で設計されており、製造はTSMC(台湾積体電路製造)が担当する。
報道によると、ロイターが入手したMetaの内部メモによれば、AI演算基盤の拡大を進める一環として、自社開発AIチップの量産が2024年9月から始まり、2027年までに全体の演算能力を14GWまで引き上げる目標を掲げている。
このデータセンター向けAIチップ「Iris」は、Metaの第4世代「トレーニング&インフェレンスアクセラレーター」(Meta Training and Inference Accelerator, MTIA)計画の一部であり、FacebookやInstagramなどのソーシャルプラットフォームを支えるAIモデルの学習と推論処理の性能向上に活用される予定だ。
Metaの自社開発チップに大きな進展?Irisのテスト期間はわずか6週間
報道によれば、内部メモによると、Irisチップのテスト完了までにかかった期間はわずか6週間であり、重大な問題は発見されなかったという。この進展は、5年以上前から続くMetaの自社開発AIチップ計画が、これまで進捗が遅く批判を受けていた中で、ようやく明確な成果を上げたことを意味している。
このMeta専用に設計されたチップは、Broadcomと共同で設計され、TSMCが製造を担う。この戦略により、Metaは膨大なAI演算コストの削減を図るとともに、NVIDIA(エヌビディア)やAMDといった外部のAIチップサプライヤーへの依存を低減できると期待されている。
Irisチップのデバッグテスト完了と正式量産のスケジュールは今回が初公開であり、Metaはコメントを拒否した。
完全にNVIDIAとAMDから脱却できるのか?ロイター:Metaのチップは補助的な存在
また、内部メモによれば、IrisはGPUを置き換えるものではなく、NVIDIAやAMDの製品を大量導入する中での補助的な役割を果たすという。メモでは、Metaのような大規模企業にとって、最新世代のGPUを導入することは非常に困難であり、展開の難易度が高まるだけでなく、全体の進の進捗を遅らせる要因にもなると指摘している。
Metaは2024年3月に正式にIrisを公開し、同時に3種類のAIプロセッサも発表している。今後の計画として、2027年までに約6か月ごとに新しいAIチップをリリースする予定であり、これは業界標準の1年以上ごとのペースと比べてはるかに速い更新サイクルとなる。
Metaがさらに1450億ドルを投資、2027年までに演算能力を14GWに倍増
内部メモによると、Metaは2024年に7GWのAI演算インフラを展開し、2027年までにその規模を2倍の14GWに拡大する計画だ。
Metaは2024年のAI基盤投資額が最大1450億ドルに達すると予測しており、これは今年の主要テック企業のAI投資総額(7000億ドル以上と推定)の重要な割合を占める。
メモリや光ファイバーの調達先は?Metaの長期契約先が判明
報道によれば、大規模なデータセンターの拡張を支えるため、Metaは複数のサプライヤーと長期契約を締結している。内部メモによると、以下の企業がパートナーとして名を連ねている:サムスンがメモリを供給、SanDiskがフラッシュストレージを提供、住友電工(Sumitomo Electric)が光ファイバー設備を供給する。
報道は、世界的なメモリ供給の逼迫が続く中、こうした長期契約は大規模データセンターの拡張にとって重要な安全保障であると分析している。最近では、アップルなど他のテック企業もメモリ不足によりコストが上昇し、製品価格を引き上げている。
「チップインフレ」が新たな市場リスクに?モルガン・スタンレーが警告
報道では、グローバルなテック企業がAIデータセンターの拡張を積極的に進めていることに伴い、キーコンポーネントの需要が急速に高まっていると指摘。需給の不均衡により、メモリやその他のチップの価格が大幅に上昇していると伝えている。
モルガン・スタンリーのアナリストは、チップ価格の急騰が、マクロ経済レベルでの新たなリスクにまで発展するほど深刻だと指摘。市場では「Chipflation」(チップインフレ)という言葉が使われ始め、AIが引き起こすコスト上昇の現象を表現している。
関連報道: ・「DeepSeekが自社開発AIチップを検討」ロイター報道で最大の被害者は「NVIDIAではない」:中国企業が緊張 ・ファーウェイは持ちこたえられない?中国がNVIDIAのH200チップの輸入を容認か 「この3つの中国企業」のみが購入可能に ・TSMCは警戒すべきか?インテルが「台湾の二番手」と提携し3ナノチップを開発 海外メディア:神山の覇権に挑戦
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:新製品
- 関連組織:Meta / TSMC / Broadcom
- 製品・サービス:Iris AIチップ / MTIA