公務機関での勤務期間は数か月にすぎませんが、その間に樹木と人間の関係における複雑な問題を観察する機会がありました。樹木の問題を第一線で扱う部署では、通常、高齢者や障がい者、貧困層など弱者支援のための経費が確実に確保された上で、はじめて樹木関連の予算が編成されます。高齢者のケアさえままならない地域では、現場の職員は「一本の木」に注目を集めることをためらいます。さらに、樹木の移植には非常に高い費用がかかります。病気の木を移植中に枯らさないよう慎重に処置するには、一週間以上、場合によっては数か月にも及ぶプロセスが必要です。この間に、人手不足の樹木医、工事業者のクレーン車や作業員の手配、移植先の確保、行政審査といった多くの課題が生じます。費用がさらに高くなる場合は、入札手続きも必要になり、結果として、一本あるいは複数の病樹、あるいは倒壊の危険がある木をいつ撤去できるのか、見通しが立たなくなるのです。そのため、住民から公園や道路沿いの倒壊の恐れのある木についての苦情が寄せられた場合、限られた予算と時間のなかで、公共の安全を第一に考えた結果、即時対応可能な伐採が妥協案として選ばれることが多くなります。もし木が倒れて人がけがをすれば、住民は国から賠償を請求でき、担当の公務員は弁護士を雇い、裁判所に通う羽目になります。筆者の前任者の前任者が、木が倒れてけが人が出た際の国賠訴訟の精神的負担に耐えかねて退職したのかどうかはわかりませんが、その可能性は否定できません。難しい対応が求められる案件を質問の材料にすれば、確かにメディアの注目を集めやすく、話題性も高い。こうした対立は選挙活動にとっても好都合で、選挙の重要性を否定するものではありません。選挙には確かに必要性と正義があります。しかし、実際に現場で対応している公務員が何人交代したかさえ追跡できなくなっている今、政治活動がこの国にもたらした亀裂の深さを、私たちはもう数えきれないほど繰り返しているのです。*作者は地方公務機関の基層派遣職員。

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