この現象は国家安全の危機であり、無視してはならない。国軍は三つの信頼崩壊の危機に直面している。軍人はいったい何のために戦い、誰のために戦っているのかがわからなくなっている。民進党は常に中国の軍事的威嚇や台湾海峡の危機を煽り、戦争の脅威が目前に迫っていると主張し、多数の戦備演習を実施し、社会全体の戦時対応力を強化しようとしている。その結果、軍隊の日常的な訓練の負担は倍増し、志願兵たちの間で退職を検討する動きが広がっている。ようやく採用された兵士たちが、わざわざ違約金を払ってでも早期に除隊しようとしている。これは氷山の一角にすぎず、人数や賠償金額にこだわるのではなく、その根本原因を深く掘り下げ、本質的な解決策を見つける必要がある。
国軍は兵員不足に直面しているが、それでも多くの将兵が早期退職を申請し、違約金の支払いを覚悟してでも除隊を希望している。国防部の統計によると、民国110年から114年末までに、合計6315人が早期退職を申請した。うち4267人は賠償責任を負っており、累計賠償額は9億2917万元に達している。4267人が9億円以上を賠償するうち、3人はそれぞれ2000万元の支払いを求められている。
現在までに3817人が賠償を完了し、累計で3億4186万元が回収されたが、まだ約5億8900万元が未回収のまま残っている。早期退職の申請が最も多かったのは113年で、1589人に上った。このうち1076人が賠償義務を負い、賠償額は2億5955万8126元である。
軍人の名誉が尊重されておらず、士気が著しく低下している。アメリカ、日本、シンガポールの軍人に対する待遇や社会的地位と比較すると、台湾の国軍は立法院が可決した賃上げ法案さえ、民進党政権は予算措置を講じようとしていない。昨年、海外に倣って軍人に対する優遇政策をいくつか発表したが、それは形ばかりで、その後何の進展もなく、いまだに一つも実施されていない。
民進党は毎日のように戦備を叫んでいるが、本当に国民や軍隊が戦争を望んでいるのか? 孫子の兵法「始計篇」にはこうある。「兵とは国の大事なり、死生の地、存亡の道なり、察するを要す。」 すなわち、五つの要素を検討し、比較することで真の状況を把握すべきである。すなわち、道、天、地、将、法の五つである。「道」とは、民と上層部が同じ意志を持つことであり、それによって民は死を恐れず、生と死の局面でも上と一体となって行動できるということだ。この「道」すなわち国家指導者と軍隊・国民の間の共通認識と信頼がなければ、軍隊は忠誠心や士気を持てず、命を賭けて戦うことはできない。果たして頼清徳政権は、この「道」をどれだけ実現できているだろうか?
編成定員に対する実際の在籍率(編現比)が目標に達していないことは、士気低下の深刻な要因である。簡単に言えば、100人の任務を70人で担っている状態だ。100人の勤務を70人で賄い、多くの兵器装備が操作できる人員を欠き、定期的な整備も適切に行えない。勤務量は減らず、訓練の基準も下げられない。戦備演習はますます増加し、交代休暇制度もまともに機能していない。こうした過酷な環境に若手軍人が耐えかねて退職を決意するのも無理はない。軍内の「靠北長官」(上官に不満をぶつける)サイトを見てみれば、現場の実態が少しは見えてくるだろう。
兵員確保のため、採用基準が引き下げられている。基準の低下は、全体的な素質の低下を意味する。体力やストレス耐性が不十分な者が入隊し、厳しい訓練や高密度の演習に耐えられず、軍隊文化への適応もできない。24時間体制の勤務、自由のない生活に若者たちが適応できず、結果として離職を選んでいる。
*筆者は退役中将で、元立法委員。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
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