中国が「巴鉄」と称し、イランやベネズエラとともに米国を消耗させる「重要ツール」と位置づけるパキスタンが、経済問題を理由に米国に支援を求めた。パキスタン財務大臣のムハンマド・アウランジェブ氏は、米東部時間7月21日にワシントンD.C.で米財務長官スコット・ベセント氏と会談し、100億ドル規模の「二国間為替安定支援枠組み」(bilateral exchange stabilization support facility)の提供を書面で要請したと報じられている。
関係者によれば、アウランジェブ氏は会談中にこの要請書をベセント氏に手渡したという。ロイター通信が複数の関係筋の情報を引用して報じたこの内容について、米政府高官も事実関係を確認したとされる。しかし、ベセント長官は会談後の公開発言でこの要請に言及せず、米財務省が発表した会談概要にも記載はなかった。
パキスタン当局は会談後の声明でも具体的な金額には触れず、外貨準備の強化と主権信用格付けに基づく市場アクセス拡大のための「支援」を求めたとだけ説明した。しかし、ロイターが報じたこの支援枠組みは、まさにこの二つの目標を同時に達成できる仕組みとなる。
米政府関係者は、パキスタンが要請しているのは「通貨スワップ枠」(currency swapline)に本質的に相当すると説明した。これは、米ドルの安定的な供給を通じて、パキスタン・ルピーの為替レートを支え、安定化させる仕組みである。
パキスタンの近年の金融状況を振り返ると、同国は2023年に国際通貨基金(IMF)から30億ドルの救済融資を受け、債務不履行の危機をかろうじて回避した。その後、2024年には追加で70億ドルの支援を受け、国内通貨の安定に大きく貢献した。この結果、S&Pグローバルは2025年7月22日にパキスタンの信用格付け見通しを「B」に引き上げた。
S&Pグローバルは、パキスタンが過去2年間の財政規律を維持し、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%未満に抑えることができれば、さらなる格上げの余地があると指摘した。一方で、市場金利の急騰が信用格付けの下方修正リスクを高めると警告している。
イランをめぐる緊張が続く中、中東地域全体の経済見通しが暗いことが、アウランジェブ氏がベセント氏に外為安定基金を求めた主な要因とされている。パキスタン・ルピーは2025年に米ドルに対して重い展開を見せたが、2026年には強力な反発を見せた。しかし、イスラマバード当局は、地域的なインフレがこうした貴重な為替上昇分を侵食することを強く懸念している。
パキスタンの有力紙『ダーン』(Dawn)は、7月22日に「ワシントンの外交筋」の話として、トランプ米大統領がパキスタンとの関係強化と経済支援を公言していることを踏まえると、この要請が米国によって承認される「可能性は非常に高い」と報じた。
『フィナンシャル・タイムズ』(Financial Times)は、パキスタンが提案した枠組みは、トランプ政権がかつてアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領に提供した200億ドルの通貨スワップ枠と類似していると分析した。アルゼンチンはこの融資を迅速に返済しており、信頼を築いた。イラン危機による動揺の中、複数の中東同盟国が米国に通貨スワップ枠の提供を申請している。パキスタンも、この資金を5年以内に全額返済する意向を米側に伝えたとされている。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:ニュース
- 関連組織:S&P Global / International Monetary Fund
- 製品・サービス:通貨スワップ枠