中国のアリババは月曜日(8月3日)、同社史上最強の人工知能モデル「通義千問3.8-Max」(Qwen3.8-Max)を発表した。このモデルは2.4兆のパラメータを有し、文字・画像・動画を統合的に処理できるマルチモーダル機能を備え、一度に最大100万トークンの情報を処理できる。発表直後、AIモデル評価プラットフォーム「Arena.AI」で中国モデルとして最高位を記録し、アリババの香港株は7%上昇した。

「通義千問3.8-Max」は「混合専門家モデル」(Mixture-of-Experts, MoE)アーキテクチャを採用。全2.4兆パラメータのうち、実行時には約950億パラメータのみを起動することで、計算コストと応答遅延を大幅に削減している。このモデルは来週、「阿里雲」(Alibaba Cloud)の「Model Studio」を通じて正式提供される予定で、すでに16日間でソフトウェア開発プロジェクトを完了した実績がある。

一方、中国のAIスタートアップ「深度求索」(DeepSeek)も、低価格戦略を継続。7月31日に発表したV4-Flashモデルは、100万入力トークンあたり0.14ドル、出力は0.28ドルと、AnthropicのClaude Fable 5(3.15ドル)やOpenAIのGPT-5.6 Sol(1.86ドル)と比較して極めて低コスト。研究機関Artificial Analysisによれば、1回のベンチマーク実行あたりの平均コストは0.03ドルにとどまる。

中国のAI企業は「オープンウェイト」モデルに注力しており、アリババやDeepSeekはモデルの核心パラメータを公開することで、グローバルな開発者コミュニティの採用を促進している。Omdiaの首席アナリスト、蘇連傑氏は、「多くの企業は最高峰モデルではなく、性能が十分で、価格が適正で、透明性のあるモデルを求めている」と指摘。これにより、中国勢は米国企業に対抗する新たな競争優位を築いている。

アリババの新モデルは、米中のAI技術競争が激化する中、半導体輸出規制下でもソフトウェアとアーキテクチャの革新で対抗する戦略の一環と見られる。今後、クラウド経由でのAI普及が加速し、B2B市場でのシェア争いがさらに激しくなると予想される。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:新製品
  • 関連組織:アリババ / Anthropic / OpenAI
  • 製品・サービス:Model Studio / V4-Flash