8月5日から始まった「漢光42号」実兵演習は、10日間9夜にわたり実施され、昨年に拡大された規模を維持しています。演習の重点は、攻撃を受けた後の指揮システムの継続的運営、後備部隊の動員、インフラの防護、そして封鎖状況下での軍民協力などです。台湾の軍当局は、今年の演習がより実戦に近いものになっており、初めて「分散型指揮」と「全民防衛」の検証を重点に据えたと強調しています。
一方、中国側の公式見解は従来通り強硬です。中国国防部の報道官・蔣斌は、演習開始前に「民進党当局がどう演じようとも、『台独』の滅亡という結末は避けられない」と明言し、ネット回線の減速は「戦争不安を煽って台湾の住民を『台独』戦車に縛りつける妄想だ」と批判しました。党系メディアや一部の中国軍事評論家は、今回の演習を「政治的パフォーマンス」や「選挙動員」と断じ、「解放軍はすでに圧倒的優位を有しており、台湾の訓練は自己欺瞞にすぎない」と主張しています。
微博や抖音での民間の反応:二極化が顕著
中国のソーシャルメディアである微博や抖音で「漢光演習」と検索すると、話題性は爆発的ではありませんが、コメント欄のトーンは非常に一貫しています。一部の中国ネットユーザー(いわゆる「小粉紅」)は、「また映画を演じている」「部品が外れて脱出ハッチが脱落、台湾軍の戦力が窺える」「ネット遮断で住民を苦しめるのは、訓練なのか、それとも住民を鍛えているのか?」などと皮肉っています。
また、中国の大学教授の中には、今回の演習を「年末の地方選挙と結びつける」と分析する者もおり、民進党当局が「戦争不安」を利用して票を固めていると指摘しています。特にネット減速が中北部の藍営(国民党支持)地域に集中している点を、「選択的苦痛」と解釈する声もあります。
中国の軍事愛好者の一部は技術面から分析し、「淡江大橋の遮断」「封鎖突破護衛」「民間工場での無人機転用」などの科目は「紙上談兵」だと評価しています。さらに、台湾東部の補給路は「解放軍」の連合封鎖下では維持が困難であり、台湾自身の弾薬やエネルギー備蓄も限られていると指摘しています。
しかし、小紅書や抖音では、「台湾の盾」として今回の演習を称賛するユーザーもおり、民主国家の防衛の象徴と見なす声もあります。こうした発言は、これまで通り削除やアカウント停止の対象となっています。
ここ数年、中国人民解放軍の台湾周辺飛行、環台軍事演習、アメリカの対台軍事売却、台湾の漢光演習など、毎月のように新たな軍事ニュースが発生しています。北京で政府の世論調査業務に携わる匿名の専門家は、これは「危機疲労(crisis fatigue)」の状態だと指摘しています。つまり、出来事の重要性は変わらないものの、一般市民の感情的関与は過去ほど持続しなくなっているということです。
中国のソーシャルメディア上での「漢光演習」に関する議論。(新浪微博より)
中国のソーシャルメディア上での「漢光演習」に関する議論。(新浪微博より)
中国のソーシャルメディア上での「漢光演習」に関する議論。(新浪微博より)
中国のソーシャルメディア上での「漢光演習」に関する議論。(新浪微博より)
中国は「漢光演習」を「脚本劇」と称するが、軍事専門家は別の側面に注目
中国当局は「漢光演習」について即座に公式反応を示していませんが、中国の軍事専門家の一部は、ソーシャルメディア上で「過去の漢光演習は『脚本通り』と批判されることが多かったが、近年の演習内容は都市防衛、後備動員、無人機の活用、通信遮断後の指揮体制、地方政府の基本的運営維持などに重点が移っている」と指摘しています。台湾は単に装備を増やしているのではなく、「抵抗期間の延長」と「社会のレジリエンス向上」を学んでいると評価しています。
また、「この変化は、近年のロシア・ウクライナ戦争の経験と関係している」とも述べています。
匿名の民間人の中には、「彼ら(民進党)はネット遮断後の社会運営を訓練している。つまり、実際に戦争になった場合、指揮センター、港湾、工業施設が最初の波で機能停止する可能性を、彼ら自身がよく理解しているということだ」と指摘する者もいます。
しかし、今回の漢光演習が中国の一般市民に特に注目されたのは、米軍の要員が演習を「全面的に観察」し、一部が「浅層参加」した点です。顧立雄・台湾国防部長は、米台の軍事協力が「外界の想像以上に密接だ」と公に認め、演習中に登場する可能性のある「米語の先生」(米側要員)や逆方向の簡報メカニズムについて言及しました。中国のネット上では、これを「アメリカの関与が深まっている」と解釈しています。
台湾は戦争を演じているが、中国は政治を見る
台湾社会では、漢光演習を「平時の備え」として捉える傾向が強まっています。特に昨年から演習期間が延長され、民防参加が拡大したことで、「全民防衛」「社会のレジリエンス」が公式な説明の重要な柱となっています。
分析によれば、今年の最大の変化は、新規装備の導入数ではなく、中央政府が攻撃を受けた場合でも、地方政府、軍隊、民間システムが継続して機能するかを検証したいという政府の意図にあるとされています。
「漢光42号」演習は現在も進行中です。淡江大橋の遮断、東西間の兵力移動、封鎖突破護衛、ネット減速の実測などが順次実施されています。台湾にとってこれは、指揮の柔軟性と社会のレジリエンスを検証する大規模な試験であり、中国にとっては、台湾海峡という盤上のゲームにおいて、双方が継続的に賭けを高めている現実です。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
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