多くの親が子どものために保険を検討し、毎年の保険料を代わりに支払っているが、注意が必要だ。親が子どもの保険料を支払う行為は、単なる「支払い代行」ではなく、状況によっては税法上「贈与」として扱われる可能性がある。
財政部台北国税局は、保険契約の「要保人」が子ども本人である場合、本来その保険料は子どもが負担すべき債務であるため、親が無償で代わりに支払い、返済を求めない場合は、「無償で他人の債務を肩代わりした」として、贈与税の対象となる可能性があると指摘している。
親が子どもの保険料を支払うことが贈与に該当するかどうかの鍵は、保険の種類ではなく、「誰が要保人か」にある。
多くの人は保険を購入する際に被保険者や受取人を気にするが、「要保人」もまた、保険料の支払い義務や保険契約の権利を持つ重要な存在であることを見落としがちだ。
『保険法』によると、要保人は保険対象に対して保険利益を持ち、保険会社と契約を結び、保険料の支払い義務を負う者と定義されている。
台北国税局は2026年6月2日、『遺産及び贈与税法』第5条第1項に基づき、請求権の時効内において、無償で他人の債務を免除または肩代わりした場合には、「贈与とみなす」と規定していると説明した。
したがって、保険契約の要保人がすでに子どもである場合、保険料は原則として子どもが負担すべきものだ。親がその保険料を代わりに支払い、子どもに返済を求めない場合、これは親が子どもに対して無償で債務を肩代わりしたことになり、支払った保険料の額が親の当年の贈与総額に加算される可能性がある。
つまり、贈与に該当するかどうかの判断基準は、その保険が貯蓄型、生命保険、医療保険のいずれかではなく、要保人が誰か、そして実際に誰が保険料を負担しているかにある。
国税局は具体的な数字による例も示している。ある母親が2026年1月に息子に244万円を贈与したとする。この時点では当年の贈与税非課税枠を超えていない。
しかし同年2月、母親が要保者を息子とした保険契約の保険料56万円を支払い、返済を求めなかった場合、この母親の当年の贈与総額は244万円ではなく、244万円+56万円=300万円となる。
このうち、1人あたりの当年贈与税非課税枠244万円を控除した課税贈与額は56万円となる。現行の贈与税率では、2811万円以下は10%の税率が適用されるため、56万円×10%=5.6万円の贈与税が課税される。
国税局は、このような保険料代行支払いによる贈与行為が発生した日から30日以内に贈与税の申告を行う必要があると呼びかけている。
2026年の贈与税非課税枠はいくらか? 1人あたり年間244万円
財政部が公表した資料によると、2026年の贈与税非課税枠は引き続き1人あたり年間244万円である。
特に注意すべき点は、この244万円の非課税枠は「贈与人」ごとに適用されることであり、「受贈人」ごとの適用ではないということだ。
例えば、ある父親が同年中に3人の子どもにそれぞれ100万円ずつ贈与した場合、贈与総額は300万円となる。3人とも244万円未満だからといって非課税になるわけではない。同一の贈与人が同年中に行った贈与は原則として合算される。
ただし、父親と母親がそれぞれ別個に子どもに贈与を行った場合、父と母は異なる贈与人として扱われるため、それぞれが年間244万円の非課税枠を享受できる。
贈与税率については、2025年1月1日以後に発生した贈与案件に対し、課税贈与額が2811万円以下は10%、2811万円超~5621万円までは15%、5621万円超は20%の税率が適用される。
もう一つのよくある保険契約の落とし穴:親が要保人→後に子どもに変更
子ども自身が要保人で親が保険料を代行支払いするケース以外に、注意すべきもう一つの保険と贈与税の問題は、「要保人の変更」である。
多くの親は、子どもが幼い時期に自分自身を要保人、子どもを被保険人として保険契約を結び、保険料も親が支払い続け、子どもが成人した後に要保人を子どもに変更することがある。
表面上は保険証券上の名前を変えるだけのように見えるが、税務上の取り扱いは大きく異なる可能性がある。
要保人は保険契約に対して一定の財産的権利を持っているため、親が要保人を自分から子どもに変更することは、もともと自分のものであった保険契約の財産的権利を無償で子どもに移転したことになり、これも贈与に該当する可能性がある。
財政部国税局は、解約返戻金相当額(保険価値準備金)を持つ保険契約について、要保人を親から子どもに変更する場合、変更当日の保険価値準備金をもって贈与額を計算すべきだと指摘している。
要保人を娘に変更、600万円の保険で35.6万円の追徴税
財政部北区国税局は2026年5月12日、ある調査事例を公表した。ある父親が外貨建て終身保険を持っており、当初は父親が要保人、娘が被保険人となっていた。
その後、父親が保険契約の要保人を娘に変更した。変更当日の保険価値準備金は600万円だったが、父親は贈与税の申告を行っていなかった。
この事案は国税局により発覚し、600万円を贈与額として計算。当年度の244万円の非課税枠を控除した課税贈与額356万円に対し、10%の税率を適用し、35.6万円の贈与税が追徴されたほか、過怠罰も科された。
国税局は、財産的価値を持つ保険契約の権利を子どもに無償で移転する場合、「ただ名前を変えただけ」と考えず、贈与税の申告が必要かどうかを確認するよう呼びかけている。
親が保険料を支払う場合の2つの判断ポイント
親が子どもの保険を検討する際には、以下の2つのケースで贈与に該当する可能性があるかをまず確認すべきだ。
1つ目は「子どもがもともと要保人である」場合。保険料の支払い義務が子どもにあるのに、親が無償で代わりに支払い、返済を求めない場合、その支払額は親から子どもへの贈与とみなされる可能性がある。
2つ目は「親がもともと要保人で、後に子どもに変更する」場合。解約返戻金相当額を持つ保険契約において、要保人を変更することは財産的権利の無償移転にあたるため、変更当日の保険価値準備金をもって贈与額を計算する必要がある。
財政部は、2026年の1人あたりの当年贈与税非課税枠は244万円であると改めて強調している。同年中に累計で非課税枠を超える贈与を行った場合、超えたその時点で30日以内に申告を行う必要がある。これを怠ると、後から調査され追徴税や罰則を受ける可能性がある。
【出典】 本記事は、財政部台北国税局が2026年6月2日に発表した「子女保費由父母代繳,小心贈與稅找上門!」を主な情報源としている。また、財政部北区国税局が2026年5月12日に発表した「父母將保單要保人變更為子女,注意申報贈與稅」、財政部高雄国税局が2026年1月28日に発表した「變更保單要保人,注意申報贈與稅」、および財政部税務入口網の贈与税非課税枠・税率、『保険法』の関連規定を参考にしている。
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