「娘が成長したので、保険契約の要保者を娘の名前に変更したいだけなのに、なぜ贈与税がかかるの?」最近、ある母親がR姉に相談してきた。20年以上前に娘のために契約した保険が満期を迎え、要保者を娘に変更しようとしたところ、保険会社から「この保険は解約返戻金が高額のため、贈与税の対象になる可能性があります」と注意されたという。

彼女は困惑し、「名前を変えただけで、現金を渡したわけでもないのに、なぜ税金がかかるのか」と疑問を呈した。実は、これは多くの人が見落とす保険契約の落とし穴だ。保険は単なる保障ではなく、財産的価値を持つ資産である。

保険契約には通常、4つの重要な役割がある。

- 要保者(財産の所有者) - 被保険者(保障の対象者) - 受益者(保険金を受け取る人) - 保険料支払者(実際に保険料を支払っている人)

これらの役割の設定や変更が不適切だと、贈与税や相続税、さらには家族間のトラブルにつながる可能性がある。特に重要なのは、税務当局が注目するのは「名前を変えたかどうか」ではなく、「財産が実際に移転したかどうか」だということだ。

保険契約で贈与税が発生しやすい3つのケースを紹介する。

### 1. 保険料の代払

保険料の支払いは原則として要保者の義務だが、他人が支払う場合は贈与とみなされる可能性がある。

たとえば、要保者が息子で、保険料が母親の口座から引き落とされている場合、母親が実際に支払った保険料は「贈与」として扱われる。年間の贈与税非課税枠(現行244万円)を超えると、贈与税の申告が必要になる。

### 2. 要保者の変更

覚えておいてほしいのは、「保険契約は要保者の財産である」という事実だ。

たとえば、父親が自身名義で500万円の解約返戻金がある保険契約の要保者を、息子に変更した場合。現金を渡していないが、保険契約には財産的価値があるため、500万円が贈与されたとみなされ、非課税枠を超える部分には贈与税が課される可能性がある。

### 3. 要保者が生存給付の受取人でない場合

生存給付金や満期保険金も、贈与税のリスクがある。

たとえば、黄さん(母親)が子ども2人それぞれに6年満期の個人年金保険を契約。要保者は自分、生存給付の受取人は子ども。6年後にそれぞれ500万円(合計1,000万円)を受け取った場合、その年に1,000万円の贈与があったとみなされ、244万円の非課税枠を超えるため、贈与税の申告が必要になる。

### R姉の専門的見解

多くの人が保険を選ぶ際、「コスパ」ばかりに注目し、契約の法的関係や財産帰属を軽視している。贈与税が課されるかどうかは、「保険会社が誰に支払ったか」ではなく、「保険契約の財産的利益が誰に移転したか」で決まる。

保険契約の内容、解約返戻金額、契約時期、家庭の資産状況はそれぞれ異なるため、万人に通用する正解はない。保険契約が一定の価値を持つようになったとき、あるいは要保者変更や保険金受取の見直しを検討する際は、税務上の影響を事前に確認し、適切な構造設計を行うべきだ。

資産承継の計画は、早ければ早いほど選択肢が広がる。実際に変更が必要になったときには、もう手遅れになっていることもある。

保険は単なる保障ではなく、重要な財産である。正しい構造で設計すれば、「愛を家族に残す」ことができる。逆に、無策だと「税金と争いを次世代に残す」ことになるだろう。

※本記事はR姉(廖嘉紅)「財産承継デザイン」の許可を得て転載。編集責任/林俐

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