中国軍は8月5日から10日にかけて、海軍艦艇、海警船、空中兵力、陸軍無人機、武装ヘリコプターなどを組織的に展開し、台湾西部海域で台風回避のために停泊していた日本の海上保安庁の艦船に対して、初めて意図的な海空両面の圧力を加えた。これは中国が台湾周辺海域における実効的管理権を国際的に示す意図があるとみられている。
さらに、中国は日本とフィリピンが独自に海洋境界線を宣言した直後、海警船団や科学調査船を派遣して、台湾周辺海域での常態的な巡航と海洋科学調査を開始した。8月12日には、中国海軍が台湾東部海域で外国の作戦艦と合同訓練を実施したことが確認され、中国が台湾周辺での軍事プレゼンスを「友好的な国」との連携で強化する姿勢が鮮明になった。
台湾の「漢光42」軍事演習が8月14日に終了した後、中国東部戦区は広東省汕頭の東南、浙江省温州付近の海域で軍事訓練を実施しており、まもなく「連合戦備警戒パトロール」を展開する可能性が高い。台湾側は引き続き警戒を強化する必要がある。
8月5日早朝6時、中国軍の無人機が台湾海峡上空に出現し、海峡中線に沿って6時間にわたり飛行した。この無人機は複数回にわたり飛行コードを変更し、識別を困難にする試みが見られた。戦略専門家によれば、一部の無人機はAIS(船舶自動識別システム)ではなく、MLAT(多地点到達時間測定)やADS-B(自動飛行機識別装置)を用いて信号を隠蔽・変更することが可能であり、台湾軍の偵察体制をかいくぐる意図があると指摘している。
TVBSが公開した図によれば、この無人機は福建省泉州市晋江区金井鎮の東南沖合、囲頭村の南東空域から、湄州湾の南東空域にかけて活動していた。一部のメディアは、この無人機が海峡中線を越え、桃園の領空に接近したと報じたが、台湾国防部が8月6日に公表した8月5日の活動軌跡図には、中線を越えた記録は確認されていない。
一方、8月7日に公表された6日の活動図では、中国軍機が海峡中線を越え、桃園領空に接近したことが確認されている。また、筆者は「AIS」という用語について誤解していたが、航空機にはAISではなく、MLATやADS-Bが使用される。この点は張競博士の指摘により修正された。
注目すべきは、中国メディアが2026年8月4日に「福州の一部水域で実弾射撃を実施」と報じたことである。福州海事局は8月3日に航行警告を発出し、8月5日1時から18時まで、興化湾の江陰港区で実弾射撃を行うと発表した。その範囲は7点で囲まれた水域(緯度経度座標あり)であり、無関係な船舶の立ち入りが禁止された。
この実弾射撃の期間中、中国軍の無人機が興化湾の西南方、湄州湾から囲頭の東南にかけての空域で活動していたことが確認されている。筆者が過去のデータを整理したところ、中国軍は2023年から2026年にかけて、興化湾で複数回にわたり実弾射撃訓練を実施しており、その際、無人機やヘリコプターを用いて周辺の海空域を監視していることが明らかになった(付表一参照)。
これまで中国軍機が海峡中線を越えて台湾側に圧力をかける際は、主に空軍の戦闘機が使用されてきた。しかし、今回の無人機や陸軍の武装ヘリコプターの活用は、中国陸軍が「近岸防衛」戦略のもと、台湾海峡を自らの防衛圏と位置づけ、海警船や外国艦艇に対しても軍事的威嚇を拡大していることを示している。
台湾国防部の発表によれば、8月5日には無人機が活動したが、海峡中線を越えた記録はなかった。6日には無人機に加え、中北段で中国軍機が中線を越え、苗栗から台北の24海里外縁部に接近した。7日には6機の主戦機と無人機が東引の東北から福建漳浦以南の空域で活動し、うち3機が北段と南段で中線を越えた。8日には3機が東引以東から金門以南の空域で活動し、1機が中線を越えた。9日には無人機1機が福建東山の東南から台湾西南部の鵝鑾鼻まで飛行し、折り返した。
これらの飛行パターンから、中国軍の無人機は金門以南から澎湖の西南を経て、台湾西南部沿岸を南下し、鵝鑾鼻付近で折り返すルートを常態的に飛行していることが確認できる。まれに蘭嶼や綠島の東方空域まで延長することもある。
8月5日から9日にかけて、中国軍は台湾西部空域で無人機を頻繁に運用した。中国の広東海事局は、台風「白海豚」の影響により、8月6日18時から台湾海峡南口の北上船舶に対して交通管制を実施すると発表した。船舶には安全な水域での避難と、海事当局の指示に従うよう求められた。
8月7日には『自由時報』が、「漢光42」演習中に、5日に澎湖の七美の西南24海里で5隻の中国軍艦が編隊航行し、7日には4隻の中国海警船(2504、2102、2301、1401)が澎湖の西約40海里で集結して航行していたと報じた。これは異例の動きとされている。
筆者がまとめた付表二(2015~2026年)によれば、日本海上保安庁の巡視船が台風回避のため台湾西部海域に立ち寄る事例は過去にもあるが、中国側はこれを「人道的避難」とは見なさず、中国の管轄権を試す技術的行為とみなし、台湾海巡署との協力の兆候と警戒している。
特に、中国は台湾東部海域に海軍、海警、科研船を常時展開しており、日本船の接近を「米台海巡の合同メカニズム」に対する反制の一環と捉えている。中国は米国の艦船が自らの近海に接近するかどうかをテストし、日台連携を牽制する意図があると推測される。
以上の事態から、中国は台湾周辺での軍事的・法的支配を強化するため、無人機、海警、海軍を連携させ、日本や米国などの関係国に対する威嚇を段階的に高めている。今後、中国が「友邦」との合同訓練を台湾周辺で拡大する可能性もあり、地域の安全保障環境はさらに不安定化する恐れがある。
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- 出典:PR Times
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