兄弟姉妹の特留分が歴史の中へ――。2026年8月17日、総統が『民法』第1223条の改正条文を公布し、『民法相続編施行法』第12条を新たに制定した。新制度は公布から6か月後に施行されるため、2027年2月17日に正式に発効する。ただし、「兄弟姉妹の特留分の削除」とは、兄弟姉妹が今後一切遺産を相続できなくなるという意味ではない。今回の改正は、兄弟姉妹が保障されていた「最低遺産取得割合」を削除したものであり、法定相続順位そのものが廃止されたわけではない。したがって、亡くなった方が有効な遺言を残さなかった場合、相続順位に該当する兄弟姉妹は、依然として法律に基づいて遺産を取得できる可能性がある。
兄弟姉妹の特留分はいつなくなるのか?2027年2月17日から正式施行
立法院は2026年7月28日、兄弟姉妹の特留分削除を可決し、総統が8月17日に『民法』第1223条の改正条文を正式に公布した。新条文では、配偶者、直系卑属、父母、祖父母の特留分のみを残し、兄弟姉妹は対象外となる。
同日、総統は『民法相続編施行法』第12条の新設も公布。この条文には、2026年7月28日に改正された『民法』第1223条は「公布から6か月後に施行」と明記されており、2026年8月17日から6か月を経て、新制度は2027年2月17日に正式に施行される。
特留分とは?「どれだけ遺産を分けられるか」以上に深い意味がある
多くの人が「応繼分」と「特留分」を混同している。応繼分とは、法定相続制度に従って、相続人が原則として受け取れる遺産の割合を指す。一方、特留分とは、特定の法定相続人に対して法律が保障する最低限の取得割合であり、被相続人が遺言で財産を処分した場合でも、この最低保障を侵害することはできない。
現行の『民法』第1223条では、兄弟姉妹の特留分はその応繼分の3分の1とされている。たとえば、独身で子がおらず、父母も既に亡くなっている方がいる場合、兄弟姉妹が2人いれば、遺言がなければ原則としてそれぞれ2分の1の応繼分を持つ。旧法下では、それぞれの特留分は応繼分の3分の1、つまり全体の6分の1となる。言い換えれば、亡くなった方が遺言で全財産を友人に残したとしても、条件を満たせば兄弟姉妹はそれぞれ6分の1の遺産を特留分として請求できた。この保障が今回の改正で削除される部分である。
新法施行後、何が変わるのか?遺言がある場合に最も影響が大きい
2027年2月17日の新法施行後、『民法』第1223条の特留分の対象者は、配偶者、直系卑属、父母、祖父母に限定される。配偶者、直系卑属、父母の特留分は応繼分の2分の1、祖父母は応繼分の3分の1となるが、兄弟姉妹は条文から完全に削除される。
したがって、子がおらず、父母も亡くなっており、当事者が生前に有効な遺言を残して財産を第三者に残した場合、兄弟姉妹は「特留分が侵害された」として、従来の最低保障分を請求できなくなる。ただし、他の特留分を持つ相続人が存在する場合は、その者の権利は別途保護される。
遺言を残さなかった場合、兄弟姉妹は遺産を分けられるのか?答えは「できる」
できる。今回の改正で削除されたのは兄弟姉妹の「特留分」であり、「法定相続権」ではない。『民法』第1138条には、配偶者以外の法定相続順位として、第一順位「直系卑属」、第二順位「父母」、第三順位「兄弟姉妹」、第四順位「祖父母」が明記されている。今回の改正では第1138条は修正されていないため、兄弟姉妹は依然として第三順位の法定相続人としての地位を保有している。
したがって、独身で子がおらず、父母も亡くなっており、有効な遺言も残していない場合、兄弟姉妹は法律上相続人となる。『民法』第1141条では、同一順位の相続人が複数いる場合、原則として人数で均等に相続すると規定している。たとえば、亡くなった方が兄弟姉妹2人しか残さなかった場合、原則としてそれぞれ2分の1ずつ相続する。特留分が削除されたからといって、遺産を全く受け取れなくなるわけではない。
子や父母がいる場合、兄弟姉妹も一緒に分けられるのか?
必ずしもそうではない。法定相続には順位があるため、兄弟姉妹は第三順位であり、第一順位の直系卑属、第二順位の父母が優先される。前順位の相続人が存在し、相続権を取得すれば、原則として兄弟姉妹には相続が及ばない。
たとえば、亡くなった方に子がいれば、原則として子が第一順位で相続し、兄弟姉妹は含まれない。子はいないが父母が健在の場合は、第二順位の父母が相続し、やはり兄弟姉妹は対象外となる。第一順位および第二順位の相続人が存在しない場合に限り、第三順位の兄弟姉妹が相続する。
既婚で子がおらず、父母も亡くなっている場合、配偶者と兄弟姉妹はどう分けるのか?
亡くなった方に配偶者がおり、子も父母も既に亡くなっており、兄弟姉妹がいるが、有効な遺言がない場合、配偶者と第三順位の兄弟姉妹が共同で相続する。『民法』第1144条では、配偶者が第二順位の父母または第三順位の兄弟姉妹と共同相続する場合、配偶者の応繼分は遺産の2分の1と規定している。
たとえば、遺産が1200万円で、配偶者と兄弟姉妹2人がおり、子も父母もおらず、有効な遺言もない場合、原則として配偶者が600万円を取得。残りの600万円を兄弟姉妹2人で均等に分け、それぞれ300万円を取得する。この「法定応繼分」制度は、今回の改正によって廃止されていない。
誰が最も影響を受けるのか?弁護士が指摘するシングル層、デコ族
『経済日報』2026年7月28日の報道によると、台湾遺言協会の理事長である劉韋徳弁護士は、今回の改正はシングル層やデコ族に影響が深いと分析している。ただし、報道ではさらに、実際に影響を受けるのは、子がおらず、父母も亡くなっており、兄弟姉妹が実際に相続権を持つ可能性がある場合に限られると説明している。
劉弁護士はまた、有効な遺言を残さなければ、兄弟姉妹は依然として法定相続制度に基づいて応繼分を取得すると指摘。特留分の削除は、兄弟姉妹が自動的に相続権を失うことを意味しない。つまり、非婚パートナーや友人に遺産を残したい人にとっては、改正後は兄弟姉妹の特留分を気にする必要がなくなるが、それでも有効な遺言を通じて財産を明確に指定する必要がある。
同居パートナーは直接相続できるのか?遺言がなければ依然として不可能
新法施行後、よく誤解される点の一つである。兄弟姉妹の特留分が廃止されたからといって、同居パートナーが自動的に法定相続人になるわけではない。『民法』第1138条に列挙される血族の法定相続人には、一般的な非婚同居パートナーは含まれず、配偶者のみが法定相続権を持つ。
台湾遺言協会も『経済日報』を通じて注意喚起している。法定相続人でない同居パートナーなどが遺産を取得したい場合は、遺言で明確に指定する必要がある。したがって、子も父母も亡くなっており、長期の同居パートナーに財産を残したい人にとって、新法の真の効果は「兄弟姉妹に特留分を残す必要がなくなる」ことであって、「パートナーが自動的に相続権を得る」ことではない。
なぜ兄弟姉妹の特留分を削除するのか?法務部「遺言の自由を尊重」
改正の理由について、法務部は2026年6月2日に『民法相続編』の改正草案を予告。身分法の学者に研究を委託し、日本、ドイツ、韓国、スイスなどの立法例を収集。さらに学者や専門家、関係機関の代表を招いて7回の検討会議を開催したと説明している。法務部は、兄弟姉妹の特留分を削除することで、「現代の家庭生活形態に合致し、遺言の自由を尊重する」ことを目的としていると述べた。
当初の草案では、兄弟姉妹の特留分の削除に加え、遺産酌給制度の改正や「相続人の特別貢献」制度の新設も含まれていた。これは、被相続人を長期間扶養・介護した家族を兼ねて保護する狙いがあった。しかし、2026年7月28日の立法院での可決、および8月17日の総統公布では、『民法』第1223条と『民法相続編施行法』第12条の改正が実現。法務部は7月28日、遺産酌給制度や特別貢献制度などの関連措置は引き続き審議中であると発表している。
2027年2月17日前に亡くなった場合はどうなる?重要なのは相続開始の時期
新法と旧法の適用の鍵は、「相続がいつ開始したか」にある。『民法』第1147条では、相続は被相続人の死亡によって開始されると規定。『民法相続編施行法』第1条では、改正前に相続が開始した場合、別段の規定がない限り、改正後の規定は適用されないとされている。
したがって、被相続人が2027年2月16日に死亡した場合、家族が2月17日以降に相続分割や登記を行ったとしても、原則として改正前から開始された相続事件とされる。2027年2月17日以降に死亡した場合に限り、兄弟姉妹の特留分が削除された新制度が適用される。つまり、新旧法の判断は「いつ相続手続きを行ったか」ではなく、「いつ死亡したか」で決まる。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:ニュース