国家衛生研究院は国立清華大学と共同で、「AI影像辨識技術精準判別實驗動物行為」システムを開発しました。このシステムは、影像記録、ディープラーニング、AI識別技術を活用し、実験動物の行動を継続的かつリアルタイムで観測することが可能です。
24時間体制で少なくとも8種類の行動を識別でき、飲水、理毛、進食、探索、休息/睡眠、かじり、かきむしり、直立などの行動を追跡・分析できます。これにより、研究者は動物の行動を『見える化』するだけでなく、『数値化』して定量的に把握できるようになりました。本研究成果は国際的な学術誌『iScience』に掲載されています。
生物医学研究では、細胞実験、動物実験、臨床試験が相互に検証されます。特に実験動物の生理的・行動的変化は、治療法の安全性と有効性を評価する上で極めて重要です。しかし、従来の観察方法は研究者による目視記録が中心で、長時間・継続的な観察には人的制約や主観的バイアスが生じる課題がありました。
これに対し、国衛院の生医工学・ナノ医学研究所の研究チームは、実験動物センターおよび清華大学と連携し、AI技術を活用して動物の行動をデータ化するシステムを構築しました。既存の飼育ケージに設置可能な多機能カメラを用いて長時間撮影を行い、行動識別モデルにディープラーニングとAI技術を導入しています。
現在のシステムでは、上記8種類の行動を24時間連続で識別可能で、そのうち4種類の識別精度は90%以上、全体の平均精度は80%以上を達成しています。この技術は、実験動物の使用に関する国際的な倫理原則である『3R原則』(削減Reduction、代替Replacement、精緻化Refinement)の実現に大きく貢献します。
特に『精緻化(Refinement)』の観点から、動物の生活の質(QOL)を定量的に評価できる指標の構築が可能となり、より人道的な実験環境の実現が期待されます。また、無線ネットワークと情報セキュリティ対策を組み合わせることで、データの整合性と研究の信頼性が向上し、人的負担の軽減にもつながります。
研究チームは、本成果がAIが生物医学研究に与える可能性を示していると強調しています。今後も跨領域の連携や人材育成を進め、AI技術の医療研究への応用を拡大していく方針です。国衛院はがん研究所、環境医学研究所、生医工学・ナノ医学研究所などを通じて、医学と工学の融合人材を育成しています。
今後も跨領域協働を推進し、AIが医薬品開発の技術的支援にとどまらず、動物実験の倫理的配慮と研究信頼性の向上にも寄与するよう、さらなる発展を目指します。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
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