株式会社TKCは、中小企業向けクラウド会計システム「FXクラウドシリーズ」用の「FXエージェント」と、TKC会員(税理士・公認会計士)向け業務管理システム「OMSクラウド」用の「OMSエージェント」という、2つのAIエージェントを新たに提供することを発表しました。本年7月にプロトタイプを公開し、9月末から順次提供を開始します。
両エージェントには3つの大きな特長があります。第一に、顧客企業の秘匿性の高い財務データを守るためのルールを製品設計に組み込む「Governance by Design」。第二に、AIを独立したサービスではなく、顧客が日常的に使用するTKCシステム内で動作させる「Platform-Native AI」。第三に、AIだけで業務を完結させず、必ず税理士や経理担当者が確認・承認するプロセスを設ける「Human in the Loop」です。
代表取締役社長の飯塚真規氏は、「会計事務所が顧客に負う法的責任はITの進化で軽くなるものではなく、むしろ重みを増しています。TKCはこの責任をシステム提供者としても感じ、技術で顧客を支えます。AIはあくまで専門家の判断を支える存在であり、最終判断は必ず人間が行うという原則を製品設計に組み込みました。便利さと引き換えにデータの安全を犠牲にする選択肢はありません」とコメントしています。
提供の背景には、生成AIの活用が広がる一方で、会計事務所が扱うデータが極めて秘匿性が高く、税理士法や個人情報保護法を遵守する必要があるという課題があります。TKCは、AIエージェントを既存システムの内部に組み込むことで、データを保護しつつAIを活用する仕組みを実現しました。
提供されるAIエージェントの概要として、「FXエージェント」は中小企業向けに、仕訳入力の自動化、データ連携、経営計画策定などを支援します。これにより、会計事務所の月次巡回監査と組み合わせ、品質の高い自計化を実現します。一方、「OMSエージェント」は会計事務所向けに、蓄積された財務・税務情報をもとに巡回監査の効率化、財務分析支援、所内ナレッジの活用などを支援し、専門家の判断をサポートします。
3つの特長について詳述します。「Governance by Design」では、AIエージェントをシステム内部の機能として動作させることで、データが外部に流出する経路を設計上存在させません。Microsoft Foundryを基盤とし、エンタープライズ級のセキュリティを提供します。「Platform-Native AI」は、AIがTKCシステムの決められた業務範囲内でのみ動作し、データが常にシステム内部で処理されることを保証します。これにより、税理士法や個人情報保護法の要請に対応します。そのため、ChatGPTのような外部AIからの直接接続は提供しません。
最後に「Human in the Loop」は、AIが自律的に業務を完結させない設計です。AIは論点整理や一次処理を担い、税務・会計上の最終判断は必ず人間が行います。AIが提示する内容には根拠データを併記し、利用者が批判的に検証できるようにすることで、「自動化バイアス」のリスクを軽減します。この設計は、税務判断が税理士の独占業務であることや、監督義務を果たす上で不可欠です。また、AIの推論範囲を意図的に限定し、過去の確定済み仕訳パターンを参照させるなど、不確実な推論によるリスクを構造的に排除しています。例外的なケースではAIは判断を保留し、人間に判断を委ねます。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:新製品発表
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